全面戦争後

A組全員に置き手紙を残して一人雄英を出て行くつもりだったが、ふと林間合宿のときの天音の言葉を思い出す。


個性で居場所がわかる


そこからの緑谷の行動は早かった。
幼馴染に対しては元々頭のネジが飛んではないが変な方向を向いているので、天音ちゃんを置いて行ってはダメ!居場所ばれる!て考えになって眠ってる天音ちゃんも連れて行く。
運ばれてる本人眠り深いので起きない。


「天音ちゃん、天音ちゃん」
『……ん〜』
「もうお昼過ぎてるよ、起きて」
『ん〜…』
「本当に起きないんだね」
「睡眠が趣味のようなものなんで」

そしてお腹すいたので目を覚ますが、どこここ?状態
簡単に説明を受けて(ワンフォーオールが狙われてるから巻き込まないために雄英を去ったこと、協力者、そして天音を連れ去ったこと)、寝起きでぽやぽやしてる脳で聞く。

『ぅん?何で私連れてこられた?』
「天音ちゃん、かっちゃんの居場所個性でわかるって言ってたよね?それでボクの場所もバレたら意味がないなって」
『…ほう』

実はわかるわけではない。
あの時はすごく大切な人で、個性を操ることも何も考えずに無意識に発動してた。
探すことに関しては個性訓練していないので意図的に見つけれるわけではない。
でもそれを言うつもりもなくて、なんとなく緑谷を一人にしてはいけない気がして、勘違いしてもらう。

ただ、置いていったしまったA組メンバーのことは心配。
今の緑谷は敵のことしか考えられなくて、クラスのことをわかってない。いつものデクならすぐに答えが出るのに。

『…みんな、何としても探しだすと思うけどなあ』
「…?何か言った?」
『タイムリミットは、もうすぐだなあて』

理解不能デク。
ぽやぽやしてるから、たまになんか頭の中で考えてることが口に出ることがあるから、それだろな、の考えに至る。

そして時は流れ、オールマイトをも振り切って一人で敵退治に。
そこでA組に助けられ、A組vsデク。そこに追いつく天音。
各々が声をかけ引き止めようとする中、この場から立ち去ろうとするデクに、ようやく飯田の手が届き、爆豪が今までの感情を伝える。そして、安心し切ったように倒れるデクを支える爆豪。


「着いてこれないなんて言って、ごめん」
「わあってる」
「…天音ちゃん、に……」
「…あ?」

デクが何かを告げる前に意識を飛ばす。
その二人を見て号泣しながら飛びつく天音。

『うわああん!』
「何でテメェがここにいンだよ…!」
『よかったねえ二人とも…!…うぅ、ふっ』
「聞けや!!」
『…うぅん、ん…』
「寝んな!!!」

倒れそうなデクを爆豪が支え、そこの背後から首に腕を回し飛び乗った体勢で安心と泣き疲れで意識飛ばす天音。
爆豪勝己、幼馴染サンド状態。

そのまま雄英に向かう。目を覚ましたデクとは違いまだまだ眠りについてる天音ちゃんはかっちゃんに運ばれてる。
お茶子や障子が運ぼうとしてくれたが、かっちゃんが嫌なのと天音ちゃんの腕がぎゅっと首元に抱きついて離れないためそのまま。本当はお姫様抱っこしたかったが、後ろから抱きつかれて意識飛んだため仕方なくおんぶ。

雄英についてガヤガヤしてるので起きる。
デクを入れるなとか追い出そうとする一般市民に柄にもなくイライラしちゃう。
お茶子の演説で何とか受け入れてもらい、とりあえずデクをお風呂に。
この期間ずっとかっちゃんにおんぶしてもらってる状態。

「起きてんだろ」
『うん、おはよう』
「風呂行ってこい」
『ん、またあとでね』

背中から降りてお茶子に抱きつく。
言葉にはしないが、デクを助けてくれてありがとうの気持ちを込めて。



「久しぶりにみんなでおっふろー!」
「とりあえず!元気そうでよかったけど!心配したんだからね!」
「詳しくは出てから聞くから」
「そうですわよ!緑谷さんのこともそうですけど、天音さんも居ないと知った時は本当に悲しかったんですのよ」
「あなたいつもぽやぽやしてるから心配したわ」
「でもなんか、天音ちゃんは雰囲気変わってないね、デクくんはちょっとこう、ダークぽいっていうん?闇落ちしかけみたいな」
『よく見てるねえ』
「そういえばね!二人がいないって知った時の爆豪、ね!」
「爆豪くんね〜!怒りと寂しさ混ざったような感情が顔に出てたよ!」
「ウチらは手紙も何もなしに天音が消えたことにびっくりだったけどね?」
『いやあ、ごめんね、私も起きたら知らない場所で』
「なんて???」

