EVER GREEN
──天ちゃん先生、地元の出身なんだって。東京の大学に行って就職したけど、夢破れて帰ってきたらしい。
そんな会話が聞こえてきたのは、昼休みに入ってすぐのことだった。
あの担任教師の夢とやらに特に興味はなかったが、同級生の繰り広げる会話はなんとなく耳が拾ってしまう。
窓の外をぼうっと見上げると、鳶が群れずに一匹だけで空を飛んでいた。
─夢破れてしょうがなく教師になった奴が生徒を教えるってどうなんだよ。
ため息をつく。帰りたい。率直にそう思った。
帰りたいと思ったなら単位も出席日数も気にすることなく早退してしまうのが遙である。
しかし、隣の席の真琴はにこりと遙に笑いかけた。
手には、オレンジ色の包みにくるまれた弁当を抱えている。
「お昼、屋上で食べない?」
こういうのは察しが悪い。
遙は眉間に皺を寄せた。普段は遙の考えていることを把握してしまう真琴だが、遙が密かに早退を狙っていることは何故だか察してくれない。
遙が口を開こうとしたとき、前の席に座っていた名前が振り返ってきた。
「ハル、まさか早退しようなんて考えてないでしょうね?」
こちらはこういうことには妙に察しがいい。
普段は遙の考えていることなど一切として察してくれないわりに、早退しようとかテストをサボってしまおうとか、遙のサボり癖には目敏く反応する。
──めんどくせ。
口の中で小さく呟いたそれに、名前は気が付いただろうか。
にっこりと口角を上げて遙を座席から立ち上がらせ、名前は机のサイドにかけていた弁当の包みを手に持った。
昼食時の解放感から、廊下が騒がしくなってきた。
ちらほらと他クラスの生徒が友人を求めて二年一組の敷居を跨いでゆくのを横目で見て、遙は一つため息をついた。
結局、真琴と名前に両脇を固められるままに遙は屋上へ連行された。
昼時の教室はガヤガヤとした雑音が多くて好きではなかったので、屋上へ向かうことに異存はない。しかし、すっかり昼食を摂るつもりらしい能天気な二人には物申しておかねばならないことがある。
特に、おおよそ人の心がない名前に対して。
「昼飯持ってきてない。」
屋上へ向かう道すがら、階段の踊り場で声を上げる。
ぴたりと足を止めた名前と真琴、特に名前の方を恨めし気にじとりと見つめ、続けて口を開く。
「名前が俺の分を用意しなかったから。」
「自分のお弁当くらい自分で用意しなさいよ。」
「午後は早退するつもりだったから用意しなかった。」
「私のせいだって言いたいワケ?」
「お前が早退させてくれないからだろ。」
「当たり前でしょ!また一年の時みたいに遙の出席日数がギリギリ足りないかも──なんて、ママやパパに言えないわよ!」
そのうち掴み合いの喧嘩になりそうな雰囲気に、真琴はうろたえた。
まあまあ、と二人の間に入っていくが、真琴の身体を挟んで両側から遙と名前は互いを睨み合う。
「ハル、購買でなんか買えば?ね、そうすれば問題ないでしょ?」
「ある。名前が人でなしだって校内に周知させる必要がある。」
「あるわよ。ナチュラルに私を便利屋だと思ってる遙の腐りきった根性を叩き直す必要がある!」
「俺がいつお前を便利屋にした?むしろお前の便利屋になってるのは俺だ。」
「はあ?あんたが私に何をしてくれたことがあるっていうのよ。」
「毎晩夕飯を作ってるのは俺だ。ちゃんと名前の分も作ってる。」
「その代わり食器の後片付けは全部私でしょ!なんなら掃除も私だし!」
「風呂場の掃除は俺がやってる!」
こうなると、この似た者同士の双子の喧嘩は長い。
