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つぶやき

▽無題

もしも星屑がドラマだったらI


※唐突に始まるCM
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長男の秀一、長女の雫、次男の新一、一風変わった三兄弟が織りなす新たなホームドラマが今ここに

「始まると思った?」

にっこりと笑う元気一杯な長女はその風貌からは想像もできない肉体派!?

「またやってるんですか?」

頭脳派の次男!?

「朝くらい静かに過ごせないのかお前らは…」

エプロン姿の一家の大黒柱の長男!?
一体どんな三兄弟なんだ!?
この冬、あなたの心を温める三人の兄弟の物語。

…と思ったらまさかまさかの新事実!?

「なにしてるの新一」
「貴女を口説いているんです」
「お姉ちゃんを?」
「確かに設定上は姉ですが、今僕が組み敷いている貴女は姉じゃない。一人の女性ですよ。ねぇ、雫さん?」

次男が長女に大告白!?

「…赤井さん、置いてかないで」

ええっ、長女が長男に!?

「さて、お前たち準備はできているか?」
「「勿論」」

ライフルを持った長男に刑事顔負けの推理ショーを披露する次男に人間離れの肉弾戦の長女!?
この三兄弟何者!?
詳細は映画館で!!

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「…なんつーか、やらかしたって感じですね」
「うちの社長ノリいいからね」

出来上がった番宣ムービーを新一くんと二人で鑑賞したわけだけど、まぁお互い苦笑いだよね。

「ファンから俺らの共演作品を望むメールが大量に来てたのは知ってたけど、マジで作るとは思ってませんでしたよ」
「私も、事務所のおふざけムービー程度で公式サイトに期間限定で載せるだけだと思ってたよ」
「「…ガチ、なんだよなぁ」」

秀さんも巻き込んで生み出された大作は、それはもう本気のアクションにミステリーに恋愛と詰め込まれていた。
むしろよくもまぁ映画一本分にまとめあげたものだと思う。
脚本家と監督のすごさを身をもって知った作品だ。

「スタッフオールうちの事務所だもんな…」
「社長張り切ってたもんね」

ジェームズ社長も現役だからちゃっかりFBIのボス役とかやっちゃってる辺り、本職が本気でお遊びしたらお遊びで済まないことを私たち二人は思い知らされたのだった。
うちの社長はすごい。

「舞台挨拶楽しみだね」
「なんだかんだで俺たち三人ががっつり共演するの初めてですもんね」
「私と新一くんも無人島企画ぐらいだったもんね」
「雫さんドラマ現場くらいの落ち着きっぷりであの企画もやってくださいよ」
「やだよ、だってあの企画は好き勝手やっていい企画だもん」

役は全て放り投げて、降谷雫そのままで楽しめる番組なんだから役を入れる必要はない。

「ほら二人とも、次は大好きな先輩と映画の雑誌撮影だから早く支度しなさい」
「「はい、すぐ行きます!!」」

とりあえず、この撮影が楽しかったことだけはたしかだ。

「ウケるかな?」
「予想では大分いくみたいですよ?」

成る程

「「秀さんとの共演作が大ヒットとか最高」」
「主演作に秀さんとの共演作が増えましたね」
「しかも映画だから局関係なしに共演シーン流れるかも」
「「最高」」

「二人とも、早くしないと大好きな先輩に叱られるわよ?」
「「はーい」」


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ちゃんねるの民たちの要望をまさかの映画で叶えちゃう社長マジ社長。

以下設定
赤井秀一
FBI捜査官
ひょんな事から日本の警察と名探偵と一時的に共闘関係を結び、ワケあり兄弟として潜伏中。
肉弾戦も得意だが、特に銃の腕前がお見事。
歳下コンビのまとめ役でありリーダー的存在。

降谷雫
日本の警察で所属は公安
見た目の華奢さで油断をさせ相手を仕留める強かさを持つ。
過去に赤井に会ったことがある模様…?
赤井に対する憧れが強く、今回の合同潜入捜査は自ら志願した。

工藤新一
目立つ事をよしとせず、影の頭脳として難事件を解決して来た張本人。
有名人になりたいわけではないので全ての手柄は警察のものとなる。本人が望んでそうしている。
しかしそれを知る雫はあまりいい顔をせず、やたら新一を勧誘していた。
「ねぇ、将来うちにおいでよ。君とならいい仕事ができると思うんだ」
「雫さんが僕だけを見てくれるなら考えますよ」
「見てるよ。だって誘ってるの君だけだもん」
「別の意味もあるんだけどな…」
実は雫に想いを寄せている…?
今回の潜入調査は雫によって引き抜かれた。
本来は参加する気は無かったが、赤井秀一と一つ屋根の下で生活させたくなかったとか…?

