どんな顔して(珪)


※教師夢主


「葉月くん、起きなさい」

「ん…りん先生?」

「授業で寝るのはまだ許せる。でも、テストで居眠りして0点取るなんて考えられない。しかも、そのテストの補習授業でも寝るなんてありえない」

「…そう、ですか?」

「しっかり目を開けなさい。やる気あるの?」

「あんまり…ない」

「もういい加減にして葉月くん」

「怒った…?」

「すごく怒りたい」

「怒らないでください」

「………はあ、もういいや。それ宿題にするから終わったら持ってきて」

「…それはやだ」

「期限は決めないから、成績も関係しないし、のんびりやっておいで」

「やだ。今、補習受ける」

「葉月くん、私は遠まわしに提出もしなくていいって言ったんだよ?」

「りん先生の補習授業受けます」

「…まあ、そう言うなら始めるけど。今度寝たら知らないからね?」

「ん…」



* * *


「葉月くん…」

「なに…?」

「なにじゃないでしょ。なんでわからない振りするの?」

「ふりなんてしてない」

「でも全然課題進んでない」

「わかってるけど進めてない、だけ」

「なんのためにそんなこと…」

「これが終わったら帰らなきゃいけないから」

「………家に帰るの嫌なの? 家の人と、上手くいってない?」

「いや、それは大丈夫。両親は家にいないし」

「家に一人でいるのが嫌…とか」

「そうじゃなくて…。りん先生、補習が終わったら一緒に帰りませんか」

「ん…まあ、いいけど」

「じゃあ、すぐに終わらせる」

「すぐに終わるなら最初からそうしたらよかったのに」

「…りん先生と、一緒にいたかっただけだから」

「………え? 葉月く」

「はい、できました」

「え、あ…早い」

「俺、正門で待ってます。…それじゃあ」

「ちょっと! 待っ………言い逃げなんてずるいなあ、もう。どんな顔して正門に行けばいいのよ」



(どんな顔してりん先生を待ったらいいんだろう………。ま、いいか)



END

20100623

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