真琴はそれこそ蓮と蘭の喧嘩をしょっちゅう宥める立場にあるが、引っ込み思案な蓮と勝気な蘭の喧嘩とは違い、どちらも負けず嫌いという性質が共通してしまっている遙と名前の喧嘩は長い。それこそ、周囲が忘れたころまで冷戦状態が続いていたりする。
外見もそっくりなら、腹の立て方まで似ているのだ。
新学期早々に喧嘩はよろしくない。真琴は慌てて制服のポケットから新聞紙の包みを取り出した。
「あ!それともこれ食べる?スルメイカ。」
「……。」
「……。」
両方向から、真琴の手の中にある新聞紙に視線が注がれる。
日付から察するに、包み代わりになっているのは昨日の新聞である。
遙はそれをどうでもよさそうな視線で見下ろしていた。
「真琴、あんた何でスルメ持ってんの?」
「今朝、ハルたちの家に行く途中で田村さんに貰ったんだよ。」
「ああ……田村さん、会うたびに何かくれるよね……。」
「スルメ……。」
遙は、何か言いたそうだったが結局スルメを手に取った。どうやら昼食にするつもりらしい。
これがいい策だったのかどうかは分からない。しかし、結果的にスルメイカで二人の気を逸らせたらしいことにほっと胸を撫で下ろす。
その時だった。
「ハルちゃん!まこちゃん!名前ちゃん!」
階段の、一つ下の踊り場から聞こえた明るい声。
自分たちを呼ぶその声に、三人は下方へ視線を向けた。
「久しぶり!」
明るい金髪──柔らかな癖っ毛にどこか見覚えがあり、名前は動きを止めた。
締めているネクタイの色から察するに、一年生。真新しい制服は、糊が利いていて見た目にも清々しい。
こちらを見上げる少年は、“僕も岩鳶高校に入ったんだ!”と嬉しそうに頬を上気させた。
「まこちゃん……?」
「ハルちゃん……?」
「名前ちゃ……って、」
「「「あっ!」」」
──渚!?
三人仲良く揃った声に、少年もとい渚は、にこりと微笑んだ。
葉月渚。思い出した。岩鳶SCに通っていた頃の後輩だ。
にこにこと当時と変わらぬ笑顔を湛えて階段を上ってくる渚は、勢いよく最後の数段をジャンプして真ん中にいた真琴に飛びついた。
まるで、小柄な犬が飼い主を見つけて尻尾を振って飛び掛かるみたいに。
「おっと、」
小さく声は上げたが、真琴は軽々と渚を受け止めた。
「さっすがまこちゃん!変わらぬ力持ちぶりだねー!」
嬉しそうに笑う渚が、今度はくるりと名前の方を向いて微笑みかける。
記憶の底にある小学生だった渚よりもかなり背が伸びていて、もう顔の位置が名前より上になっていた。
「名前ちゃんのことは入学式で見たよ!生徒会の人の紹介の時、名前ちゃんに手振ろうかなって思った!」
渚は名前の手を握り、ぶんぶんと振り回す。
「えっ、そうだったの!?ごめんね、全然気が付かなかった……。」
「仕方ないよ〜。新入生だけで百人ちょっといるんだし、気が付かなくてもしょうがないって。」
県立岩鳶高校の定員は、例年通りであれば百二十人。誤差はあるものの、どの学年もだいたいが一クラス三十人前後で一学年につき計四クラスある。
一応、入学式の前に新入生の名簿には目を通したつもりだったが、知り合いの名前があるとは思わずに葉月渚の文字を読み飛ばしてしまっていたらしい。
知らなかった、と呟いて名前は渚に振り回されるままに腕を上下させた。
「入学式で堂々と挨拶する名前ちゃん、カッコよかったなあ。もう一年の間で有名になってるよ。生徒会の七瀬先輩、美人で優しそう〜って!」
「そうなの?嬉しいなあ。困ったことがあったらいつでも生徒会室においでって一年生に言っておいてね。」
これは余所行きの顔だ。
すぐさま遙と真琴は顔を見合わせた。
先ほどまで物凄い形相で遙を睨みつけ口論をしていた人間とは思えない。
