シャボンディ諸島


「ぅおーい!!セレネー!!!」

『ん?ん?』


ケイミーが人攫いにあい、売られるかもしれない、各々捜索開始、というのが数分前に起こり、セレネが一人でシャボンディ諸島を探索して(遊んで)いると、どこからかルフィの声が。周りをキョロキョロしても目立つ麦わら帽子は見当たらない。


「行くぞー!!!」

『…わ!?』


ぐるぐるとお得意のゴム人間の性質を上手く活用して、セレネの腹部に腕を回す。
急に自身のお腹に回された腕に驚き声が出たが、気付いた時には宙に浮いていたため、慌てて自分にかけられている重力を軽くする。
ぐるぐる巻きにされている拘束状態が解けたら、セレネの体がゾロにキャッチされた。


「おいルフィー!テメェふざけんな!!」

「いっしっしっ!」

『わあ、びっくりした…。あ、ゾロありがと』


セレネはトビウオライダーズに乗っていることを把握して、お礼を言いゾロの方を見ると、ルフィに取って掛かっていた。どうやらセレネがされたことは、ゾロにもされたみたいだ。確かにこの胃が持ち上がるような感覚は気持ち悪くなりそうだ。


『あれれ?他のみんなは?』

「みんな1番Gに向かってる!ケイミーが捕まってる場所が分かったんだ!」

「あ?これサニー号に戻ってんじゃねえのか?」

『ゾロは何のために1番G目指してたの…』


しかし、幸か不幸か迷子癖のあるゾロを見つけることができたのは大きい。おそらくこのまま誰にも見つからず、放っておいたら事件解決後に合流することになっただろう。


「もっとスピード出ねえのか!!」

「これが限界です〜!」


これでもなかなか速いのに、と思っているセレネだが、確かにこうして向かっている間にもケイミーが競りにかけられているかもしれない。友人としてそれは見逃すわけにはいかない。


「見えましたっ!」

「うっし!着陸だ!!」

『んんん、このスピードじゃ安全に着陸は無理そう』


セレネの言った通り、ここに向かってる時と同じスピードでヒューマンショップへ着陸しようとしてる。
もはやこれは、着陸というよりは突っ込んでいく方向で、


「うわああああああああああああ!!!!!」


ルフィの叫び声を聞きながら、迫りくる衝動へ身を軽くし、防御をかためる。
そして、数秒もしないうちに、見事にセレネ達をのせたトビウオがヒューマンショップにド派手な音を立てて突っ込んだ。


「何だお前!もっと上手く着陸しろよ!」

「お前らサニー号に戻るのに何をそんなに急いでんだァ?…ここどこだ」

『ぷはっ、砂が、目と口に入った、うえぇ』


ド派手に突っ込んだはずだが、砂埃の中から出てきたのは無傷の三人。
ルフィはトビウオライダーズの運転してくれた人に怒り、セレネに関しては未だ1番Gに向かっていた理由を知らないゾロに無意識にため息がでる。


「セレネちゅわあん!!!」

『?…あ、サンジ。みんなも』


目をハートにして、くねくねしながらセレネに近づいて来たサンジの方を見ると、後ろにはウソップ、チョッパー、ロビン以外の麦わらの一味が。
会えてよかった〜と朗らかに笑うセレネだが、周りはそれどころではない。ルフィは今じゃ世間に名の知れている海賊で、それがここに突っ込んできた、なおかつ今この場所には世界家族、天竜人がいる。

ここにきた当初の目的を思い出したセレネはキョロキョロ周りを見ると、正面の舞台に球状の水槽に入れられて、鎖で繋がれているケイミーが。
それにルフィも気付き、笑顔でケイミーの名前を呼びながら走っていくが、それを止めようとしたハチの正体に気付いた周囲が騒ぎ始める。
ここでは、魚人は差別の対象なのだ。

おかしい、何これ、なんで魚人ってだけで差別の対象になるの、、
セレネは自分の中でこみ上げてくる怒りを抑えていた。

ケイミーの元へ走って行くルフィの後ろで、一つの銃声が鳴り響いた。


「当たったえ〜!魚人を仕留めたえ〜!」


撃たれたのはハチ、撃ったのは天竜人。
周囲の人々は魚人が撃たれたことにほっとしている。


「自分で獲ったからこれタダだえ〜!ただっただっ」


撃ったことに限界を感じたルフィが動く。
ケイミーに向いていた足を止め、引き返しハチの横を通り過ぎて天竜人に向かって行こうとしたが、それを止めたのは撃たれたハチ自身だった。


「目の前で誰かが撃たれても、天竜人には逆らわねえって、約束しただろう…っ!」


悪いことをしたその罪だと、少しでも良いことをして償おうとした、と傷で痛むのに告げるハチ。
そんなハチに再び銃を向ける天竜人。

天竜人とハチの間に入ったのは、ルフィとセレネ。


「お前ら、その目はなんだえ」


天竜人に何を言われても足を進める二人。銃を何発か二人に向けて撃ってきたが、簡単に避ける。
ルフィのとる行動が初めから理解していたセレネは、拳を振りかぶった手と逆の手を掴み、ルフィの拳が天竜人の頬を殴る瞬間だけその攻撃方面に重力を最大限に課す。
そんな二人の合わせ技に立ってられるわけもなく、吹っ飛び地面に伏せることになった天竜人。


ルフィはふーふー息を吐き、怒りを少しずつ沈める。その横でセレネはいい笑顔を浮かべる。


『そもそも天竜人って何?て感じだし、私は約束してないし。。ふぁ、スッキリしたね〜!』

「わり、こいつぶん殴ったら海軍の大将が軍艦引っ張ってくんだって」

「お前がぶっ飛ばしたせいで、斬りそこねた」


ゾロもさすがに怒りを感じていたのか、鞘から少し出た刀を再び戻す。ルフィが殴っていなかったら、ゾロに真っ二つに斬られていたことを考えると、打撃の方がまだマシだったのかもしれない。

