※漫画4巻の遊園地帰りにて
「夜鷹」
歌うように囁く彼女の名前。
何も無い真っ暗闇に唯一つ変わらず光り輝く星があるとすれば、それは君だと言えよう。
真白なキャンパスを真っ黒に塗りつぶすことしか出来ない俺と違って、
君はそこからまた白を塗りたすことが出来る。俺の白―――。
『やめて……!』
銃声音が響き渡れば、倒れる身体。周囲には恐怖の戦慄が走り始める。
片腕で掴んだ折れそうな君の細腕を掴みながら、空いた片手には拳銃を握り締めて歪んだ笑みを浮かべてしまう。楽しいんだよ。またこれで君と共に生きられる時間が増えた。
嬉しいだろう?楽しいだろう?もっと喜んでくれよ―――夜鷹。
『お願い……!コノハ!やめて!!』
横から抱きしめられる。銃身が僅かにぶれて上手く当てられなかった。
「違う……。クロハって呼んでよ。君の恋人だろ?僕は君を愛しているんだ。永遠に君と一緒に居たいためには彼らを殺すしかない。僕と一緒に居られなくなるは嫌だろ?」
『何を言っているの……?コノハを何処にやったの?』
「そんなにあいつがいいのか?」
『え……ッ!』
掴んでいた腕を離し、彼女の腰に腕を回してその口を塞いだ。
横目で標的を抑えて、銃声を何度も鳴らし。悲鳴が響き渡る。そろそろ訪れる繰り返しの輪廻。
『ん―――ッ!!』
吸いこまれそうな彼女の瞳からは止まらぬ涙が伝う。
酸素が足りなくなり必死に押し返そうとするが適わず、その柔らかな唇を堪能する。
数分後、離れれば唾液が糸のように互いを繋げていた。呼吸が乱れ俺に寄りかかる愛しい夜鷹を片腕で抱きしめて。彼女は周囲へ視線を投げれば、壊れたように叫び出した。
さあ―――もう一度やり直そう。
銃口を彼女の心臓に宛がい三日月に笑う。
「また会いに行く。愛しい俺の夜鷹」
さよならを告げれば、銃声が一発響き渡った。彼女の温かな血液が俺の頬を濡らすと透明な雫が交り合う。
冷めないうちに熱い銃口をこめかみにあてて、瞳を閉じれば。
再会の合図にかわる―――。
「夜鷹」
『……ここは?あなたはダレ?』
また白い俺(コノハ)が君に恋をするところから始まるんだ――――。
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