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▽無題

星屑番外編
メインに載せるの悩んだのでこちらにup

※メインに載せるつもりだったので、変換タグになってますが名前変換はできません
※妹大学生
※もう会わないと兄から連絡が来た時
※唯くん視点

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きっと電話の向こうでは、真っ赤に泣き腫らす程泣いているのだろう。

「にっ、にいさん、がっ、にいさ…っ」

ぐすぐすと鳴き声まじりに聞こえる声は聞いている方が切なくなるくらいに切実で、悲壮感に溢れていた。
それでも求められているのは、泣き止ますことが出来るのは俺ではないと分かっているから、ただ静かにその悲しみの声に耳を傾けることしかできない。
小さな背中を震わせながら、一人声をあげながら泣きじゃくる声。

「ふ…っ、ぅあ…っ、きらっ、きらわれ…っ」

過呼吸気味になる声。
そんな##NAME1##を抱きしめながら、背をさする人間はもう側には居ない。
自ら逃げる事を選んだ兄を思いながら、苦しさと寂しさを一人で抱えるのはどれ程辛い事だろう。

「…大丈夫だから、##NAME1##、大丈夫だから」

声をあげて泣きじゃくる様子は、子供の頃ですらしなかったのに。
いつかこんな日が来るんじゃないかとは思っていた。
耐えられなくなったゼロと、気づけない##NAME1##はいつしかすれ違っていて、そのすれ違いにすら気づけない##NAME1##からしたら大好きな兄に突然突き放されたと感じても仕方ない。
ゼロもずっと思い悩んでいたことは知っている。知ってはいたが、だからってこんな結果は誰も望んじゃいなかった筈だ。

「いいか##NAME1##、よく聞くんだ。ゼロがお前の事を嫌いになるなんてあり得ない。絶対にだ」

そう、何があろうと、ゼロが##NAME1##を嫌う日なんて来るわけがないんだ。
ずっとこの兄妹に振り回されながら側で見てきた俺が言うのだから当然だ。

「ちゃんと話をしろ。何も聞けていないんだろう?」
「う…んっ…」
「距離が開く前に、早くゼロと話さないとどんどん離れていくぞ」
「い、やだぁ…っ」
「俺だってお前らが離れて苦しむのを見るのは嫌なんだ。大丈夫だよ、ゼロはお前の事を嫌いにならない。だってあいつはお前の唯一の兄ちゃんだぞ?今回は不器用で身勝手な兄ちゃんが悪いんだから、取っ捕まえて一発くらいぶん殴ってやればいいさ」

散々声をあげてかすれ始めていた声は、ちゃんと返事を返しただろうか。

「そのままだと目も腫れるからちゃんと冷やすんだぞ?」

##NAME1##は俺の可愛い妹分でもあるんだ、折角かわいらしい顔してんのに涙で腫らしたりなんかしたら勿体ないだろ?
もし今すぐ寮を抜けて駆けつけることが出来るのなら、その背をさすってお前は一人じゃないと声を掛けてやりたいが、それは俺の仕事じゃない。
いつだってあいつが求めるはゼロだけだ。
真っ先に手を伸ばすのも、求めるもの、ゼロじゃないとダメなんだ。



「さて、妹分泣かせたってことで一発ぶん殴りに行きますか、と」

今頃自分から逃げたくせにうじうじとしているであろう幼馴染の元へと向かった。
ほんと、馬鹿だよなぁ。
後悔するくらいなら、離れなきゃいいのに。
あんなにイチャついておいて変なところで不器用な兄妹のすれ違いが、早く元どおりになる事を祈りながら渾身の一撃をかましてやる事を心に誓った。

2017/07/08(22:29)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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