周囲は焦るが、一味にとってはこれが船長、ルフィだ。誰も文句も何も言わない。
それどころか、もう一人の天竜人が銃を撃ってきたことに対し、サンジから始まり、みんなが参戦する。
一般人が外に逃げようと、騒がしくなってくる中、セレネは怪我をしているハチに近付く。


『ハチ、手貸して』

「にゅ〜」


急所は外れているが、血を流し続けているのは非常にまずい。ハチが力を振り絞って差し出した手を握り、魔法を使う。
この騒ぎの中だと誰もここには目を当てないだろう、と傷だけ塞ぐ。しかし流れた血は戻らないので、今すぐにでも病院か、安静にできる場所へ連れて行ってチョッパーに診てもらいたい。

こうしている間にも、ゾロが刀で水槽を斬り、ロビン、ウソップ、ブルックの三人も合流。

これで一味全員が集合した。

海岸が来る前にここを出ようとしたが、一人の男が海軍はもう来てる、とルフィに向けて呟いた。死の外科医 トラファルガー・ローである。
そしてもう一人、ユースタス"キャプテン"キッド。ルフィよりも懸賞金が高く、超新星人の中では一位の鑑賞金額である。


そして、ケイミーを助けようとしたが、起爆装置付きの首輪が付けられている。それをいとも簡単に外した奥からやってきた老人は、更に会場全体へ何かを放った。それによりほとんどの人が気絶、自我を保っているのは海賊たちぐらいだ。
その老人はハチの知り合いみたいだが、もう今のような気絶される技は使わない。といい去っていってしまった。


それに続くように、キッドが先に出て行く。
表の掃除はしといてやる、と二人の船長に向かって一言残し。
それに黙ってよろしくと言うほど、大人しい二人ではない。
いつの間にか、船長の三人が真っ先に外に出て海軍と戦闘を始めていた。


「セレネ!ここはあたしたちで十分だから、ルフィのとこへ!」

『うん、わかった!はやくきてね』


もし何かあっても、治癒できるセレネが居れば大丈夫だろうと判断したナミの指示である。
ナミの指示通り半壊れしている扉から外に出ると、中とは違い太陽の光に一瞬目を細めた。


「あれはっ!………誰だ?」
「まさか、あれが、」
「魔女、、?」

『…ん?わたし?』


まだ本格的な戦闘開始前だったらしく、緊張感漂う中(といっても海軍が一方的にだが)、明らかに見た目が海賊っぽくないセレナが出てきたことで、海軍の頭の上には?が浮かぶが、最近噂で麦わらの一味には魔女がいる、と。それを思い出し、身震いする海兵たち。ちなみにまだセレナは指名手配にはなっていない。


「セレネー!おまえも手出すなよ!」

『うん。しっかり守ってね』

「うしっ!俺に任せろー!!」


キッドはルフィとトラファルガーに、手を出すなと言い二人の前に手を出して阻止していたが、ルフィはセレネに一言残すと、キッドを無視して走って海軍の方へ行ってしまった。

ルフィに向けて放たれた大砲を能力を活かして大きくした手の中に押さえ込む。しかし、その指の間から落ちた大砲の弾が二つだけセレネたちの元へ。
それに当たるほどの三人ではない。
二人はジャンプしてそれを避け、セレネは爆発しないぐらいの優しい手つきで大砲に触れ、瞬時に重力の方向を変え、海軍へ返す。と同時にルフィも手の中の大砲を海軍へ投げた。


『ナイス〜!』


海軍は新たに体制を立て直し、攻撃を仕掛けてくる前に、セレネ以外の三人が動いた。


「room」


トラファルガーが掌を下にしてそう呟くと、青い球状の膜がトラファルガーと海軍の数名を包む。その場で剣を空振りすると、距離的に斬られるはずのない海軍の身体がバラバラになった。
さらにシャッフルして、頭と足がくっついたりあべこべになっている。

その横では、キッドが敵から武器を引きよせ、ルフィのような大きな拳を作り出した。
ルフィはいつもどおりだ。

それを繰り出したあと、小さくなったルフィーに二人は鼻で笑う。


「はっ、それじゃあな、麦わら。お前に一目会えてよかった」

「ふーん、でもワンピースは俺が見つけるぞ」


ルフィの言葉に二人は反応する。この先の新世界では、夢をもたないものに未来はないのだ。

この空気の中、海軍は待ってくれるはずもなくルフィとキッドに海兵が一人ずつ走ってきたが、キッド側はキラーが、ルフィにはセレネが対応する。


『解除、、えいっ』


基本飛ぶことにしか使わない杖を取り出して、ぽこっと音を立てて横腹を殴る。
殴るときの重力加算はもちろん忘れずに。なので、殴ったときの音に似合わないぶっ飛び方をして口からは血を吐いている。


「あー!セレネ手出すなって言っただろ!」

『わわ、ごめんね』


再び襲いかかってきた海兵の剣をしゃがんで避け、その瞬間に素手で触れて足に重力を加える。


「うわあああ!!!なんだこれ!動けないぞ!!」

『無理やり動いたらちぎれちゃうよ〜』


足だけ重くしたので、無理に動こうとすれば膝から下が残ったままでちぎれてしまうだろう。それを想像した海兵は顔を青くして大人しくなった。まあ時間が経てば戻るがそれを知らない海兵からしたら恐怖以外ない。

そして新世界で再び会う約束をして各々解散する。


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