まるで焼かれているのでは、と錯覚するほど照りつく太陽。
蝉の鳴き声。
空気は湿度を含み、この容赦ない日差しと湿度で汗が服にへばりつく。
それに付け加え、この人だかり。
辺りを見渡す限り人、人、人。
この千葉県某山へと続く坂道の



「うぇぇ…暑い」

あまりの不快さに声を漏らした

「もう、姫子ったら、これぐらいで」

「うちの弟がロードレースっていうのやっててさ! 来週末レースやるんだよね……うちのって姫子の事好きだから、姫子が応援に行ったら喜ぶと思うの!! お願い、一緒に応援行ってくれない?!」
息継ぎもせず、迫られながらこんな事を言われたら、姫子は首を縦に振るしかなかった。
否、横に振る隙も与えられず「ありがとう!!」と手を両手せで握られた訳だが……
このやや強引な友達、もとい大内美夏は姫子の小学校から続く友達であり、
紫外線に直で当たりすぎると体調を崩してしまう体質の姫子は、長時間外で活動する運動は出来ず
学校の体育ぐらいなら問題なく出来るのだが、部活となると何時間外にいるか分からない。
帽子を被り長袖を着るなら長時間外で活動をしても支障は無いが、そんな格好で部活なんて到底出来る訳が無く、姫子は運動系の部活を断念するしかなかった。

「にしてもさ、姫子本当に大丈夫? お願いしといてあれだけど……無理だったら言ってよ?」
そう美夏は言うと姫子の背中を少しさすった。
自分がだらけているのは、体調というよりこの暑さでバテているだけなのだが、底抜けに明るいこの友人に少しでも暗い顔をさせてしまった事に姫子は罪悪感を覚え、だらけて丸まっていた背筋を急いで伸ばす。

「全然大丈夫だよ! 暑くてバテてるだけだし」
「本当? キツかったら言ってよ?」
「だいじょーぶ! 部活とかしなくなったら暑さに弱くなっちゃってさ……むしろここ山の近くだから普通の所よ涼しいよ」
「確かにね〜〜、なんか森の匂いっていうの? 気持ちいいよね」

美夏は、うーんと背伸びをし、深呼吸する。
バスケ部の美夏も、山に行く機会が滅多にない為新鮮だ。


「先頭が来たぞ!!」

観客の一人がそう叫び、その声に



緑色の髪の少年が、体を左右に大きく揺らしもの凄い速さで坂をのぼってきたのだ。





「うちの弟全然来ないじゃん!! もう!!」

すぐ隣にいる



ドクン

心臓が激しく鳴るのが分かる。
周りは、「何だあの緑」「変なダンシングだな」などざわざわと騒いでいるが、そんな雑音も他の応援も不思議と姫子の耳には入ってこなかった。

左右に大きく揺れ、今にも地面に体がついてしまうのでは? と不安にさえなる。
動きと共に揺れる短い緑色の髪



坂の上に行ってしまい、もう見えない緑色の少年の、あの独特な乗り方が脳裏に焼き付いて離れない。

何であんな風にして自転車が乗れるの?
なんであんな速く坂だのぼれるの?

「かっこいい……」








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