綺麗な○○には棘がある
二丁目でママたちに可愛がられる以蔵さんが居ても良いと思うの。そんな気持ちで書きました。
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2018年、某日。かつて特異点となったこの地に再び目立ち始めた残滓を取り除くべく、岡田以蔵はそこにあった。ビルの屋上を軽やかに転々と舞い、目についた裏路地へ落ちながら着物を切り替える。普段纏うインバネスコートも元は西洋のものであるが、それでもこの時代には浮くようで。
「まっこと、窮屈よなぁ」
白いシャツに黒のチョッキというスーツスタイルで見事着地した以蔵は、ため息混じりに襟元を寛いだ。マスターの頼みともあって着たものの、肝心なマスターは近くに無い。話には聞いていたが、やはり何らかの影響が未だ残っているらしく、レイシフトした時には既に散り散りとなっていた。
(ふん、つまらんのう……)
万が一散った場合、マスターは令呪を以てサーヴァントを呼び寄せる事となっている。自分にその強制命令は来ていない。つまりは、別の誰かが呼ばれたという訳だ。元よりそういった協力をすると話はあったものの、やはり腹に溜まるものは溜まるのだ。
━━━自分では無かった。では、誰が?
考えても仕方の無い事ではあるが、近くに気配を感じないからか、どうしてか気になってしまうのだ。
「あら、こんな人気の無い所でどうしたのかしら?」
「おん?」
以蔵が悪態を吐こうとした矢先、背後から何者かに声を掛けられた。それが一般人のものであると気配を読み取ってから、以蔵はゆっくりと振り向いた。
「酔ってる訳じゃあ、なさそうねぇ?」
やけに背の高い女であった。細身の身体に不釣り合いな豪勢な毛玉━━ファーを片身に纏い、不思議そうに此方を見下ろしている。赤地に金糸で細かな模様の入った衣装は、似たようなものを以蔵はカルデアで見たことがあった。ちゃいなどれす、だ。殺風景な裏路地に、その女はあまりにも不釣り合いであった。
「連れとはぐれたのかい?まあ、何でもいいさ。時間があったらちょっくらウチに寄ってかないかい?」
「何じゃと?」
得体の知れぬ男を家に誘うとは。以蔵は警戒心と怪訝さを含んだ目で女を見たが、どうやら本気であるらしい。それでも牽かれるものは無く、それよりも早くマスターと合流せねば。断ろうと口を開きかけ、ふと思い立った。
「調査の基本は情報収集から。無闇矢鱈に喧嘩売ったりしないで、なるべく話を聞くように」
レイシフト前、部隊を編成した際にマスターはそう言った。特異点で何が起きているのか、まずはそれ知るべきなのだという。
「なんだい、急ぎの用でもあるってのかい?」
「いや……いい。おまんの話に乗っちゃる」
「あら、お兄さん随分と訛るねぇ。この辺りにはそんな男居ないから新鮮」
「馬鹿にしちゅうがか?」
「まさか。ステキって事さ」
女が歩き出す。細い靴底が、カツカツと小刻みに地面を叩く。以蔵は静かにその後に続いた。
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「ふっ、ぐっ!」
「あはははっ!良いわ!良い顔をするわね、アナタ。あら、名前をまだ聞いていなかったわ」
「おまん、わしを騙したんか!」
「騙す?誘いに乗ったのはお兄さんじゃない」
所詮は人間相手、力ずくでは如何様にも出来る。そうは分かっていても、加減が出来る気がしなかった。たどり着いた屋敷の一室で待っていたガタイの良い男二人に殴られる様は、痛みこそさほどでは無いものの視覚的なものは大きく影響する。加えて罠であった事を次第に感じ取り、沸き上がってきた何とも言い難い感情によって思うように身体が動かなくなっていた。恐怖、だろうか。以蔵は知っていた。何となく理解出来た。これからここで何が行われるか。いくら時代が変わっても、そういった人間の腹に違いは大して無いのだろう。
