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「初子、あれはどういうことだ」
「綴には手は出させないぞ!」
「まずは私たちと、勝負だ!」


騒がしい午後昼下がり。
私は久々に懐かしい面子に囲まれていた。


「なんか久しぶりだな。みんな」


潮江に立花、七松に中在家。
久々に私の元を訪れてきた野郎どもに少し嬉しくなってしまったけど、どうやらそんな可愛らしいもんじゃあない。それぞれに得意の武器をもち、目を爛々を輝かせている。


「六年は組がいないじゃん」
「留三郎は外出中だ。伊作は穴にはまった」
「善法寺の不運は健在なんだな」


そこは変わらないのか、と笑う。なにか癇に障るようなことをしてしまったか、苦無が飛んできて自慢の反射神経で弾き返した。
かつてこいつらがこんな目で私を見ただろうか。いやないな。どんなに私が任務の時に興奮してても私のことを軽蔑したりはしなかった。
ああ、でも。
色に魅入られてもこいつらは仲良しなんだな。それに私が入っていないのが、なんとも悲しい。
あと、食満がここにいないのも、少し気になる。


「やる気満々だな。誰からくる?」
「私からだ!」


飛びかかってきたのは七松で、持っていたご自慢の苦無でまずは私の肩を目掛けてきた。
軽々と避け一旦上に飛び上がる。以前から比べれば鈍ってはいるが、さすがクソ力だ。すぐに地面を蹴り私を追ってきた。


「物騒なものむけんじゃねーよ」
「んが!」


そこに私の必殺かかと落としが決まる。石頭なのでじいんと足が痛んだ。
そのまま地面に叩きつけられるように落ちた七松に追い討ちのように背中に飛び降りそのまま関節技を決めてみる。が、さすがの七松じゃ力技は通用しない。ので。


「手刀」
「うっ!」


技術で補うというやつだ。
そもそも女と男じゃ圧倒的に力の差がある。それをどう埋めるかがプロくの一。
くぅー私ってばカッコイイじゃないか。
鼻歌交じりにそのままくたばった七松の肩を念のため外す。気休めだけど、暴れにくくはなるでしょう。
倒れた七松をごろりと足で転がし残りの三人の方を振り返った。ゴクリと唾を飲み込む音が聞こえた。


「さあ、次は誰だ?」


私は鍛錬不足のやつになんか、負けはしないよ。にやりと笑い、やつらを煽る。


「お前らなんか武器を使うまでもないね」


私は少し、ワクワクしていた。