お風呂も終えて、張り詰めていた糸が緩んだのか、お茶子は意識を飛ばしながらも何とか部屋に戻り眠りについた。
数名も部屋で眠る人と、共有スペースでデクと天音と過ごす人。

「天音ちゃん、あの、ごめんね連れ回して」
『別にいいんだけどね、』
「緑谷なんで天音連れてったの?」
「え!っと、それは、そのぉ〜、、」

勝手に個性のことを話していいのか頭の中で最適な答えを探すが、それより前に芦戸が閃く。

「…恋だ!」
「ここ、こ!コイ!!?ちちちち違うよ!!?」
「自分の目の届くところにいてほしかったんだねえ!」

爆豪の気持ちをほぼ全員が知ってるため、芦戸の発言にギョッとして全員の視線が一応この場に残ってる爆豪にいく。
ヂィッ!!と過去最高レベルの舌打ちをかます爆豪。

『全然そんなんじゃなくてね、私の個性を考えての行動らしいよ』
「天音の個性?」
『そう。居場所がわかるって言えばいいのかなあ、感じる?過去に一回だけそれ出来たことあって、自分の居場所バレないように連れてかれた』

ちなみに連れてかれた時は、居場所わかるなんてことできなかったけどね

「…え!!?何で!!?」
『なんて言えばいいかな、居場所わかるようにするには事前に仕掛けなきゃいけなくて。それに意図的に使おうなんて思ったことなかったから、出久が1人で敵退治してる間に特訓して使えるようになったから今は使えるけどね』
「僕の行動は…」
『まあ無駄だった』

グサリとハートにナイフが刺さるのが見えた気がする。

『でもみんな来てくれると思ったから、それまで壊れないように見守れたよ、ありがとう攫ってくれて』
「なんか、ものすごく申し訳なくなってきた」
『…A組のみんなに会えないのは寂しかったけどねえ』
「ゔっ、」

2本目のナイフが刺さる。

「俺らも寂しかったけどね!?」
「そもそも天音はどこに!?て事件だったし」
「いつもみたいに寝てるのかな?て思って昼過ぎご飯の時間で起こしに行ったらいないし!」
「パニックだったよ!」
「…でもよ〜、爆豪がなあ?」
「そーそー!かっちゃんねぇ、天音ならデクのとこだろ、て疑ってなくてねえ?」
「アイツは刺客とか事件に巻き込まれてたらヒントになるモン残すっつって!信頼されてるねえさすが!」
「でも心配は心配だったみたいでよ、落ち着きねえし訓練中もたまに注意力欠けてたし、いつも天音がいるとこに視線向けてたりここから部屋の方ずっと見てたり」
「風呂もさ、シャンプーしてちょっと考え事してたからか、またシャンプーしたりしてて!」

「…テメェら」
ブチギレ3秒前かっちゃん。

『勝己、ここ』

デクの隣に座ってる天音が逆隣をポンポン叩く。
ドカリと横の天音がちょっと跳ねるぐらいの勢いで座るかっちゃん。

横に座ったのを確認すると、近くに来たことで強く香るかっちゃんの匂いに安心して急に眠気が。

『かつき、』
「あ?」

放り出されてる右手に左手を重ねてぎゅっと握る。
『ありがとうね、』

心配してくれて。
迎えに来てくれて。
出久と向き合ってくれて。

「ありゃ、寝ちゃった」
「さすがに疲れが溜まっていたんでしょう」

かっちゃんの肩に寄りかかるように眠った。

「流石に羨ましすぎなんだが???」
「んだよ見せつけんなよォ…!」

上鳴と峰田の血涙にも気にせず、爆豪は手を握り、もたれかかったまま眠った天音にゆっくり視線を移す。
そして、自分でも無意識に目尻が柔らかく下がり、口角も緩く上がる。

「え」
「ちょ、ま」
「なんちゅー顔、、」
「こっちが照れるっつーの」

流石に聞こえないように爆豪の顔を見た全員が各々小声で呟いていたことを、普段の爆豪なら聞き拾って爆破が起こるが、今の爆豪は目の前の存在にしか意識が向いていなかった。


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