「おかしいわね、そろそろ薬が効いてきても良い頃なんだけど」
「はん、わしに薬じゃと?そんなもん効かん」
「あらやだ。強いのねぇ。ゾクゾクしちゃう」
ニ、と女が笑った。その瞳に宿る底知れぬ何かを見た気がして、全身が粟立った。
「くっ!このぅ、何をしゆう!」
「可愛いお尻。何となく分かってたけど、随分と身体鍛えてるのね」
「ど、どこ触りゆうがか!」
ガタイの良い男二人に押さえ付けられ、地に伏した姿勢となった以蔵の尻を、あろうことは女はその白い手で撫で付けた。谷を確かめるように上下する指先が、時折以蔵のソレすら握りこみ、不愉快であった。
「あらあ、見事な筋肉!ほんと、ステキだわアナタ」
「くっ、やめい!」
女の指がシャツのボタンを難なく解き、以蔵を脱がしにかかる。はだけさせられた二の腕をその指がいとおしそうに撫でる。
「おんやぁ、これは?なんだい、不思議な墨だねぇ」
それは忌々しくも以蔵の生きた証でもある入れ墨であった。晩年京で追われ続けた人斬り以蔵は、盗人の罪で捕らえられた。その際入れられたものである。女はそんな事など知る由もなく、2つ並ぶ長方形のようなそれを撫で、口付けさえ落とす。真っ赤な紅が、鮮やかに二の腕に残された。
「大人しいのね。もしかして誰か来てくれる予定でもあるの?」
「何の話じゃ」
「まあ、ここを見付けられる人なんてそう居ないでしょうけど」
「なっ、おまっ……!」
話しながら、女が以蔵のベルトを外していく。躊躇いもなくずるりとズボンを落とされ、今度は下着越しに、女は以蔵の尻に口付けた。
「お兄さん、こっちは初めて?」
「は……?」
指先がぐっと押し付けられ、以蔵は臓がキュッとなる気がした。こっちとは、尻の穴の事である。なぜ女はそんな事を聞くのか。男のソレに似せた張型があるとは聞いていたが、まさかそれを自分に使うとでも言うのか。いや、そうではない。混乱する思考回路の何処かで、以蔵は違和感を覚え始めていた。
「ふふ、可愛がってあげるからそんな顔しなくて良いのよ?」
「な、なんじゃあ……」
思いの外溢れた声は震えていた。腕は何時の間にか鎖に繋がった手錠で自由を奪われており、気付いた時には足もそこにあった枷に捕らえられた。初めからここはそういう場所だったのだ。男らに無理やり引き摺られ放られた理由が分かった。
「や、やめ……!」
「はいはい、力抜いてねボーヤ」
下着も下ろされ、以蔵のそれが露になる。ひんやりとした外気に、既に先走りが溢れてるのを感じ自分を恥じた。幾ばくか硬さを持ち始めたソレを、細い指が握りこむ。睾丸を揉まれ、ぞわりと戦慄が走る。
「ふふ、ありきたりな台詞だけど身体は正直ねぇ」
「くそぅ、放さんか!」
「暴れないで、可愛がってあげるから」
「おまん、何を……!」
女はごろりと寝転ぶと、以蔵の股下に頭を入れた。唇が先端を掠める。間髪置かず、女はべろりと以蔵のソレを舐めあげた。
「ふあ……っ!」
「良い反応だわぁ。何されてるか見えないのってすごく興奮するでしょう?」
「や、やめい……!」
「どうして?こんなにも硬くなってきてるのに。イケナイ子ねぇ」
「はうっ……!」
柔らかな唇が包み込むようにソレをくわえ、舌がチロチロと先端を刺激する。随分と久方ぶりの感覚に、以蔵は己が初々しく反応する事を止められなかった。指が、舌が、唇が、以蔵のソレを刺激していく。鋭い快感となって、溺れさせていく。
「や、やめっ……やめんか!」
「んー?やーら」
「ふぅっ……く、くわえながら喋るんじゃなか!」
聞こえるのはジュブジュブという卑猥な水音と、女は動く度発せられる鎖のぶつかり合う金属音と布ずれの音ばかり。それと、自身の荒く吐き出される息であった。
「あっ、は……うあっ!」
「んっ!んん、あらぁ、イっちゃった?」
女は吐き出されたものを飲み込み、漸く股下から這い出てきた。情けない。騙され捕らわれ、挙げ句の果てにこんなにも早急に果たされるとは。
