黒子のバスケ
やっぱ、わからん。
秋空って何だかさびしい気がするのは、何でだろう?ふと、見上げた空に私はそう感じた。少し見ない間に空は表情を変える。色を変える。そうして、私の知らない物に変わっていく。何だか置いて行かれている気分になる。なんだろう、この疎外感は。寂しいのか?首を傾げながら自問自答していると、カタリ、と隣の椅子が揺れた。
机の上にうつ伏せになりながら、その大きな身体で占領する。図書室だというのに、お菓子をぼりぼり食べるこいつは本当に困ったもんだ。
「飽きたなら先に帰ればいい」
「うーん?……ヤダ。なまえと一緒に帰る」
「……じゃあ、菓子食うな」
「えぇー。それって虐待だよ」
「どこがだ」
本を買う事を手間に思えた私の所為なのだろうか。ふとその本を持つ手に罪悪感等と言う濡れ衣が掛る。やめてくれ。うちは、貧乏なんだ。今月なんてピンチもいいところ。それに、一度しか読まないんだ、買ったら勿体ないってものだ。視線を再び文字に注げば、何故か横顔に熱視線を感じる。ああ、居た堪れない。ほんとっ、居た堪れないよ。
静かな図書室で私たちは隣同士に座りながら互いに別の事をしているというのに、何故か心地いい。窓から入る冷たい風に身を震わせると彼はむくりと身体を起して私に覆いかぶさる。回される腕に手を置いた。
「重い」
「ワガママ」
「違う」
「でもオレはあったかいから」
「それはあんたの言い分だ」
「えぇー自分も寒そうに訴えてたのに」
「いつ言った」
はあ、って小さな息を洩らす。すると、ぶぅーと文句を言って重さがなくなり、彼は再び私の隣で机の上に倒れる。チラリ、と視線を投げると口寂しそうだ。だけど、それ以上に気恥かしいと感じた。その視線に。私は、やっぱり降参するように立ち上がり鞄を持つ。
「どしたの?帰る?」
「いや、……紫。あんみつ食べに行こう」
「……うん!」
嬉しそうに笑う彼を見つめると、やっぱり私も満たされるのだ。嬉しいよ、私も。
「室ちん」
「あれ、二人ともどうしたの?」
「こんにちは、氷室先輩」
「うん……これってお邪魔しちゃ悪いかな?」
「いえ、別に」
「いいよー」
「ありがとう(いや、駄目だろう)」
二人の進展っていつになるのかな?って思う氷室さんだった。

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