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▽無題

赤井妹


「…なぁ秀吉」
「ん?」
「…親不知の抜歯ってやっぱ痛いよな?」
「…は?」
「いやだってお前昔抜いたって言ってたじゃん!あれって抜いた後痛くなるって言うじゃん!痛み止めが必要な位痛いんだろ?」

そういえばこいつ、下の親不知は横向きだから大変って医者に言われてたんだっけか。
母さんに怒られている時と同じくらい真っ青な顔して聞いてくる姿を見れるのは、兄妹の中でも僕だけだろう。
それだけこの妹は他の兄妹の前では強がっている。

「ああ、僕は真っ直ぐ生えてたけどすっごく痛かったなぁ。血も中々止まらなかったし」
「そこは嘘でも痛くなかったって言えよ!!察しろよ!!」
「聞いてきたのはお前だろ。いやぁ痛かったなぁ」

ぎゅ、と唇を一文字に結んだ顔が面白くて思わず吹き出せば、笑うな!と背中を叩かれた。
少しからかいすぎたかもしれない。

「麻酔ってなんで部分麻酔なんだろうな。痛みはないだろうけど削ってんの絶対わかるじゃん。しかも終わった後絶対痛いじゃん。嫌なんだけど」
「なに、怖いのか?」
「怖くねーよ!私が怖いのは母さんだけだ」
「それ威張るとこじゃないからな」

あとそういうのを怖いって言うんじゃないのか?とは言わないでおいた。
こいつは手加減しないからちょっと叩かれるだけでも痛いんだよなぁ。

「もういい、秀吉に聞いた私が馬鹿だった」
「そう拗ねるなって」
「うっせーばーか!お前なんて足滑らせてこけて眼鏡粉砕しろこの秀才野郎め!」

相変わらず訳のわからない捨て台詞を吐いて帰って行った妹。

「秀才野郎って褒め言葉だろ」

きっと兄の前ではなんでもないような顔を繕って病院へ行くのだろう。
どうせ見抜かれているのになぁ。あいつの病院嫌いは兄さんは勿論、真純だって知っているという事実にあいつが気づくのはいつになることやら。

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怪我とかは平気だけど治療で痛みが伴う系は大嫌いかつ怖い妹。
注射とか無理なタイプ。
毎回強がってるけど表情のかたさでバレている。
弱音を吐くのは秀吉の前でだけ。
因みに抜歯の話を振って血が止まらないとか痛かったとか言われてキレたのは山田の実話。
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沖矢昴と同居しているという彼女は、組織にいる時一度だけ見たことがある。
姉は知り合いだったらしいけれど、彼女は借金取りで、まるで空気のな人だと言って笑うばかりで、詳しい話は聞かされなかった。
そう言って笑う姉の横顔は、まるで親しい友人の事を話すような、そんな顔だったのは覚えている。
まぁ結局、彼女と姉の関係については分からず終いだったわけだけど。

「お手をどーぞ。お姫様」

まるで物語に出てくる騎士のように跪いて、私に手を伸ばす姿はこの状況を分かっているのかいないのか。
…いえ、もしかしたらこの人の性格のことだから、わかっていてわざとやっているのかもしれない。

「あら、こんな状況でも余裕なのね」
「勿論。だって私死なないから。だから貴女も死なせない。うってつけの剣だと思いませんかお姫様?」
「そうね、今は選んでる余裕もないし、いいわ、その手を取ってあげる」
「それは光栄だ。大丈夫、今だけは私が君の騎士だよ」
「よくそんな気障な台詞が吐けるわね」
「お気に召しませんでしたか?」
「…今だけお姫様で居てあげるわよ」
「それはよかった。ここだけの話、実は昔騎士になりたかったんだ」

そう言って凶悪に吊り上げた口角と、犯人に罵声を浴びせながら銃弾を放つ姿はとてもじゃないけど騎士には程遠かった。

「どちらかと言えば貴女、ヒールの間違いじゃなくて?」
「よく言われる」

それこそ面白そうに笑って肯定する彼女はやっぱりどこか掴めない。

「後は本物の騎士様が護ってくれるようだし、ハリボテはここで引きますかね」
「何言って…」
「ほらね、腹立つ位正確に撃ちやがる」

彼女じゃない、別の場所から放たれた銃弾に倒れて行く犯人達。

「灰原!大丈夫か!?」
「次から次へとお姫様は大人気だ。あとは本物の騎士様達に任せて私は仕事しようかな」
「ちょっと、待ちなさいよ…!」
「お礼ならハグでいいよ?」
「誰が…っ!」
「ま、まぁ落ち着けよ灰原、あの人ああいう性格なだけだから。な?実際お前のこと助けてくれたわけだし」
「ツンデレも素敵だと思うよ」
「はあっ!?」

