07

「中在家。いつもお疲れ様」


ここは図書室。
私は本はそれほど読まないけど図書室にはよく来ていたりする。理由は簡単。図書室が好きだから。もっと言えば、基本図書委員の奴らが好きだからだ。
それに図書室は静かだし、委員の奴らも基本静かだし。例外もあるが。要するに、ここは落ち着くんだっていうことが言いたい。
六年の図書委員会委員長、中在家は作業をしている手を止め、こちらを見て何かをもそもそと呟いた。さすが忍術学園一無口な男。しかしさっきの言葉は別に聞こえなくても問題はないだろう。


「今日は一人か」
「さっきまで久作がいた…。仕事が減ったから帰したんだ…」
「能勢かあ。あいつ可愛いよね」


ボキリ
突然、なんだか不吉な音が気がする。
何かと思って見たらどうやら中在家の持っていた筆が折れたようで…。筆が折れた?ははは、なんだそれ。


「な、中在家くん?」
「…いや、なんでもない。…気にするな」
「そ、そうか?」


黙々と新しい筆を準備する中在家にこれ以上詮索してはいけないと悟り、諦めた。ていうかなんか怖くて聞けなかった。


「相変わらず本は読まないのか」
「え?ああ、うん。なんか飽きるし」
「なのに図書室に来るか」
「あれ、迷惑?」


だったんだろうか。そりゃ図書室で委員とだべってるだけだけども、やっぱり委員からしちゃ迷惑だったか?あれ、でも五年の不和も一年のきり丸も、いつでも来て下さいって…ああ、社交辞令?


「そんなことはない。…ただ少し…」
「少し?」
「…気にするな」
「…中在家、変だぞ」
「お前が変なんだ」
「そんなわけ」
「ある」


今日はよく喋るね。そう言うと中在家は黙った。え、うそごめんごめん。と謝ってみるけどそれから、中在家が喋ることはなかった。
いたたまれなくなった私はすぐに図書室から逃げ土井先生と山田先生の部屋に転がり込んだ。
いつものことだ。



(中在家くんと折れた筆)

「せんせー!中在家が!!」
「どうした!?」
「意地悪します!!」
「帰れ!」