声が二トーンとは言わないまでも、一トーンは上がっていることに気が付き、遙はむすっと眉根を寄せた。
そして嬉しそうに名前の手を握る渚の肩を掴み、名前から離れさせる。
「騙されるな渚、こいつ優しい先輩を気取ってるだけで中身はバケモンだぞ。」
「え?」
「遙!」
一トーン上がった声音のまま、名前が鋭く叫ぶ。
危険を察した真琴が名前の肩に腕を回して羽交い締めにするが、じたばたと暴れる名前は今にも遙に掴みかかりそうだ。
しかしそれでいて、余所行きの笑顔を未だ張り付けたままなのが妙に恐怖心を煽る。
「遙ッ……!あんたっ、いい加減にしなさいよ……!」
「こら名前!落ち着いて!ハルもどうしてすぐ名前に意地悪するんだよ〜……。」
遙は横向きに視線を逸らした。いつもの癖である。
一方、渚は目の前で繰り広げられる三人の様子をぼうっと見ていた。そして、ふいに膨らむような笑声を漏らす。
「あはは!三人とも変わってなーい!」
「え、」
「は?」
「……。」
上から順に、渚、真琴、名前、遙である。
可笑しそうに笑いながら、渚は在りし日のことを思い出していた。
そういえば、同じようなやり取りをSCの休憩室やプールサイドでしょっちゅう見かけていたのだ。
こういう場合、大抵は遙がぼそりと名前を怒らせるようなことを言い、単純な名前が怒って暴力に訴え掛けようとするのを真琴が羽交い締めにして止める。一連の流れはまるで流れ作業のように毎週繰り返されていた。
それは渚にとって、何よりも眩しい小学生の頃の記憶そのものなのである。
「三人とも全然変わってない!僕、ちょっと安心しちゃった。」
それは、言外には“小学生の頃から何も進歩していない”という意味にも取れるのではないか。真琴はそんな風に思ったりもしたが、屈託ない渚を見ていると口に出すのは憚られた。
そして何より、こういう時に真っ先に相手に噛みついてゆく名前が特に気にしていないのだ。余計な火種を生む必要はない。
「とりあえず、屋上に行かない?ここで立ち話っていうのもアレだし。」
さんせーい!
一番に声が上がったのは渚である。
そして、スルメイカの包みを握りしめた遙と毒気を抜かれて緩く笑っている名前も頷く。
生徒向けに解放されている屋上扉を目指し、四人は最後の階段へ足をかけた。
*
「ほんと何年振りだろ?」
「SCが閉鎖になってから会ってなかったもんねえ。三年ぶりくらい?」
岩鳶高校の校舎は、洒落たデザインでまとまっている。
船を模したような外観のおかげか、晴れた日に空を背景にすると、まるで青空の中を走っているように見えるのである。
そして、屋上は船体で言えばちょうど船橋か煙突の位置にあたる。
校舎の中でも頭一つ分飛び出て高い位置にある屋上には、昼食時ということもあり学年を問わず小さなグループが歓談や食事を楽しんでいた。
「うん。僕、みんなと違う学校だったから余計にね。」
渚は屋上塀のフチからやや身を乗り出し、敷地の北方面へ目を向けた。
高校の敷地の北端には、運動部の部室棟と二十五メートルプールが佇んでいる。
屋上から見ると、ちょうど講堂と体育館の向こう側にプールが見える形になる。
プールの向こう側は敷地外だが、屋上から眺めるとはっきりと海が見えた。
潮の匂いまでもが、風に乗ってこちらへ運ばれてくる。
何の意図があって屋上に飾られているのかよく分からない旗が、潮風にはためいてパタパタと音を立てた。
「あ!プールの側に桜の木があるんだ!確か、ハルちゃんたちの小学校のプールにも桜の木があったよね。」
渚はプールを囲むような桜の木を視界に捉え、嬉しそうに声を上げた。
