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私のダイナミック宣戦布告後、かけつけた木下先生にこっぴどく怒られてしまいおめおめと医務室に戻ったけれど、気づいた時には勝負の日をあちらさんで勝手に決められていた。
決めたのは潮江らしい。さすがギンギン忍たま。そういうことには人一倍敏感なのか、わざわざ矢文で決戦の日を知らせてくれた。直接言えよ礼儀知らずめ。と少しムカついたが、私だって直接宣戦布告してないやと、素直に心の中で謝っておいた。

そして私は今
可愛い後輩たちの中で埋もれている。


「ついにやるんですね!」
「ボクは信じてました先輩!」
「どういう勝負にするんですか?」
「初子先輩ぃぃ!本当にありがとうございます!!」
「何か手伝えることがあればぜひ言ってください!」


一斉にしゃべってくる一年に囲まれ、うるさいが幸せである。しかし一人一人に返事をしようとはさらさら思わなかった。酷い先輩を許しておくれ。
とりあえず、みんなありがとうと一括で返事をすると大体は満足した様子であった。
でも一応ここは医務室なので、


「初子先輩はケガ人なんだぞ!!気持ちはわかるが騒ぐなら出ていけ!」


代理保健委員長の三反田がツノをはやします。もちろん新野先生もだけれど。
ごめんなさい!と素直に謝るチビたちは本当に可愛くて、まとめてギュッと抱きしめた。苦しそうな声がたくさん聞こえた。


「お前らの先輩たちを、ちゃんと連れて帰るからな」


しまいにはみんながえんえんと泣いてしまい、一年生も明るく振舞ってはいるけれど、ギリギリなんだなと改めて実感した。
木佐木と勝負をしたところであいつらが元に戻るとは思えないけれど、何かのきっかけにはなるだろう。
こんな一年生の姿をあいつらにも見せてやりたい。
あいつらだって馬鹿ではないんだ。今は周りが見えてないだけ。それなら私が無理やり見させてあげればいい。

学園を取り戻そう。