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今はちょうど長期休暇中、春休みなので休み明けからあなたには祓魔塾に通ってもらいます。
祓魔師を目指す者として悪魔祓いを勉強してください。
制服はこちらが用意しますので出来上がったらお呼びします。

ああ、そうそう。これはカギです。
どの扉でもこのカギを使えばすぐその場所へ行けます。

ははは大丈夫ですよ。
実際祓魔師にならない人なんかも塾に通っていますしね。
服や生活用品は適当に資金援助しますので買いに行ってください。
ああ、学費の心配もいりません。
あなたの存在はとても興味深いですし…研究材料になっていただければ!
やだな冗談ですよ!
そんな怯えた顔しないで。

そうですね、あなたのお世話はネイガウス先生にお願いします。
あなたを召喚したのはネイガウス先生ですしね。
ははは、部屋はすぐに用意いたしましょう。

今日はもう遅い。ゆっくりお休み。


そう言ったメフィストさんは、いい笑顔でした。
思い出しただけでも恐ろしい。
なんて人だメフィスト・フェレス。
研究材料なんて、顔がまじだったあいつなら絶対やりかねない。
やっぱあの胡散臭い笑顔に騙されたのがいけなかったんだ。

「えーと、ネイガウス、さん」
「なんだ」
「なんか、すみません。私の世話…っていうか面倒なんて」
「気にするな。もともとお前を呼んだのはこっちだからな」
「…っありがとうございます」

長い廊下をネイガウスさんと歩く。
正直、ネイガウスさんはただの怖い人だと思っていた。
だって実際すごく怖かったから。
だからメフィストさんが私の面倒をこの人に任せた時、すごく不安になった。
メフィストさんは私がネイガウスさんに苦手意識を持っていたことを絶対知ってる。絶対。
私は怒られるのも、邪魔にされるのもすごく嫌いだから。好きな人なんていないだろうけど。
でもそれは私の考えすぎだったみたいで、今のネイガウスさんは、あまり怖くないどころか、うん、大人の人だって感じだ。
ていうかさっきのメフィストさんを見たからか、ネイガウスさんがすごくまともな人に見えた。

と、思っていたのだけど、

「つまり、魔法円でお前を呼び出したのが俺だということは、お前は俺の使い魔ということになるな」
「……………は?」

ニタリと歪んだ笑顔に、私の幻想はぐちゃぐちゃに打ち砕かれました。
私の先を歩くネイガウスさんがとても遠くに感じる。
使い魔って、私はパシリかなにかですか。
なんなの、ここ、悪魔ばっかりだ。