Bye future ticket

セカイのどこかで、誰かが、泣いていた―――。


神様いつだって、理不尽だ。毎日を平凡に暮らしていただけなのに、どうしてわたしだけがあんな目に合わなければならなかったのだろう。これから先につなぐ、未来という切符を神様は、わたしにだけ切ってはくれなかった。
ぼやけた視界の先で、必死に手を伸ばして、わたしは、見っともなく泣いた。ああ、最期くらい、痛くないまま死にたいなって、笑いながら言っていたあの頃に、戻りたかった。本当に、死ぬ時は、痛くないんだよって……。



「……」



何も感じなくなった瞬間、わたしは、温かな何かを感じた。感じなくなったというのに、感じた感触に、無意識に確かめるようにそれを、握り返す。微弱の物だったと思うのに、それは、しっかりと握り返された。温かい…。呼吸が止まった身体が呼吸を求めて、胚を上下に動かすと、わたしの身体はフラッシュバックした。
でも、何故だろう。手の感触に僅かに感じた、冷たい何か。わたしはそれを知っているような気がする。だけど、わからない……。



「果杞さん」
「……」



耳元で、わたしの名前を呼ぶ声がする。だけど、その声は聞いたことが無い。もしかすると覚えていないだけかもしれない。名前を定期的に呼ばれ続ける。答えたいと思って、重たい瞼を動かすと、ぼやけた視界の真ん中で水色の髪が見えた。目尻をつたった冷たい何かに意識がゆっくりと戻って来る。感覚が、感触が、すべて、戻って来る。初めて、呼吸をした気がした。



「っ、果杞さん!気が付きましたか?」
「……だ、れ……?」
「え……」



知らない人だった。わたしの瞳に反射する男の人は、まったく知らない人だった。知り合いにこんな人はいない。色素の薄い水色の髪と、犬のような瞳、可愛らしい造形の顔立ちを持ち、幼さが抜けないような、男の子など、わたしは、知らない。


何故、わたしの名前を知っているのだろう……?


疑問は、すぐに浮かび、すぐに、かき消された。意識の片隅で、ダレかが言った。


彼の名前は、黒子テツヤだと――――。


瞼が下がれば、少しだけ脱力した繋いだ手に、再び熱を持ち始めた事を、終わりの方で理解した。



あとがき
ついに、やってしまった……暗くてジメジメした連載。誰連載なのか、謎のままスタートしようと思います。登場してくるキャラは今もめっちゃ悩んで居ますが、黒子ともう一人だけは確実です☆拍手にでも、出して欲しい人とか居たら募集してます。

2012.09.05
ALICE+