05

「ぎゃぁあぃぃいいい!!!」

私、小川ちとこ
悪魔が見えるようになりました。

「かすり傷程度で大袈裟だ」
「痛いんじゃないんです!なにこれ祓魔師ってこんな光景毎日見てるの!?」

祓魔師になるべく、塾には今は通っていないけど予習という形でネイガウスさんにエクソシズム?を習うことになった。
それで祓魔師の最低条件?よくわからないけどとりあえず悪魔が見えるようにならないといけないらしく、今日はその見えるようになるために魔障の儀式を行うことになったのだ。
まあ、簡単に言えば悪魔さんに攻撃されりゃいいらしく、左手にピリッとにわかに痛みが走ったと思ったら目の前に虫、のような黒い生き物がそこら中に見えるようになり、冒頭に至る。
ビックリしすぎて腰抜けた。

「慣れろ。屍系はもっと酷いぞ」
「ひぁああ、グール系てなんだよ…」

見事に足が立たなくなってしまったのでネイガウスさんに手を借りた。
立たせてもらい、ふう、と息をつく。
うーん、こんな時は紳士的なんだけど使い魔宣言されて以来私はパシられてばっかりです。
メフィストさんにもパシられます。
おかげで地理には詳しく…なってはない。鍵に頼りっぱなしだ。
そんなネイガウスさんに奥さんがいるって聞いた時は思わず拍手するくらい驚いた。
独身貴族かと思った。拍手したら殴られたけど。
いや、でも私、何気に楽しく暮らしてます。

「こいつは魍魎という。"腐の王"アスタロトの眷属で最下級の悪魔だ。覚えておけ」
「コールタール…あ、アスタロト?えーと、眷属って何」
「親戚みたいなもんだ」
「なるほど」

わからない単語ばっかりだけど、この子たちはコールタール。うん、覚えた。
ていうかよくよく見たらすごい可愛いんだけど。ちっこくて。
なんか手(足かな)とかあるし。尻尾とか本当可愛い。

「ネイガウスさんは悪魔を召喚したり操ったりするんだよね?」
「ああ。他にも詠唱騎士と医工騎士の資格も持っている」
「私、コールタール欲しい。可愛い」

そう言った途端、すごく嫌な顔で見られた。
いや、むしろ表情がない。無表情すぎてすごい嫌。
そんなに変か。
コールタールが欲しかったらそんなに変なのか。

「手騎士には天性の才能が必要だ。お前にできるか?」
「いけるいける。わたしゃネイガウスさんに召喚されたのよ?できないわきゃねーよ」
「…どうやって魍魎を手なずけるつもりなんだ」
「餌付け」

きっぱりはっきりそう言ったら思いっきりため息つかれました。
すごい失礼な人だと思いました。