スパイミッション(瑛)


「おいりん!」

「え? あイタッ。瑛くんいきなりチョップしないでよ!」

「うるさい。って言うか、お前どういうつもりだよ」

「どうって何が?」

「バイトだよバイト! アルバイト始めたんだろ?」

「よく知ってるねー。今週からでね。駅の近くだから学校帰りに」

「そんなのどうだっていいんだよ。バイト探してたとか知らなかったし、決まったのも聞いてない。お前、どういうつもりだよ」

「…だって言いづらくて」

「何がだよ。もしかして、人に言いづらいようなやらしいバイトするのか!?」

「違うよ! バイト先が…その、駅前の喫茶店だから…」

「………はあ!? なんだよそれ、なんなんだよ!」

「ごめ」

「俺が喫茶店で働いてるって知ってるだろ? なんでそんな所で!」

「しょうがないでしょ。ちょうど募集してたんだから」

「もうお前はあれだ…敵だ! 俺を応援してくれるって言ってたくせに。裏切り者」

「…そんな言わなくたっていいじゃん。瑛くんのことは応援するよ」

「でもりんは商売敵になっちゃったし。もうりんにコーヒー淹れてやらないからな」

「えーなにそれ、意地悪!」

「意地悪じゃない。お前が無神経なのがいけないんだ」

「………瑛くん酷い。それじゃあどうしたらいいのさ!」

「そんなバイトは今すぐ辞めなさい」

「そんなっ無理だよ…迷惑かけちゃうし、それに新しいバイト見つけるの大変なんだから」

「…じゃあ、いつなら辞められるんだよ」

「せめて三ヶ月くらいは」

「じゃあ、三ヶ月経ったらそっち辞めて、俺のところでバイトな」

「えっ…でも募集してるの?」

「してないけどじいちゃんに頼む」

「えっ悪いよ! いいよ!」

「他の喫茶店で働く方が悪い! それにじいちゃんもバイト募集しようかなって言ってたから気にすんな」

「そっか…」

「三ヶ月は、まあ潜入調査だと思って許してやるから、くれぐれも絆されないように」

「スパイみたいだね! 」

「ああ、スパイだな。じゃあ、りんを今日から喫茶珊瑚礁のスパイ捜査官に任命します! 三ヶ月みっちり働いて技術盗んで来いよ」

「ら、ラジャー!」





END

20100620

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