うたのプリンス様

もの凄く、彼女が怒ってる。



「あの、えっと、なまえ……?」
「………」
「……」



ああああー!!!!

なまえに声をかけても無視を続けられて三日目。流石の俺も傷ついて、仕事ミスしまくりだったよぉ。うわートキヤの説教が耳から抜けなくて痛いよぉ……。足もついでに痛い。長時間の正座は、流石の体育会系の俺の脚にも負担倍増だよ。
彼女が俺に怒っているのは間違いない。俺が彼女を怒らせる行為をしたのが原因だ、いや。俺が確実に悪い。ごめんなさい。ごめんなさい。
謝って済む問題でもなく。寛大な心の持ち主であるなまえは流石に堪忍袋の尾が切れてしまって……一切、俺と口を聞いてくれない。今も、玄関前で門前払い。何で会話しているのかって?インターホン。
かれこれ、三時間粘ってるけど、流石に今日は、もう駄目かなって諦めかけた時に、やってきた俺にとっての救世主たち。



「あれ、一十木?」
「何してるんですか、君は!?」
「あ、トキヤと沙羅ちゃん。なにって……正座だよ?」
「こんな所で正座なんかしないでください!いい迷惑ですよ!君って人はっ!!」
「え?えっと、あれ?なんか、ごめんね、トキヤ」
「トキヤ、落ち着いてよ。逆にアンタの所為で目立ってるんだけど」



沙羅ちゃんの言葉にトキヤが落ち着きを取り戻して、深呼吸を二人で繰り返してみた。その間に沙羅ちゃんがなまえと話して、数分後。隣にある扉が開いた。



「なんて言ったの?!」
「別に、今日泊まる約束してたから」
「じゃあ、なんでトキヤがいるの!?まさかっ……!!二人してなまえの家に俺抜きでお泊まりするつもりだったの!!ズルイよ、二人とも!!」
「いい加減、その妄想やめなさいよ」
「そうですよ、音也」



エレベータの中に乗り込む二人の後に続いて俺も乗り込んで15階を目指す。その間に俺が二人に事情を説明すると……、何故かエレベーターの中でも正座させられた。



「一十木、アンタ、見損なったは。それは怒って当然」
「万死に値しますよ、音也」
「え、あ、その……すみません」



二人掛かりで説教が右と左から鼓膜を刺激されて、頭痛がしてきたよ。
やっとエレベーターから出ると二人の後ろを黙ってついていくことしか出来なかった。彼女の部屋の前まで来ると彼女が玄関のドアを開けた。



「いらっしゃい、沙羅と一ノ瀬さん……ああ、音也も居たの」
「ゴメンナサイッッッ!!!!」



泣き崩れるようになまえに抱きつくと、なまえは呆れながら溜息一つ吐き捨てると俺の頭をポンポン叩くように撫でて来た。それを尻目に玄関から上がると二人は真っ先にリビングへと向かって、一応。二人きりにさせてくれた。



「俺っ、君の大事なはがき、捨てちゃって……ほんとっに、ごめん」
「……。嫉妬してくれたのは、嬉しかったけど。楽しみにしてたのに…もう、今度からしないでよ?」
「はい、気をつけます」
「次は、一緒に行こう?わたしが心配、なんでしょう?」



そう言って不敵に微笑む彼女の下からのアングルに俺は、忘れるように彼女に飛びついて頬にキスを送った。



「うんっ!!俺、なまえと一緒に行動したい」
「あー、はいはい」



何度もキスを送られながら諦めたかのように、彼女は俺の行動を許した。


(なまえちゃんも甘いよねー)
(しっかりしている分絆され易いのでしょう)
(まあ、その点わたしたちはバランスいいよね)
(そうですね。均衡を保ててますよ)



あとがき
てらちーのイベにほぼ落選ばかりの三雲が怒った結果。単独とか、負け星ばっか。わたしって、なんなんでしょうね……ハハハハハハハ。

2012.06.18

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