ふわり、と優しく包み込むように抱きしめられたと思った瞬間、そんな言葉と共に直ぐに離れて行った体。

「…ほんと、とんだタラシね彼女」
「あはは…いつものことだろ」

軽やかな動きで去って行く背中は、まさしく空気のような人だと思った。

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懲りない赤井妹。
もう赤井妹のこれは病気の域。
明美さんとはひょんな事から知り合いだったらいいなぁと。
男だったら完全アウトなタラシっぷりだけど、赤井妹は女性だからセーフセーフ!
お兄ちゃんは胃が痛い。
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宮野明美さんはとても綺麗な人だと思った。
笑った顔とか、腹立つけどあのクソ兄貴の事を話すときとか、特に綺麗だと思った。
そのままでも綺麗なのに、更にその美しさに磨きをかけているのは、恋をしていたからだろう。
そう思うと、複雑な気分だった。
確かにあいつは一人の女性として彼女と向き合っているのかもしれない。
それでも、あいつが優先するのはきっと彼女ではないと分かっていたから、余計に。

「あら、また会ったわね借金取りさん」
「またお会いしましたね、明美さん。以前より更にお美しくなったんじゃないんですか?その内眩しくて直視できなくなりそうだ」
「ふふっ、貴女っていつも息をするようにそんな事を言うのね」

それに関してはもう癖のようなものだから大目に見て欲しい。

「また大ちゃんの借金かしら?」
「いえ、今回は別の人ですよ。ちゃんと報酬貰ったのでその帰りです」
「いつも借金取りしてるわけじゃないのね」
「まぁ借金取りは副業みたいな物ですかね。ちゃんと報酬さえ払ってくれたら私もそんなことしなくて済むんですけど」

踏み倒そうなんて考えるクソが居るから回収に行く手間が増えるんだ。ほんと勘弁してほしい。

「あ、その大ちゃんにもキツく言っといて下さいよ。あの男、長い付き合いだからって期日守らないことよくあるんで」
「ふふっ、相変わらず仲良しなのね」
「うえ、それだけは勘弁してもらっていいですか?」
「だって貴女と大ちゃんってまるで兄妹みたいなんですもの」
「…そうですかねぇ」

彼女には私とあいつが兄妹ということは伏せてある。
昔馴染みの仕事相手。といったところか。

「もし宜しければ私めとお茶でもいかがでしょうかお姫様?」
「あら、こんなに素敵な騎士様にお誘いされたら断れないわね」

報酬も入ったことだし、美女とお茶するのもいいだろう。

「騎士様かぁ、いいですね、それ」
「お気に召したようで何よりだわ」
「私、実は昔騎士になりたかったんですよ」

昔憧れたのは、いつだってお姫様を護る騎士だった。

「いつだって誰かを護る騎士はかっこよくて、特に女性を護る姿に憧れた。決して女性を貶すことも蔑むこともなく、ただ必死に守り抜くあの姿が、初めてなりたいと思えた姿だった。まぁ今じゃ恥ずかしいから秘密にしてくださいね」
「あら、貴女って言動は乱暴だけど、その在り方はちゃんと憧れの騎士様だと思うわ」
「…そうですか?」
「ええ。男性には厳しいけどね」

女尊男卑と言われても否定はしないし、私が優先するのはいつだって女性だ。

「明美さんのような美女に言われるなんて、幸せだなぁ」
「口が上手いところは軟派な人だけどね」
「それはもう治らないんで大目に見てください」

くすくすと笑う彼女の顔が好きだった。
この笑顔がずっと続けばいい、守られて欲しいと、いつか崩れることをどこかで分かっていながらそう願っていた。

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そして赤井がFBIとバレて〜から明美さんが殺されの流れで、一時期赤井兄妹が揉めると思う。
揉めるというか、妹がブチギレるか、兄の立場も理解した上で背中押す?かのどっちか。
とりあえず微妙な空気が流れる時期はあったはず。
いやでも一回は胸倉掴んでブチギレてそう。
「テメェはそこで何してやがる。まだやり残してることあんだろーが。ああ?残したままノコノコ逃げてんじゃねぇよ。一人じゃ無理なら私が手を貸してやる。勿論報酬は払えよ」
みたいなやりとりしてんじゃないっすかね。
「手を貸すのはFBIにじゃない。情けない面した私の兄貴にだ。勘違いすんなよボケ」
昔から事あるごとにFBIに入れようとしてくる兄へ、お前の為に私が動いてやるって素直じゃない言葉で伝えてたらいいなと。
だから絶対組織潰すぞ。みたいな熱い展開があったらいいけど、赤井妹って多分そこまで熱い子じゃないんだよなぁ…
お前が自分でカタをつけろ。って突き放すような言い方で背中を押すというか、勢い良すぎて蹴り飛ばすくらいのタイプだと思う。
ごちゃごちゃ考えてんじゃねー!!!やることやりゃあいいんだろうがボケ!!位の方が赤井妹っぽい。

2017/09/06(17:09)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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