音と声と愛と(ロー)
ガチャガチャと耳障りな音、ソレを立てているのは私だけれど…。
「おい、うるせぇって」
この男は口の端をクッと持ち上げて、至極楽しそうに私を見下ろした。
その目に映るのは、私の手にはめられてる…枷。
「睨むなよ。そんな目されたって、俺は嬉しいだけだぜ?」
「トラファルガー」
「ああ」
「トラファルガー」
「もっと呼べよ」
口を閉じた私に、一度舌打ちをするとこの男…トラファルガー・ローは私の目線に合わせてしゃがんだ。
「ああ、ああ。お前が無理に引っ張るから、手首赤くなっちまってる。痛いか?」
「外して」
「………なんで、さっさと俺のものにならない」
「早く、これ取って」
耳障りな金属音がトラファルガーによって止められた。
軽くなった腕に驚きを隠せないでいると、トラファルガーはその腕を握った。
「リン…お前が俺のものになればこんなことしない。一言、俺を好きだと言えばいいんだ」
「トラファルガー」
「好きなんだよ。リン、俺はお前しか…」
わかってる、この手枷が取れたからといって、私はこの男から逃げられはしないと。
それでも、私はトラファルガーに愛を呟くことは………。
「リン…呼んでくれよ。名前を」
「トラファルガー」
「もう一度」
「トラファルガー」
「ああ、もっとだリン」
「トラファルガー・ロー」
その瞬間、強い力で体を包まれた。
「愛してるリン、愛してる」
耳に届く、その声は再びの金属音にまぎれて消えた。
END
20110830
ALICE+