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友達。
私にだって友達はいる。
しばらく会ってないし、これからも会えないかもしれないけど、私には友達がちゃんといる。
でもここにはいない。
塾の人たちは元々グループが出来上がっちゃってるみたいだし、女の子なんて新しい子と私合わせて4人しかいない。
神木さんと朴さん
杜山さんと奥村くん
勝呂くん志摩くん三輪くん
宝くんや山田くんはよく分からないけど、まあ、私の入る隙はないような気がする。
ガールズトークが恋しい。でも神木さんと朴さんは…ていうか神木さんには近寄るなオーラがビシビシきてる。怖い。

「それではこの間の小テストを返します。志摩くん」
「ほぉい」

ああ。と意識をそっちに戻す。
そういえば小テストやったけ。
後ろの席でのんびりと、今度は何を思うわけでもなくただみんなにテストが返されていくのを見届けながら、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。

「なんやと。俺はな、祓魔師の資格得る為に本気で塾に勉強しに来たんや!!」

それでも余程ボーッとしていたのか、突然の大声に体がビクリと揺れた。
どうやら勝呂くんと奥村くんが何か言い合っているようで、見た目に反して秀才な勝呂くんが、ちょっと授業にダラけ気味な奥村くんに鬱憤を吐いていた。
もちろん、勝呂くんの言うことは私も正しいと思う。
まあ、塾にいるのはみんな真面目に祓魔師を目指している人だけでは、ないんだけどね。私とか。
あの二人、これから先も喧嘩いっぱいしそうだな。仲裁大変そう。

「あ、小川さん。小テスト。素晴らしいですよ。満点です」

そんなタイミングの悪い時に、奥村先生たら私を呼びやがった。
威嚇しあってる二人の間を通るのはとても嫌だ。というよりも、

「満点!?」
「満点…!」

さりげなく人の点数を口外しないでほしいです。
どうしよう満点ちょー嬉しいはずなのに「あいつ頭良かったんだ!」みたいな視線のせいで素直に喜べません。
ネイガウスさんにみっちり叩き込まれただけなんです。
恐ろしかった。
もう二度とネイガウスさんの前で小テストがあるなんて言うもんか。
口にするだけでも恐ろしい。あんな勉強の仕方。
ほら、ネイガウスさん医工騎士の称号も持ってるし。

「よく頑張りましたね」

ニッコリと愛想笑いを浮かべてテストを受け取り、そそくさと席に戻る。
途中勝呂くんにむっちゃ睨まれてたような気がするけど気にしない。気にしない。
ていうかキミが嫌いなタイプは意識低い奴じゃないのか。目をつけられてしまいましたか。嫌だよ怖いよ。