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「ねぇキミ、弓道好きなの?」
風舞高校に入学した初日、名前順の席で隣になった男子――如月くんに突然そう聞かれた。
突然と言っても、自己紹介で好きな物は弓道だと自分で言ったからだろうけど。
「オレも弓道部だったんだ。あと、あそこにいる目つきのコワいやつも!」
「誰が目つきコワいだコラ」
隣の席の男子が指さした先には確かに目つきのコワい男子がいた。しかも地獄耳。
「よかったら、オレたちと一緒に弓道部入らない?」
「うん。部には入ろうと思ってたから、いいよ」
「ほんと!? かっちゃん、竹早さんも弓道部入るって!」
「かっちゃんって呼ぶな!」
教室のドアのところにいたかっちゃん? がこっちにやってきて如月くんに怒鳴った。
「なんでかっちゃんなの?」
「名前、小野木海斗っていうんだ。だからかっちゃん」
「あー、なるほど。かっちゃんだね」
「お前もそのあだ名で呼んでんじゃねえよ!」
「もー、女の子にそんな言い方しちゃダメっしょ」
小野木くんと如月くんは言い合い? を続けている。
仲良いなぁと思いながら眺めていたら、いつの間にか予鈴が鳴っており、2人とも先生に注意されていた。
*****
夕方、自宅に帰る途中で前を歩く湊を見つけた。
私が風舞高校に入学することは言わず、校内でバッタリ会って驚かせようと思ってたのに結局会わなかったから、完全にバラすタイミングを逃していた。サプライズのため両親に口止めまでしたのに。
「湊、おつかれ」
「静華? って、その制服……!」
振り向いた湊は私を見て驚いていた。なんだかんだでドッキリ大成功。
「びっくりした?」
「したに決まってるだろ! なんで静弥もお前も風舞に入ってるんだよ」
「セーラー服の方がかわいいから」
「……そんな理由で?」
「うん。嘘だけど」
「はぁ……」
「いいじゃん、知り合いいてラッキーでしょ。――あ、クマ」
「お前マイペースすぎないか?」
庭から顔だけ出している飼い犬の"クマ"を見つけて撫でに行ったら湊に呆れられた。
「静弥は?」
「なんか用事があるって」
「ふーん。あ、お茶してく? 湊の好きなお茶菓子あるよ」
「……いい。今日は帰る」
「残念。じゃあまたね」
「ああ」
湊はクマをひと撫でして帰って行った。