ALL OUT!!
・石清水澄明/男主(同級生)
【夢主】
・神奈川高校1年5組。祇園の隣の席
・195cm/70kg
・趣味は読書で文芸部所属
・石清水とは文芸部の仮入部で知り合い仲良くなった
*****
【石清水視点】
神奈川高校に入学してすぐ、僕には好きな人ができた。
その人はとても優しくて恰好良くて、気も合ったし趣味も合った。
身長は僕よりも高くて、性格は全然違ったけど、こんなに共通点が多いなんてもはや運命なんじゃないか、なんてロマンチックなことも考えた。
でも、性別も一緒だった。
だから絶対にバレたくなくて、最近はちょっと彼――登坂君のことを避けてしまっていた。
登坂君と同じクラスで隣の席だという祇園君は、彼から僕に避けられていることを相談されたと言っていた。
とても後悔しているけど、また登坂君に会ったら恥ずかしくてどうにかなりそうだ。
……と、そんな風に悩んでいた時のことだった。
午前の授業が終わった昼休み、トイレに行ったら登坂君がいた。
彼は僕に気がついて一瞬驚いたような表情になったけど、すぐに目を逸らされてしまった。
……やっぱり、避けたりなんかしなければよかった。
同じようなことをぐるぐる考えていたら、彼はさっさと手を洗ってトイレから出て行った。
僕が悪いのはわかっているけれど、挨拶も出来なかったことに泣きそうになる。
重い足取りで教室に戻ろうと廊下を歩いていると、
「おい石清水」
「ひぃっ!」
突然後ろから肩をポンと叩かれた。こんな風に話しかけてくるのは祇園君か、登坂君くらいだ。
振り向くと、
「うぐっ」
頬を指で刺された。
小学生みたいないたずらだったけど、それをした張本人である登坂君は少し不機嫌そうな顔をしている。
「登坂、君……」
「弁当持って俺と一緒に来い」
「えっ……あっ、はい!」
何がなんだかわからなかったけど、登坂君の気迫に押されて言われた通り急いで教室からお弁当を持って廊下に戻ると、彼も自分のお弁当を持ってきていた。
無言で歩く登坂君に着いていくと、着いたのはあまり人気のない中庭にある小さなベンチだった。
そこに並んで座り、お弁当を広げる。
と、
「石清水、最近俺のこと避けてるよな。俺、お前になんかした?」
登坂君は突然そう言った。
「ち、違うよ! その、登坂君は全然悪くなくて、僕が、あの……っ」
心の準備が出来ていなかったからしどろもどろになってしまう。
「僕が、勝手に悩んでて……登坂君に嫌な思いさせたよね……ごめんなさい」
登坂君の方を向いて頭を下げた。
少しすると、頭上から長い溜息が聞こえた。
呆れさせてしまったかと思って顔を上げる。
「俺、知らないうちに何かして、嫌われたのかと思った」
「ええっ!? 僕が登坂君のこと嫌うなんて絶対ないよ! むしろ僕の方が、うじうじしてるし、なよなよしてるし……嫌われても仕方ないっていうか……」
「何言ってんだよ。俺がお前のこと嫌うわけないだろ」
「えっ」
登坂君を見ると、彼は突然ハッとしてそっぽを向いてしまった。
「い、今のなし。すげー恥ずかしいこと言った。忘れろ」
髪の間から見える耳が真っ赤になっていた。
「僕、そんなこと言われたの、初めてだよ」
「忘れろってば」
「いやだよ。絶対忘れない」
「お前……言うようになったな」
確かに、こんなにはっきりと人に意見することはあまりなかったかもしれない。
「はぁ……もーいいや。――で、何に悩んでたんだよ?」
「いっ、いや、それは……」