満寵と年越し*
大掃除、年賀状、お節作りと年末の大仕事を終えて迎えた大晦日。年越しそばを食べて、紅白を流しながら今年最後の時間をまったりと過ごす。お茶を用意してこたつに持っていき、伯寧の隣に入った。そんなに大きなこたつじゃないから横並びはできないけど、伯寧が少し横にずれてくれたおかげで何とか足をねじ込めた。伯寧に寄りかかって、初めて聞く歌手の歌や有名なアイドルの歌を聞き流していく。曲の合間にお茶を飲んでいたら、伯寧がねえ、と尋ねてきた。
「紅白見終わったら初詣に行くんだよね?」
「うん」
「ちょうど日付け変わる時間帯だから人が多そうだね」
毎年伯寧とは夜中に初詣に行っているけど、いつもはガキ使を見てから行っていた。でも今年はガキ使をやっていないから、紅白後に行くとなると二年参りの人達と被って神社や屋台の人が凄いことになっていそうだ。
「はぐれないようにずっとくっついてるね」
「はぐれたとしても君だったら私をすぐに見つけられるだろう」
「そうだけど」
伯寧は背が高くて人混みの中でも目立つから、見失ったとしてもすぐに見つけることはできる。伯寧の言う通りだけど、そうじゃない。そう理由をつけて外でもくっついていたいだけ。言葉にはしないで苦笑いを浮かべたら、伯寧はわかっているよとでも言うように手を握ってきた。
「まだ早いよ」
「私が今君に触れたくなっただけだよ」
伯寧はそう言うと、額をくっつけてきた。少し勢いが強くて、ごつんという音が自分の体に響く。ちょっと痛かったけど、額から伝わる伯寧の温かさでじんわりとほぐれていった。
「今年も一緒にいてくれてありがとう。来年もよろしくね」
「こちらこそ。来年も色んな思い出を一緒に増やしていこうね」
伯寧の言葉に、今年伯寧とできた沢山の思い出が浮かぶ。思い返せないくらい沢山の思い出が溢れてきたのに、伯寧は来年ももっと増やそうと思ってくれていることが凄く嬉しかった。返事をする代わりに、少し顔を上げて唇を重ねた。繋がれた手に指を絡めて、そのすぐ後に舌を絡める。自分からキスをすることはあまりないけど、今はそうしたい気分だった。伯寧もそれに応えてくれて、熱い吐息が行き交う。少しずつ体重をかけられて、そのままゆっくりと押し倒された。首に腕を回したら、更に深く舌が絡み合う。その時、紅白で一番聞きたかった歌手の歌が流れてきた。反射的にテレビの方を見てしまったけど、すぐに伯寧の手が頬にかかり、伯寧の方へと戻される。テレビを遮るように角度が変わり、服の裾からも伯寧の手が入ってきた。今回の初詣も結局いつもと同じ時間になりそうだ。でもこれが今年最後で、来年最初の伯寧との思い出になる。そんな大晦日の思い出があってもいいんじゃないかと思いながら、伯寧の手に全てを委ねた。
20210331