何となく四人そろってプールの方へ視線を向けていたが、渚の口から“ハルちゃん”という言葉が出た途端、遙はむすっと口をへの字に曲げて渚を見下ろした。
「だから“ちゃん”付けはやめろって。」
遙の不機嫌そうな声に、真琴とその隣の名前は眉を下げて遙に苦笑した。
それが余計に気に入らなかったか、遙は口だけでなく眉までひん曲げて渚を見下ろす。
「え?だって、ハルちゃんはハルちゃんだし……。」
それからきっかり一秒、遙と渚は睨み合った。
睨み合った──というより、遙が一方的に渚をジト目で見つめていた。
無論、勝敗は決まっている。何がいけないの?とばかりにキョトンと遙を見ていた渚の勝利だ。
そして、遙がまた何か言う前に真琴が話を変えてしまったので、遙は“ハルちゃん”という呼び名に関して改めさせるチャンスを失ってしまった。
「だけどあのプール、古くて使われてないんだ。」
おもむろに言って、真琴はゆっくりと瞬きをした。そして、続ける。
「水泳部もない。」
その言葉に、遙は瞳を伏せていた。
その隣で、渚は呆然と北端に佇むプールへ再度視線を向ける。
名前は、どういう反応をしてよいか分からず横目で遙の表情を窺っていた。
「それじゃあ……、今はどこで泳いでるの?」
心底不思議だ、という表情で渚が遙に尋ねる。
「競泳はもう辞めた。」
普段はぼそぼそと喋るくせに、やけにはっきりとした声だった。
そこには触れてほしくないのだ、と名前は思った。
遙が突然競泳を辞めると言い出したのは、中学一年生の冬の日だった。
それまで、集団行動の最たるもの──遙が最も苦手としている部類のものである──部活にも慣れ、春を越えてからはそれなりに楽しそうに中学の水泳部に通っていたというのに、遙は突然、何の前触れもなく競泳を辞めた。
そこにどんな理由があったのかは名前にも分からない。
突然、帰ってきたかと思えば“部活、辞める”と遙は名前に言ったのだ。
あの日は自主練習でもしていたのか、それとも部活を辞めることについて何かしら一人で考えていたのか、部活の終了時刻よりもいくぶん遅い時間に家に帰ってきた。
玄関が開く音が聞こえて、出迎えに居間から出た名前が“ただいま”よりも先に聞いたのが、その言葉だったのだ。
あれから遙は、真琴と名前以外の人間の前では一度も泳いでいない。
「ええーっ!?っなんでなんで!?高校に入ったら、またハルちゃんと泳げるの楽しみにしてたのに!」
駄々をこねる子供のように渚が言う。
それを、真琴と名前は二人そろって寂し気な表情で見つめていた。
遙は騒ぎ立てる渚には一瞥もくれず、プールを通り越して海の方ばかりを見ている。
──少しくらい、何か話してくれればいいのに。
競泳を辞めたことに関して、家族の自分や、親友の真琴にくらい、何か話してほしかった。
そう考えて、名前は潮風に揺れる髪を耳にかけた。
名前は、一息つくつもりで瞳を閉じた。
しかし、続けて渚の矛先は名前に向かう。
「ってことは、名前ちゃんも飛び込みやってないの!?」
「えっ、私?」
勢いよく向けられた渚の視線に、たじろぐ。
渚は怒ったように頬を膨らませ、名前の腕を握った。
「ハルちゃんたちが競泳辞めて、岩鳶のプールは使われてなくて──って、そもそもあのプール!ダイビングプールがないじゃん!」
渚の白い指が、北端のプールを指す。
なるほど確かに、渚の言う通りあのプールにはダイビング用の設備が整っていなかった。
十メートルどころか、五メートルのプラットフォームすらもない。
二十五メートルの短水路しか備わっていない、何の変哲もないプールである。
「うん……。」
名前は曖昧な返事をした。すると、間髪入れずに反対側から遙が言う。