そんな仮の兄弟が織りなすアクション、サスペンス、そしてほんの少しのラブストーリー。
そんなごった煮の映画(笑)
多分普通にこの設定で連載やれちゃいそうなのがまた面白いところ。
ネタで書けたら書きたいくらいです(笑)

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にこり。
まるで貼り付けたように上部だけを取り繕うその表情は、わかりやすいくらい壁を感じた。
降谷雫。
彼女のガードは固い。

「ネット配信用のスピンオフも始まるみたいだね」
「はい、ありがたいことに視聴者からの要望が多かったと監督が言ってましたよ」

今日はまだ逃げられないだけマシだろうか。
普段は何かしらの理由をつけて何処かへ行ってしまうからか、共演者にも関わらず会話をする機会は少ない。

「そういえば映画を撮ったんだって?新一くんから聞いたよ」
「ああ…あの詰め込み映画ですよね。秀さんとの共演作となれば絶対ヒット間違いなしです。というかヒットしてくれないと各局で映像流れませんからね」
「新一くんも同じこと言ってたよ」
「大好きな先輩との共演ですからね」

そう語る顔は先程までの壁を感じる笑顔ではなく、心の底から喜んでいるような、そんな柔らかいものだった。
自分が彼女にその顔を向けられる日は果たして来るのだろうか。
一人の人間の降谷零として彼女の目に映る日は来るのだろうか。
彼女の目にはいつだってアイドルの降谷零が映っているのだろう。
どんなにカメラの前と違う顔を見せても、それが変わらないことはこの撮影期間で十分に感じさせられた。

「台本チェックしないといけないので、失礼します」

深々と一礼をしてから去っていく姿は礼儀正しく、人に指摘されないギリギリのラインを保つそのバランスは見事だとすら思える。
愛想が悪いわけでもなければ礼儀がなっていないわけでもない。
その絶妙さで彼女は今まで生きぬいてこれたのだろう。

「あれ、零さんどうしたの?」
「やあコナン君。雫ちゃんは凄いなって思ってただけだよ」
「雫さん、沢山努力したみたいだもんね。新一兄ちゃんもあのひとの演技は凄いって言ってたよ」

普段は突っかかってばかりいる彼も、本心では彼女を尊敬しているのだろう。
まるで役が憑依するかのような演技は、彼女の初演作からは想像もできない姿だ。
いっそ才能だと思わせるその演技は、才能でもなんでもなく、彼女自身の努力の賜物。

「何が彼女をそこまで追い詰めたんだろうね」

ちょっとやそっとの努力ではあの演技力は身につかないだろう。
それ程の努力をする理由が、彼女にはあるのだろう。

「コナン君は知ってるかい?」
「んーん、知らない。新一兄ちゃんなら知ってるかなぁ」
「どうだろうね」

でもなんとなく、赤井さんは知っているんじゃないかと、そんな気がした。
まるで保護者のような姿を思い出しながら、次の現場へと向かった。

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降谷雫は謎に満ちている。
多分事務所の人間以外からはどんな子なんだろう?って思われている。
無人島企画の姿がほぼ素なので、みなさん無人島企画みてくださいって感じではあるよね!!
そう考えると一部の業界人の視聴率も稼いでるのか…打ち切りはまずないですね!ドンマイ新一くん!
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「秀さん秀さん」
「…どうした」
「膝かたいですね」
「お前は男の膝が柔らかいとでも思ってるのか?」

ソファーに座る俺の膝の上に頭を乗せて当たり前の事を言うこの後輩は、何が面白いのかくすくすと笑っている。
いつもは苦手だと言う写真撮影も、今回は随分とリラックスしているらしい。

「珍しいな、お前がここまでリラックスしているのも」
「だって秀さんと一緒ですから!それに喋ってていいってカメラマンも言ってましたし」
「そうだな、今回に関しては自然体の方が合っている」

公開間近となった映画の設定上、兄妹としての設定での撮影と、実は赤の他人であるという設定での二面性を持った撮影の二つがある。
今は兄妹設定の撮影からか、普段と変わりなく寛ぐ姿はいささかリラックスし過ぎのようにも思えたが、カメラマンが何も言わないのならこれでいいのだろう。

「三人のやつと、私と新一くんの二人のやつは明日の予定ですよね」
「ああ、新一も連ドラの撮影で忙しいからな。新一のマネージャーが調整を頑張ったらしい」
「新一くんのマネージャーっていつか胃を痛めそうですね」
「既に胃薬は友達だそうだ」
「…今度お菓子あげよう」
「やめておけ。お前の弟たちとは違うぞ」
「えー、じゃあ秀さんもお菓子もらっても嬉しくないんですか?」
「…お前は俺をなんだと思ってるんだ」

どうやらその顔を見る限り、冗談で言っているわけではなさそうだ。
お前、大物俳優にまでそんなことやってないだろうな…?
少しズレた面のある後輩を持つと、こうして心配になることも少なくもない。

「じゃあ次は恋するバージョンでいきましょうか!」
「はい!」

表向きは最近引っ越してきた三兄弟。
その正体はFBI、公安、探偵。
それぞれの目的の為に協力し合う関係。

「…なんかこう、役入れないとやり辛い」
「お前のやりやすいようにやれ。俺はどちらでも構わん」
「じゃあお言葉に甘えて」

ソファーに横たわる俺に覆いかぶさるように体勢を変えた雫の纏う雰囲気が一瞬で変わった。
いつ見てもこの瞬間は慣れることはない。
目つき、表情、空気。
役が乗り移ったように一瞬で別人へと成りかわる瞬間。

