君と僕。


今日はホワイトデーなるものらしい。バレンタインのお返しをする日でもあるが、どうやら告白の返事を返す日でもあるようだ。世間様は大変面倒な行事を作ったものだと、俺の弟祐希が述べていた知識。きっと嘘も入り混じっているだろう。それでも、今日はホワイトデー腐ろうが、避けようが、どうしようもないけど三月十四日なのでホワイトデー。

さてはて。俺はチョコを貰った(義理ですけど)彼女へお返しをしなければならない。義理って言われて渡されたチョコでもチョコはチョコ。受け取ってしまった恩義は返さなければならない。一応手作りだったことはまだ救い。きっと東先生には本気のチョコでも渡したのだろう。今朝、とてもそわそわしていた。帰りは速く帰ろうとか言っていた。きっと家に帰ったら速攻で東先生のアポート行ってホワイトデーのお返しでも貰うんだろうか。

何か…すごーい腹が立つ。でも仕方がない。これも片想いの醍醐味。俺は安っぽい愛なんていりませんけどくれるなら貰います。何でって聞かれても愚問だよ。好きな子からのチョコだったら譬え想いが詰まってなくても大切で大事なものになるんだから、男って案外わりと簡単だよね?まあ、俺も男ですけど。
長ったらしく論弁語るのも疲れるから、さあ、俺も行こうかな。登校してきたばかりの彼女の目の前に立てば彼女が挨拶をしてくる。



「おはよーユタくん」
「おはよう。今日はいつになく上機嫌だね」
「…やっぱり?」



他愛のない話でもしようかと緊張を紛らわせていたら、彼女は俺の言葉に反応して頬を紅潮させて両手をあてた。嬉しそうな笑顔に、ああーついてないって思った。地雷を踏んだ。



「実は今日ね。こーちゃんが一緒に帰ろうって!ホワイトデーのお返しに一緒にご飯食べに行こうって誘ってくれて」
「へぇーよかったね」
「うん!あきらくんがいっつも邪魔するから二人きりなんて初めてなんだ。だから…すっごい緊張するけどすっごい楽しみ!」
「そっか、楽しんできなよ」
「ありがとうユタくん」



いつも冷静でテンション低い彼女が表情をころころと替えて俺以外の人の事を俺の前で話す。とんだ小悪魔だ。他人の恋路は鋭い癖になんで自分の恋は気がつかないんだ。と悪態つくように秘かに舌打ちしそうだ。それでも、何でだろう。彼女の幸せそうな笑顔を見たら、それだけで俺まで満足感にみたされる。

Mかな?コレ……。自虐的センスゼロのはずなのに可笑しいな。ほんとっ。でも、まあ……その笑顔が俺に向けられたらそれだけで世界の破滅を迎えてもいいかもしれないなんて思っちゃうから、やっぱり現状のままがいいんだろうな。何でも無いように差し出した瓶詰めキャンディー。



「はい、俺からのホワイトデー。バレンタインの時はチョコありがとう」
「別にいいのに…お返しありがとう」



受け取って笑う彼女に俺は安心した。瓶詰めキャンディーが本当の意味を発揮するのはそれを全て舐め終わった頃。その時が、俺の勝負どころだったりする。さてはて、この片想いどっちに転ぶかわからないけど、俺は諦めることはしない。この気持ちは一生変わらない。彼女が死んでも尚俺は思い続けるだろう。片想い上等。



「いえいえ、なんのなんの」




※めっちゃ短い話を始めて書いたけど、これが結構楽しかったりする。これが本当の短編なっていって。

2013.03.14

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