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▽無題

ジンくんの幼馴染B


「…あれ?」

見事的から外れた銃弾に首を傾げるのは、ジンの犬の呼ばれる女。
何故だと言わんばかりの純粋な疑問を訴えかけるその目に見上げられても困る。

「狙う気はあるのか?」
「あるよ」
「それにしては的外れもいいところだな」

もう数十発も外しているだけでなく、そのどれもがわざと外していてるのかと言いたくなるほど的外れな場所に撃ち込まれている。

「ジンくんが居れば別に私が下手でも大丈夫なのに」

まるで子供のように拗ねた顔を見せた彼女はそう言って銃を手放した。

「毎回ジンと行動するとは限らないんだろ?」
「…ボスは最近意地悪だから」

果たして依存しているのはどちらだろうか。
…いや、この二人の場合は互いに切っても切り離せない存在なのかもしれない。
ジンの犬と呼ばれるだけあって、彼女のそばには常にジンがいるのが当たり前の光景だった。
しかし最近は飼い主離れをしろということか、他のメンバーと組まされることも少なくはない。
今回は任務ではないが、あまりに酷い狙撃の腕前にせめて的にかするくらいにはしろという上からの指令があったらしい。
散々ジンがいいと駄々をこねる飼い犬を飼い主は押し付けるように俺へと突き出し、自分はとっとと別の任務へと行ってしまった。
勿論余計なことはするなと言いたげな瞳に射抜かれたが。

「一度でも的にかすりさえすれば、ご主人様も褒めてくれるんじゃないか?」
「えー…そうかな」
「もう少し頑張ったらどうだ」
「…かすったらめいいっぱい褒めてもらおう!!」

あのジンがめいいっぱい褒める姿は思い浮かばないが、近しい存在には気を許しているかもしれないな。
…だかといってやはりあのジンがめいいっぱい褒める姿は想像もつかないが。

「だから銃口の位置が違う」

的から明らかにずれた方向に構える姿は、果たして今回の特訓だけで直せるだろうか。
まずはそこからだな。

ーーーーーー
潜入時代の赤井さんと犬
そんなに仲良くはないけれど、周りがつい世話を焼きたくなる性格をしている仔犬のおかげで会う人はだいたいこうなる。
多分的にはかすりもしなかった。
ーーーーーー


ジンくんが撃たれて帰ってきた。

「痛い?」
「こんなもんかすり傷にもならねぇよ」
「痛い?」

ぐ、と傷口を押せば一瞬声を詰まらせて、それから視線だけで人を殺せそうなあの目が私を見下ろした。

「殺すぞ駄犬」
「やっぱり痛いんじゃん」

ジンくんってたまに強がるところがある。
黙れと言わんばかりに頭をぐしゃぐしゃと掻き乱すようにして撫でてくる手は優しくて、笑いながら擦り寄ればうるせぇと低い声が囁いて、そのまま私の口を塞いだ。
苦しくて肩を叩けば、離れたジンくんの顔が意地悪く笑っていて、ああやっぱりジンくんはジンくんだなぁ。なんて当たり前のことに安心する。

「多分ね、息ができなくなるのも、できるのも、私はジンくんがいるからだと思う」
「当たり前のこと言ってんじゃねぇ」

きっと私が生きていくのも死ぬ時も、全部ジンくんの側なんだろうな。

「…おいていかないでね」

ボスの命令でジンくんと別行動なのは我慢できるけど、ジンくんの意思で見捨てられてしまったら私は生きていけない。
ジンくんが居ないと、生きることも死ぬこともできない。

「くだらねぇことしか喋れねぇなら寝ろ」
「ジンくんも一緒?」
「あぁ」

なら、安心だ。
ごろんとベッドに寝転がった私を抱き枕みたいに抱きしめる体温は、いつだってあたたかい。


ーーーーーー
赤井に撃たれた時のジンさん。
仔犬はジンは結構頑丈だって思ってるし、下手したらジンくんはね、サイボーグなんだよとか言ってる。
そしてご主人様に躾けられる。
ーーーーーーーー


