「だから、テニス部と一緒」

「美佐さん?あなたさっき、」

「えっテニス部いた!?T組の生徒の名前全員見てきたけどテニス部所属の人なんて……って、なんだジャッカルじゃん」

教室内を見渡す美佐の目に移り込んだのは色黒のスキンヘッドのようだ。

なら大丈夫だねー焦って損したよと笑う彼女だが、あいつもれっきとしたテニス部員だよ?
ああもう、できることならば今年は誰とも一緒にならずに静かな1年間を過ごして卒業を迎えたかったのに。それも、今となっては叶わない夢になってしまった。

「くそー!ジャッカルまた一緒なのかー!」

「はっ!?って、志眞じゃねえか」

「相変わらずのハゲめ。ツルツルで羨ましい肌だねまったくもう!」

「ほ、褒めてんのかよそれ……」

そう、彼とは2年生の時も一緒だった。
本当は関わるつもりなど毛頭なかったので、最初の3ヶ月くらいは話すことも目を合わすことも華麗に避けてきた。のだが、ある日突然……うんちゃらかんちゃらで仲良くなってしまいました!

って、別に省略するほどの出来事ではなく。
私が廊下で大量のノートをぶちまけた時に偶然その場にいて、拾ってくれただけではなく一緒に運んでくれたのがジャッカルだった。
優しい……!となって彼に対しては避ける行為を辞めたわけだが、こうして思い返してみると、ベタすぎる展開に笑いが出てくる。

「おい志眞!なんで俺を置いてジャッカルのとこ来てんだよ!」

「あたしをこいつと二人にしないで!」

「私の勝手でしょ。ああ、ごめんね美佐」

「星沢も久本も一緒のクラスなのか。……なんか、去年と変わんねえな今年」

そう言ってジャッカルは笑った。

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