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▽無題

霊感のある女子大生




「…寝起き一発目におじさんのドアップとかやめてもらえます?」

うーんうーんなんか圧を感じるぞ…と思って目を開ければ、悪い悪いと悪びれる様子もなく笑う男の顔。
殴れるのなら殴りたいが、残念ながら彼は所謂幽霊ってやつだ。
実体のない体には幾ら拳を突き出そうが足を振り落そうが、当たることはない。
あ、今こいつ頭大丈夫かって思った?思うよね?いや私もさ、数週間前だったらそう思ったよ。こいつ頭大丈夫か?近寄らんとこ。って。
でもさぁ、もう思えないんだよ。
だって見えちゃってんだもん。言えるわけないですよねー。

「スコッチさんは早いとこ成仏されたらどうです?」
「お前会う度そればっかだなぁ。それより先に言う事あるだろ?」
「おはようございます成仏しやがれ」
「はいおはよう」

こいつ聞いてんのか。
寝起きということもあってそのイライラをぶつけるように拳を突き出せば、やはり私の情けない腕は彼の体をすり抜けた。余計腹が立った。あと笑うのやめろ。

「それより時間いいのか?サボり過ぎてやばいんだろ?」
「目覚ましとして人に圧かけるのやめてください」
「だってお前目覚ましかけないし、こうでもしなきゃ起きないだろ」

図星を突かれては何も言えまい。
さっさとリュックを背負って大学へ行った方がこの世話焼きな幽霊を撒けるだろう。
まぁ彼もふらふらと何処かへ行ってるみたいだし、四六時中一緒に居るわけでもない。

「ちゃんと飯は食えよー?」

あんたは私のお母さんか。
はいはいといつものように聞き流しながら家を出た。

「鍵忘れてるぞ!」

はいはい。
まるで当たり前のように居るもんだからついつい忘れちゃったんだよ。
幽霊である彼は物に触れる事すらできない。
私に圧をかけて起こすか会話をするか、ただそれだけ。

「…つまんなくないのかな」

もしも私が幽霊だったら、暇すぎて消えたくなるだろう。
…まぁそもそも、消えたいからあんなことしたんだろうけど。
私が幽霊を見るようになったのはキッカケがある。
簡単に言えば自殺未遂をしたあの日から見えるようになった。
我ながら実に簡潔且つ分かりやすくていい説明だ。
詳しく言えば、大学生になったはいいものの全てのやる気をなくしてそうだ京都へ行こうみたいなノリで死ぬ事を決意した。
全てのやる気をなくした理由はちゃんとあるが、思い出すの面倒だから割愛する。
で、まぁふらぁってね、飛び降りにしようか飛び込みしようか悩んで、人様にご迷惑をお掛けするような自殺方法はよろしくないと思い薬を飲む事に決めた。
死ぬ為には大量の薬を飲まねばならないと思ったらそれはもう面倒極まりなかったが、たった一つそれだけを頑張れば楽になれるならやってやろう。と謎のやる気で意気込んで飲みまくった。
そりゃあもうお腹いっぱいだ。
お腹いっぱいだから苦しいのか、薬のせいなのか、朦朧とする意識の中漸く私は死ねるのだと思って気づいたら、目の前には川が流れていた。
まじでか。
これが噂で聞く三途の川か。これさえ渡れば完璧だ。おっしゃいっちょ渡ってやろうじゃないか。とズボンを捲り上げて第一歩を踏み出した時、視線を感じて顔を上げたその先には、般若がいた。
訂正。
般若の顔で此方を睨みつける、死んだ婆ちゃんが居た。
話は少し脱線するが、私の婆ちゃんはそれはもう怖かった。
幼少期に両親を亡くした私を親代わりとなってそれはもうとってもとっても厳しく鍛え上げ…育ててくれた偉大なる女性である。
たった一人で年老いた体でまた子育てをする労力は計り知れない。
高校を卒業すると共に亡くなってしまった婆ちゃんが、川の向こうにいる。
蘇るしばきの数々。
いやまぁ私が悪かったんですけどね。うちの婆ちゃんはスパルタである。だからこそいじめの類には強かったし、他人から何かを言われたりされたりする程度ではこれっぽっちも凹まない人間になったから感謝してもしきれない。
しかしあの般若の面を見ると怒られた時の光景が鮮明に浮かび上がる。
ゾッとした。
いやほんと、死よりもおそろしいからね。あの人マジで容赦ないから。
渡ったら殺す。と婆ちゃんがドスの効いた声で発した瞬間、ごめんなさぁああい!!と情けない叫び声を上げて引き返した。
あの人に勝てる人間なんざ居るわけがない。
そうして目覚めた時、あれだけ薬飲んで死にかけたはずの私はすっきりした朝を迎えていた。
ボロクソ泣いたのか涙で顔がパリパリしてたけど。
人間って泣くとストレス解消になるっていうけど、本当だった。最早いつぶりかわからないくらい、久しぶりに泣いた。
とりあえず顔を洗おうとバシャバシャ湯をかけて顔を上げると、鏡に映ったのは自分の顔と見知らぬおじさんの顔だった。
おったまげー。
思い切り振り返ると、おじさんは笑いながらおはよう。と挨拶をしてきたわけだ。
これがスコッチさんと私のファーストコンタクトである。
何故彼がいたかというと、私の婆ちゃんと知り合いだったらしい彼は元々こっち側でふらふらしてたらしく、ついでにうちの馬鹿孫の様子も見てくれないかと頼まれたらしい。
まぁついでだし、と軽い流れで彼も受け入れ現在の流れになっていた。
軽過ぎだろ。
幽霊って実体なくて軽くなったと同時にノリも軽くなっちゃうのかな?
そんなことを思いながら早数週間、私は完全に慣れてしまっていた。
人間の順応力ってすごいね。