「…な、んで…っ」

俺の背後に隠れた灰原が、震える声で呟いた。
その視線の先に居るのは一人の女性。

「…仔犬が一人で散歩とは珍しい」
「え?」

赤井さん扮する沖矢昴が呟いたのは、彼女についてだろう。

「まさか…!」

灰原と赤井さんの共通点といえば、黒の組織だ。

「…ええ、そのまさかよ…組織の人間、それもジンの犬よ」

俺の服を握る手に、更に力が込められた。

「まずい、博士達が行く方向って…!」

お化け屋敷へと無邪気に向かう子供達の先には彼女が居る。

「昴さんは灰原とここに居て!」

何かされるとは限らねぇが、関わらない方がいいのは確かだ。
駆け出した瞬間、彼女と目があった。

「ねぇ君!」
「っ、」

人混みの中、耳へと真っ直ぐに届く声。

「一緒に入ろうよ!」

無邪気に笑って駆け寄ってきた彼女は、一体なんの目的があってここに居るのだろう。

「あれ、コナンくんはやくはやく!」
「昴の兄ちゃんと灰原はどうしたんだ?」
「はやく並びましょうよ!」

俺に気づいた子供達と博士まで来たんじゃどうしようもない。

「あれ?もしかしてみんなお友達?」
「はい、僕たち少年探偵団の仲間なんです!」
「へぇ、探偵団かぁ。楽しそうでいいね」

まずい、どうやってこの場を離れるべきか…灰原達は離れた場所へ移動したようだ。
…一先ずは安心だな。

「ほかのお友達、どこか行っちゃったみたいだけどいいの?」
「ほんとだぁ、昴さんも哀ちゃんも居ない!」
「灰原が体調崩したみたいだから昴さんが医務室へ連れて行ったんだよ」
「お友達が体調悪いならお化け屋敷はお預けだね。お見舞いに行っておいで」

彼女の口ぶりから、わざと俺に声をかけたわけじゃないらしい。
お友達は大切にね。と続けた彼女はやはり笑っていた。

「折角誘ってくれたのにごめんね!」
「気にしないで。お友達、よくなるといいね」
「ばいばい、おねーさん!」
「うん、ばいばい」

ひらひらと手を振る彼女に同じように振りかえしながらなんとか離れることができたが、一体なんの為に一人であんなところにいたんだろうか。
仲間と別行動中か?
ある程度離れてから振り返ると、安室さんに腕を引かれる彼女の姿が見えた。
…安室さんと一緒に行動していたのか。

「おーいコナン、医務室どこだよ〜」
「今行くから勝手に動くなよ」

とりあえず灰原達との接触は避けられたな。
急かす子供達に返しながら、今度は振り返ることなく足を進めた。

ーーーーーー
沖矢昴に会わすはずが、接触回避してしまった…
安室さんと任務で出て来たのに、ジンくんいないし興味を引くものが沢山あるしで逸れたワンコ。
多分安室さんは必死こいて探したと思うし、内心激おこだと思う。
ーーーーーー

「お化け屋敷入りたかったなぁ」
「それはオフでジンと行けばいいでしょう?」
「ジンくんこういうところあんまり好きじゃないから無理だよ」

たしかに、あのジンがオフで遊園地にいる姿は想像できない。
だからといってこのいうことを聞かないジンの犬の手を離すわけにはいかない。
あの一瞬の隙に逸れるのだからできるわけがない。

「ジンに怒られても知りませんよ」
「来ないジンくんが悪い」
「文句なら本人に言ってください」
「ちゃんと言うよ」

掴んだ手を離せと言うように軽く引く仕草に手を離せば、拗ねた顔がこちらを見上げた。

「次勝手な行動をしたら首輪にでも繋ぎましょうか?」
「全部ジンくんがするならいいけど、バーボンじゃ嫌だ」
「なら大人しく任務に集中してください」

こっちだってこの犬の子守はごめんだ。とは頭の中で呟いて、任務へととりかかることにした。

ーーーーーーーー
首輪はジンくんからしか受け付けない飼い犬
ーーーーーーーー


「遊園地に居た人だ」

そう言って不躾に指をさしてきたのは、ジンの犬であるバーバラだった。
…まさかまた会うことになるとはな。

「何処かでお会いした事がありましたか…?」
「会ったっていうより、見たってだけだよ。だからはじめましてかな」

子供のように無邪気に笑う姿は組織に潜入して居た頃から一つも変わってはいなかった。

「でも多分知ってるよ」
「知ってる?」
「うん、知ってる。あなたにとてもよく似た人を知ってるから」
「それはどんな方ですか?」
「うーん、ヘビースモーカーでいつも煙草の匂いがして、狙撃がうまい。ジンくんに似ているけど全然違う人」
「ジンくん?」
「私の大切な人」

果たして彼女は沖矢昴の正体に気づいているのか。

「とっても頑丈だからちょっとやそっとのことじゃ死なないと思うけど、でも痛いものは痛いみたいだから、あんまり怪我はして欲しくないな」
「大切なんですね」
「ジンくんが居ないと生きることも死ぬこともできないから。だからもし会っても怪我させないでほしいなぁ」
「僕がそのジンくんにお会いするからは分かりませんが、覚えておきますね」

ありがとう。と笑ったまま続けた彼女はやはり読めない。

ーーーーーー
なんとなくで言ってるだけで確信もなければイコール赤井とも思ってない。
いないけど、似てる気がしたから言ってるだけの犬。
もう少し赤井さんとの絡みとかをね、書きたかったよね…
最近ではバーボンがお守り役に使われ気味。

2017/12/01(13:17)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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