願い(エヴァ・レイ)


※百合注意


「そう言えばレイは誕生日いつなの?」

リンの部屋のソファで二人ぼうっとテレビを見ているとたまたま知らない芸能人が誕生日だと騒がれていた、そのままの流れでリンはレイに聞いた。

「3月、30日」

「へえ、そうな……えっ。3月30日って。あ、明日だよ?」

「そうね」

何か深い意味があるわけでもないリンは「へえ」の一言で終わると思っていたが、レイの返事に思わず思考をとめて、レイを凝視した。

「リン、そんなに見つめないで、我慢できなくなる」

「我慢って何の! それより誕生日、どうして教えてくれなかったの?」

「聞かれてもいないのに自分から言うのはおかしいでしょ」

「確かにそうだけど……でも明日なんて、どうしよう私プレゼントとかなにも用意してない」

困ったように俯いたリンを見てレイは微笑みリンに近づいた。

「いいの、私はリンがいてくれればプレゼントなんていらないわ。あ、でもひとつだけ欲しいものがあるの」

卒倒しそうな綺麗な笑顔に、思わず何でもあげるよ! と言いそうになったリンだが、ジワリジワリと詰められる距離に嫌な予感がして冷や汗を流した。

「あ、あの。レイ」

「ふふ、可愛い。私の欲しいもの言わなくてもわかる?」

「わ、わからないけど、知るの怖いかも」

「怖くないわ、怖いことなんてしない」

「その発言が怖いよ」

ソファの端まで追い詰められ重くない程度に体重をかけられたリンは何とか逃げようと試みるが、押し倒されたような体制で殆ど身動きがとれなかった。
眉を下げるリンを満足げに眺めてレイは顔を寄せた。

「ちょっとちょっとレイ!」

「今ストップかけるのは無粋よリン」

「ぶ、無粋って、何するの?」

「この状況でそんなこと聞くの? そんな怯えた目して、煽るだけだわ」

慌てるリンの顔を固定したレイは強めの力で押さえつけると耳元に唇を寄せた。
何とか逃げようと体を捩っても全く効果はなく、寧ろレイの押さえつける力は強くなる一方で、細い体の一体どこにこんな力が隠されているのかとリンは場違いな考えに浸った。

「リンが好き。ずっと私のことだけを考えていてほしい」

「レイ……」

「貴女の気持ち。それが私の欲しいものよ」

レイの言葉が終わった瞬間、唇が重なった。
リンは目を開いたままレイの伏せられた長いまつげをただ見つめていた。
いつまでも続くキスはレイがそっと目を開いたことで終わった。

「キスしている時くらい目を閉じてリン」

そう言ったレイは慈しむようにリンの顔に手を伸ばした。
瞼を撫でられ思わず目を閉じたリンを確認して、レイはもう一度唇を合わせると今度はじっくりと深くした。

もう、数分前の二人には戻れないと確信したリンは抗うことはしなかった。
ただ、レイから与えられる好意が心地よいと感じている自分に少しだけ戸惑うだけだった。



END


20130326

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