「うふふ、気持ち良かったみたいね。ボーヤのココ、物欲しげにひくひくしてるわぁ」
「うっ……」
水を纏った指が、押し付けられる。窮屈なそこを無理やりに広げ、入ってこようとしている。これ以上声を出し、女の思い通りになってたまるか。以蔵はそう思い、唇を噛んだ。
「んっ!?」
「甘い香りがするでしょう?媚薬たっぷりのローション。ほら、滑りが良くなってすぐにでも指を飲み込みそうよ」
冷たいと感じたソレは、すぐに熱を持ち始めた。小さな痺れのような刺激が腎部に塗り広げられ、指が再びナカへ入ろうと押し付けられる。女の言う通り、その奇妙な液体によって先ほどの抵抗が嘘のようにゆっくりと飲み込まれていく。
「はっ、ああっ……」
「そう、良いコよ、ボーヤ。アタシの指を感じてちょうだい?入ってるの分かるでしょう?」
ぐちぐちとナカで指が動かされる。痛みよりも、快楽へ誘う白き刺激の方が勝っていた。正直な身体は竿を既に持ち上げ、てらてらとした滴を吐き出そうとしている。
「受け入れる気になったのかしら?」
「なん、じゃと……」
「抵抗されるのも面白かったのだけども」
いいわ、と女は一人納得し、ごそごそと服を脱ぎ始めた。自由の許される限り後ろに視線を向け、女を睨み付ける。いや、そこに女が居るはずであった。
「な……」
脱ぎ捨てられた下着は確かに女のものであったが、露になった肢体は成人した男のそれであった。中央で太く勃ち上がった逸物が、間違う事なき男であると主張している。
「なんだい、その顔。まさかアタシが本当に女だと思ったのかい?あはは、お兄さん本物のお登りさんだったのか!」
以蔵はもはやショックであった。ただ、これからソレを自身に入れられてしまうのであろう事が怖かった。貞操を失う事よりも、その行為に伴う痛みが怖かった。
「い、嫌じゃ……痛いのは嫌じゃ……」
「大丈夫だって。痛いのは初めのうちだけさ」
それが嘘である事を以蔵は知っている。痛いものは痛いのだ。
「ひっ……嫌じゃ、堪忍せい……!」
「だーめ。ほうら、入ってくじゃないの」
「あぐっ……い、嫌じゃ嫌じゃ!抜いとおせ!」
ぐりぐりと押し付けられるそれが、無理やりに肉を開いて挿入されていく。大して慣らされても、本来その用途では無いそこに異物が入っていくことも相まって想像以上の痛みが走った。
「ああああああっ!嫌じゃああああ!」
「こっち側がそんなに嫌かい?安心しな、すぐにこっちにハマってしまうさ」
男は以蔵が女役である事を嫌がっているのだと思い込んでいた。まさか痛いのが嫌だと、大の大人がそんな事で泣くとは思いもしないだろう。だから自分勝手に押し入れると、思いのままに腰を振った。
「あああっ!い、痛いき!やめとうせ!」
「はははっ、チンコこんなにおっ勃ててんのにかい?」
「ひうっ!さ、触るんじゃなか!」
「そうかいそうかい。そんなに気持ち良いのかい」
「や、やめっ……うっ!」
前から後ろから攻め立てられ、嫌が応にも感じてしまう。先端に塗りたくられた先走りがベタベタし、陰毛が肌にまとわりつく。ぐちぐちと音を立てる後穴に、何度も何度も男のそれを突き立てられる。男は慣れていた。男を抱く事に。男を絶頂へ導く術に。
「うぐっ、あっ……やめ、やめとうせ!む、無理じゃ!」
「イきそうなのかい?いいよ、思う存分イくといいさ」
「ああああっ!嫌じゃあ!」
「んっ、アタシもそろそろ……」
男がナカで果てるつもりなのが理解出来た。ビクビクと刺激に波打つ身体に、思考は既に追い付いていない。ただひたすらに真っ白になった感性に、強い快楽の刺激だけが押し寄せてくるような感覚であった。そして。
「あっ、やっ、やめ!やめとうせ!嫌じゃ……あああああっ!」
「んんっ!あ、あはは、アンタのナカ熱いねぇ」
己の奥深く。白濁とした欲を吐き出されたのを感じ、以蔵は意識を飛ばした。
mae|tsugi