皆で飲んだ帰り道、二軒目へと向かう李典殿達に断りを入れて、私と彼女は城へ戻ることにした。私は二軒目に行ってもよかったけど、彼女に視線を送ったら彼女は小さく首を振った。元々彼女と二人で飲むつもりで街に出たし、良い時間でもあったから、私も彼女と共に帰ることにした。先程の席では話せなかったことを話しながら城へ向かう。そして城に近づいて来た時、彼女が少しそわそわし始めた。何か気になることでもあるのかと聞こうとしたら、彼女の手がすっと私の手を掴み、そのままそっと握った。彼女からこのような行動をしてくるなんて滅多にないから、驚いた私はじっと彼女を見つめる。彼女は顔を真っ赤に染めて、顔を背けた。それでも手は離さない。普段自分から甘えてくることのない彼女がこうして少しずつ甘えるよになってくれるのはとても嬉しい。緩みそうになる口元を抑え、指を絡めた。少し手に力が入ったけど、離す様子は見られない。少しでもこの時間が長く続くようにと、城へと向かう歩みを遅めた。



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