「…ん」

眠くなる教授の声を聞き流して居ると、ポケットの中で震えた携帯。
メールの差出人は幼馴染のうちの一人、園子からだった。
…見たくないなぁ。
あの子からのメールってだけで嫌な予感しかしない。
人を振り回す天才かと言いたくなるくらい率先して引きこもりの私を連れ出そうとする一人だ。
蘭も振り回される側だから止めてはくれないだろう。
それでも許せてしまうのは、園子の人柄故か。
やだなぁ。と思いながらメールを開けば、ハイドンピャ。お出かけのお誘いだった。
どうせ私に拒否権はない。
空いて居る日だけを入力して送信すれば、運悪く教授に名前を呼ばれた。
なんでこんな時ばっか鋭いんだよ。
いつか絶対お前がヅラだって言いふらしてやっからな。覚えとけよ。
心の中で中指を立てておいた。ごめん婆ちゃん、淑女にはなれなかったわ。
まぁあの教育で淑女になるわけがないかったよね。そう育てられてないしね。

ーーーーーー
こんな感じの怠そうな無気力主人公が事件に巻き込まれつつ、幽霊見えちゃってるから犯人分かっちゃって、たまたまその場にいた安室さんとか沖矢さんに怪しまれたら面白いよね。っていう。
コナンの正体は知りたくもないのに知ってしまってくっそ面倒。って思いながら付き合わされてしまう。面倒だけどこいつにおしえとこー。って幽霊見えることはコナンにだけ教えてある上で真相話したりしてる。
「おい、なんか分かったか?」
「え、先答えきいちゃう?大好きな謎解きしなくていいの?」
「オメーな…いいぜ、そこまで言うならお前の力無しで暴いてやるよ」
みたいなやり取りたまにしてたらそれはそれで面白いよね!
恋愛はしないけどスコッチとの友情が育まれていくような感じかな。
なんでも話せる仲になったりする。
こんな感じになりましたが、書いてて楽しかったです!

霊感のある女子大生が事件に巻き込まれるとのことだったので、以下は巻き込まれた時。
ーーーーーーーー

私は奴を死神と呼んでも構わないだろうか。っていうか呼ぶ。絶対呼ぶ。

「お祓い行けよ」

あ、間違えた。
つい新一に話しかけるノリで喋ってしまった。
一瞬、沖矢さんと安室さんの視線が此方に向いた気がした。
そして後方で詰めが甘いなぁと笑うのはスコッチさんである。
来たくもないバンド?歌手?のリハに連れ出され、来たら本人死んでるってだけでも意味が分からないのに、何故笑われてんだよ私。
あとさぁ、死人見えちゃってんだけど。目が合った瞬間こいつ俺のこと見えてんじゃん!って確信顔されたんだけど。
またこのパターンかよ!!!
表情変えずに心の中で舌打ちかますのはこれで何度目だろうか。
でもなぁ、こんだけ鋭い人が居る中で私って居る?大丈夫だよ、真相は怪しい眼鏡と胡散臭い喫茶店の店員と小さくなった探偵が暴いてくれるから。
スコッチさんが死にたてホヤホヤの彼に何か言っているが、関わりたくないので黙っておく。
…おい、なんで今残念な子を見るような顔した。何言ったんだよスコッチさん。
でもまぁ私の出番はなしということだろう。

「おい、いつものやつねーのかよ」
「捻り潰すぞクソガキ」
「ガキじゃねーよ」
「言っとくけどお前元の姿でもガキだかんな。未成年は須らくガキだからな」

そして今のお前はクソガキだ。そう見下ろせば、ねえちゃんひどいよぉと猫を被った声を出すものだから思わず口を塞いでしまった。
…やめろ、子供を虐待する大人みたいな目で見るのやめろ。特に梓さんの目が怖いんだけどねぇどういうこと?私悪くないんですけど。

「…協力するんなら丸くおさめてやるけど?」

このクソガキが。
腰を下ろすよう指示したかと思えばこれだ。
本当いい性格してますね。
なんでこんなやつのこと蘭は好きなんだろうって思ったけど、蘭だからこそ分かるいいところがあるから好きなのだろう。なんでこいつら両思いのくせしてずっとずるずるしてんだろうな。元に戻ったら新一くんはさっさと告白したらいいんじゃないですかね。
こんな血生臭いことばっかじゃなくて甘酸っぱい青春でもおくれよクソガキ。

「…ヒントと答え、どっちが欲しいの」
「なぁんだ!僕の勘違いだったよ。ごめんねおねーちゃんっ!」

ク ソ ガ キ
きゅるん。と効果音がつきそうなほど高い声であざとく周りに聞こえるように言う様に、元に戻ったら絶対このネタで揶揄ってやるかんな。と誓った。

ーーーーーー
こう言う感じで事件に巻き込まれると思います(笑)
新一と蘭と園子の幼馴染の大学生で成人済。
面倒事を嫌う主人公の為に安室や沖矢には上手く誤魔化すコナンだけど、あの二人を誤魔化しきれるわけもなく、探られる主人公とかね。
沖矢さんは大学院生という設定を大いに使ってくるし、安室さんはイケメンを武器にしてくんじゃないかな。多分主人公はどっちも面倒だから撒きたい。
スコッチ?楽しそうに笑って見てるよ。
特にあの手この手で意地悪い手口で主人公にボロを出させようとする大人気ない安室さん見てる時とか。

2017/09/16(23:24)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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