黒子のバスケ
たまには、真面目に話をしようか。
秋風が吹き抜ける今日この頃。残暑が嘘のように駆け抜けた今年は、冬服が恋しい。
「伊月先輩?」
くるり、と振り返った俺の前を歩いていたマネージャーがスカートを翻す。顎に指を置き、彼女の統計を見つめて、考え込む。返事がない、俺を彼女は不思議に思い身体を真正面に向けて、俺を待つ。
「なあ、マネージャー」
「はい」
「いつも通り、なのか?」
「えっと……、そうですね」
何を意図したのか、考えながら彼女は俺の視線で気が付き自身の制服を確認してから、そう答えたが、それは間違いだ。いつも通りな訳がない。
そう思って、実証するために彼女に一歩詰め寄ると手を伸ばしてスカートの裾を掴んだ。
「短い」
「……ッ!?せ、センパイ……」
笑顔で彼女は、真っ赤な頬で俺を拳で殴った。いつものツッコミより威力が強いのは、それだけ真相染みていたということで、納得した。
「リコ先輩!」
「あら、いつも通り仕事が早くて助かるわ!……ねぇ、伊月君」
「なんだ、カントク」
「その頬は、また、やったの?」
頬を押さえていた俺を見て、笑いながらそう言うが、抑揚のないその声色に冷や汗が背筋を流れる。カントクは厄介なことに、マネージャーの事を溺愛している。仕事を抜きにしても、年下としては合格点をつけられるほど、彼女は魅力的なのだ。
慌てている俺は彼女を盗み見ると日向と話しながら、俺を見つめると微笑んだ。いつもは、微笑みなど向けて来ないのに……こう言う時だけなんて……。
「、反則だろ」
不覚にも心臓が反応した。
ダジャレを言うのは、結構、彼女を振り向かせるためって言うのが、7割を占めていたりすることを、君も周囲も知らないんだろうな。

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