「…どうして貴方はいつも遠いんですか」

泣きそうなくせに、決して涙を流すことはなく、切なげに紡がれた言葉は劇中のセリフだ。

「どんなに手を伸ばしたって届かない」

白い指先が、そっと俺の頬に触れる。

「それが本来の俺と君との距離だ」

それを掴んで同じように劇中のセリフを紡げば、くしゃり、と歪む顔。
いっそ泣いてしまえばいいのに、それだけはしないと言うように強がるその姿に、一体何人の男がその体を支えたいと、抱きしめたいと思わされるのだろう。

「オッケー!いやぁ、流石雫ちゃん、ガラッと雰囲気変わるねぇ」
「ありがとうございます!」

そうしてカメラマンの声により撮影が終わると、気が抜けたようにそのまま俺へと倒れ込んでくる体。

「雫」
「もうちょっとだけ!」
「…お前な」
「だって新一くん居ると秀さんひとりじめできないんですもん!」
「…一分だけだぞ」
「やったー!」

結局甘やかしてしまうのが悪いのだろうか。
それでもここまで素直に喜ばれてしまえば悪い気はしないものだ。

「その素直さがお前の強みだな」
「やった、秀さんにほめられた」

胸に顔を押しつけるようにして紡がれた声はくぐもっていた。
後日、このやり取りをおさめた写真が雑誌に取り上げられ、それをテレビが放送し映画よりも取り沙汰されたのはまた別の話だ。

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シャッターチャンスは逃さない優秀なカメラマンと、GOサインを出すお茶目な社長。
そしてその話題を知って拗ねる末っ子工藤新一までがセットです(笑)
「なんすかこれ!」
「この間の撮影のやつだよ」
「いや、これは終わってからのやつだろう」
「そんな話が聞きたいんじゃない!なんで撮影終わってんのにこんなことやってんだって聞いてるんですよ!!」
「ねぇ新一くん、彼氏の浮気を見つけた彼女みたいだよ」
「俺だって秀さんに甘えたかった!!」
「じゃあ今から甘えればいいじゃん。私と一緒に」
「なんで雫さんもなんですか!アンタすでにひとりじめしただろ!」
「やだよ、私だって秀さんに甘えたいもん」
そして始まる無人島姉弟の喧嘩。
突き刺さるマネージャーからの「止めるのはお前(赤井さん)の仕事だ」という視線に重いため息を吐いて仲裁をする愛されパイセンの赤井秀一。
今日も三兄弟は仲良しです。

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「やだー!!」
「もっと沖矢さんと仕事したいです!!」

事務所に顔を出して真っ先に視界に入ったのは、沖矢君にしがみつくようにして抱き着く後輩が二人。
まるで子供のような駄々のこね方に、彼はいつもと変わらず笑みを浮かべていた。

「お前たち、沖矢君が困ってるだろ」
「だって!」
「俺たちまだ一緒の仕事してないですもん!!」
「社長には僕からお願いしておきますから」
「「本当ですか!?」」
「…あまり甘やかしてくれるな」

嬉しい申し出に普段の喧嘩腰などどこ吹く風で互いに手を取り合って喜ぶ二人は、無人島姉弟という名の通り、本物の姉弟のように見えた。

「絶対ですよ!」
「約束ですからね!」
「ええ、勿論」
「「やったー!!」」
「こうしてると本当の姉弟みたいですねぇ」

ようやく後輩の拘束から解放された彼は呑気に呟くが、きっと誰もがそう思うのだろう。
新一と雫は本物の姉弟のように仲がいい。
初めてできた後輩ということもあってか、雫の構いっぷりもすごかったからな。

「それじゃあ僕は仕事があるので失礼します」
「ああ」
「「昴さん、いってらっしゃい!」」
「ええ、いってきます」

軽く触れるようにして頭を撫でる手を嬉しそうに受け入れる二人はまるで子犬だな。

「さて、それじゃあ俺たちも次の仕事に行くぞ」
「「はい!!」」

映画のインタビュー撮影の為に一旦事務所を出た瞬間、どっちが俺の隣を歩くかで喧嘩を始めた二人に、彼も一度でいいからこれを味わって欲しいと切実に感じた。
…なんでこいつら俺の時だけ毎回ここまで揉めるんだ。
ため息を吐きながらも自然と緩む口元は、そんな後輩を嫌うことはないのだろう。
秀さん!と同時に俺を呼ぶ声は心地よくもある。

「廊下で騒ぐな」
「「はい!!」」

元気よく返事をした後輩は果たしてわかっているのやら。


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海外へ戻ってしまう沖矢パイセンに泣きつく無人島姉弟
先輩大好きだから仕方ない。
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2017/11/05(20:39)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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