「名前は、俺が競泳を辞めるより先に飛び込みを辞めた。」
先ほどとは打って変わって、こちらは変にぼそぼそとした声だった。
渚は不思議そうに遙の方を見、名前の方を見、そして最後に真琴を見て尋ねる。
「そうなの?」
「ああ、うん。いつだったかなあ……中学一年生の夏の終わりだっけ。」
「うん、そうだね。確かそのくらい。」
飛び込みを辞めた理由は、誰にも話していない。
家族にも、真琴にも、そしてコーチ達にも。
誰にも何も言わずに、チームから抜けた。
けれど、遙だけは名前が飛び込みを辞めた理由を知っていた。というより、察していた。
名前が飛び込み競技から遠ざかった原因が自分にあると、気が付いていたのである。
「ええーっ……名前ちゃんまで辞めちゃったなんて……。僕、名前ちゃんが十メートルの台からカワセミみたいに綺麗に飛び込むの、好きだったのになあ……。」
「いつまでも子供じゃないし、小学校の時みたいにはいかないんだよ。」
「ハルちゃん……。」
しょんぼりと肩を落とす渚を慰めるように真琴が口を開く。
「まあ、でも競泳や飛び込みはしないってだけで、水は好きだよ。特にハルは、水なしじゃ生きていけないから。」
真琴の言葉に、渚が耳を傾ける。
「夏は海で泳ぐし、今日だって朝から風呂場で水に浸かってたしね。」
苦笑して言う真琴に、渚が瞬きを一つする。
名前は腕を組み、うんうんと頷いて真琴の続き的に口を開いた。
「ほんと、朝からお風呂に入るのだけはなんとかしてほしいのよね。遅刻ギリギリに出てくるんだから──っていうか、今日もほとんど遅刻だったし。」
「それって、水泳関係なくない?ただのお風呂好きな人じゃあ……、あっ!」
そこまで言って、渚は遙の方に身を乗り出し、人差し指を立てた。
先ほどまでの表情から一変、キラキラと桃色の瞳を瞬かせる。
「だったら、温泉部とかいいんじゃないかな!作ろうよ!温泉部〜!」
「湯あたりするから嫌だ。」
渚に肩を揺すぶられながら、遙は視線を逸らしてまたもや口をへの字に閉ざした。
「そういわずにさあ〜!」
「嫌だ。」
「分かった!じゃあ、」
「しない。」
「まだ何も言ってないよ〜!」
──渚はほんと変わらないなあ……。
何度遙に跳ねのけられても諦め悪く向かってゆく渚を見ながら、真琴はそう思った。
そしてそれは隣で同じようにくすりと笑っている名前も同じだったらしい。
どうも互いが同じことを考えているらしいと察して、真琴と名前は顔を見合わせて微笑んだ。
渚は相変わらず遙に雪崩れ込むように体重を寄せてその肩を揺さぶっているが、何を言っても遙は子供のような言い様で突っぱねる。
その様子を微笑ましく見ていると、真琴がはた、と動きを止めたことに名前は気が付いた。
「真琴?」
「あ、ああ……ごめん、なに?」
「いや……、どうかした?」
「ううん、何でもないよ。」
変な真琴。
訝し気に呟いた名前にへらりと笑って、“名前ほどじゃないよ”と返す。
すると名前は遙そっくりの仏頂面で、真琴の脛を蹴飛ばした。
「痛っ!何するんだよ名前〜……。」
「真琴が失礼なこと言うからでしょ。」
幼馴染なのだから、これくらいの軽口は許してくれたっていいのに。
そう思いはしたが、ここで蒸し返すと名前は面倒くさい。
仕方がないなあ、と真琴は小さく笑う。
ひとまずは機嫌取りのため、弁当に母親が添えてくれた一口ゼリーを名前の掌にのせておいた。
(EVER GREEN/七瀬遙)
1868 /riz1885/novel/9/?index=1
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