ネタ

勝手に増えたり消えたりするネタ倉庫
赤井妹
工藤姉
星屑関連
勧善懲悪には程遠い
その他
他ジャンル
つぶやき

▽無題


宮野志保の姉A
でれでれお姉ちゃんが書きたかった


穏やかな日常に幸せを感じる宮野姉妹が書きたかったので、なんやかんやで変装して灰原哀の兄として阿笠邸で暮らす宮野姉。
沖矢昴と同じく有希子さん作だといい。
変装の仕方は器用なので一発で覚えた。
お隣の居候沖矢昴の正体は気づいているし盗聴器も分かっていて敢えて放置している。

ーーーーーー

「哀、一緒に帰ろう」
「あ!哀ちゃんのお兄さんだ!」
「こんにちは。ここからは君たちと方向は違うし、僕が哀と一緒に帰ってもいいかな?」

見るからに優男なその青年は、俺らに目線を合わせるように屈んで優しく問いかけた。
その姿は組織の人間として動いていたやつとは思えないほど穏やかで、柔らかい空気をまとっていた。

「兄さんったら、毎日迎えに来なくてもいいのに」
「哀は僕が来るのは嫌かな?」
「…ううん、嬉しい」
「そうか。よかった。僕が哀を迎えに行きたかっただけだから、嫌ならどうしようかと思ったんだ」

そう言って大切なものを抱えるように灰原を抱き上げ、その存在を感じ取るように頬をすり寄せる彼は妹の事が心配でしかないのだろう。
常に命のやり取りと隣り合わせの生活の中、突然手に入れた平穏が怖いのだと、そう言っていたと灰原から聞いたことがある。
彼にとって唯一生き残った家族は灰原だけで、灰原にとってもそれは同じなんだろう。

「なんだか素敵〜」
「素敵?僕たちが?」
「うんっ!絵本の王子様とお姫様みたい!」

女の子らしいというかなんというか。
きらきら目を輝かせる歩美ちゃんに彼は満面の笑みで頷いてみせた。

「僕にとって哀は世界でたった一人のかわいいお姫様だからね」
「に、兄さんっ!?何言ってるのよ!?」
「だって本当のことだから。僕にとっては世界で一番かわいくて大切なお姫様だよ、哀」

そう言って額にキスをしてみせた彼は成る程、確かに歩美ちゃんのいう通りのどこぞの王子様のようだ。
しかも無自覚にキザなやつ。
何も言い返せなくなった灰原は兄の腕の中で為すすべもなく、真っ赤な顔をその肩口に埋めることで恥ずかしさを隠すことにしたらしい。
…耳まで真っ赤になってらぁ。

「そういうことだから、僕のお姫様はもらって行くね」

うわ、大人げねぇな。
笑顔で俺らを虚勢するようなその発言は、穏やかな中に微かな独占欲が含まれているようだった。

「…ううっ、あれじゃあ勝ち目がありませんね」

光彦の悲しそうな声にあれ実は兄ちゃんじゃなくて姉ちゃんだぜ。とは言えず、静かにその肩を叩くことしか出来なかった。

ーーーーーーーー
きっと哀ちゃんのことをめいいっぱい甘やかして甘えてでれっでれっになってると思うんだ。
常にお姫様扱いをする。
恥ずかしいけどちょっぴり嬉しい哀ちゃんとかね!いいと思うんですけどね!どうですかね!!
ーーーーーーーー


「おや、これは珍しい。貴方が一人でいるなんて」
「…白々しいな。どうせ知ってるだろ」

穏やかな笑みを浮かべながら気安く声を掛けてきたのは隣の工藤邸に住む沖矢昴。
その正体はFBIの赤井秀一。
私がどうして哀と一緒じゃないかなんて、盗聴で知っているくせにわざわざ声をかけて来る所が腹立たしい。

「妹さんにフラれてしまってご機嫌ななめ、といったところでしょうか」
「…ほんと、腹の立つ男だな。ああそうだよ、愛しのお姫様を怒らせてしまって置いてけぼりだ。笑いたければ笑え」

少年探偵団とその保護者として阿笠博士達はキャンプへと行ってしまった。
勿論私も保護者としてついていくつもりだったが、どうやら私の発言で哀を怒らせてしまったらしく、その考えが直るまで一緒に出かけない。と断言されてしまった。
それをこの男が聞いていたと思うと腹立たしいことこの上ない。

「貴方も懲りませんねぇ」
「何の話だ」
「散々泣かせておいてそれでもその考えを改めない」
「放っておけ。私はあの子の為ならどんなに傷を負おうがその結果自分が死んだとしても構わない。あの子が生きてさえくれるのなら、私なんでどうなっても構わない」
「だから怒られるんだ君は」
「お前にとやかく言われる筋合いはない。退け」

優男の仮面を被った男が呆れたように笑い混じり吐いた溜息は私の神経を逆撫でするだけだった。

「まぁまぁ、折角ですしお茶でもどうですか?」

にこりと笑ったその仮面を剥がしたい衝動に駆られたが、こういうのは感情的になった方の負けだ。

「勿論美味しい珈琲を淹れてくれるんだろうね?」
「珈琲に美味しさを求めるタイプだったとは意外ですね」
「…お前は人の神経を逆撫でするプロだな沖矢昴」

ーーーーーーーー
険悪ではないけど確実に好きではないし、嫌いと言うよりは相性が悪いに近い。
でも安室透のことは嫌いだと思う。理由らしい理由はないけど、多分嫌い。
哀の為なら自分の命なんてどうでもいいとかその手の発言をしたせいで哀ちゃんはご立腹。
ーーーーーーーー


訪れる夜が怖い。
神経を研ぎ澄ませていなければ、いつ誰に殺されるか分からない。
寝る事がこんなにも恐ろしくなったのはいつからだろう。
眠りに落ちるたびに見る悪夢は、私の罪だ。

「…っ…は、ぁ…っ」

落ち着け、落ち着け、息を殺せ、声を殺せ、存在を殺せ。
誰にも気づかれないように呼吸を落ち着かせろ。
悪夢に魘されるのはお前の罪。
苦しむことすら烏滸がましい。
だから早く呼吸を整えろ。
…喉、渇いたな。

「…ねえさん?」

コップに水を注いでいると、眠そうに目を擦る妹が心配そうに私を呼ぶ。

「志保も喉が渇いたの?はい、どうぞ」

さっきまでの悪夢など無かったかのように笑みを浮かべてコップを差し出せば、小さく横に振られた首。

「…ねむれないの?」
「違うよ、少し喉が渇いてね。飲んだらまたすぐに寝るよ。だから志保も早くおやすみ。明日も学校でしょう?」

軽く背を押して寝室へと向かわせようとするが、どうやら言うことを聞く気はないらしい。
小さな指先が私の目元を優しく撫でる。

「…なら今日は姉さんと寝るわ」
「子供じゃないんだ。志保は一人で寝れるでしょう?」
「灰原哀は子供だもの。だから兄さんが一緒じゃないと寝れない夜もあるわよ」
「…僕のお姫様は狡いなぁ」
「あら、だって兄さんは私の王子様でしょう?」
「こんな小悪魔なお姫様だとは思わなかったな…」

困ったな、情けない姿は見せたくないのに、そんな風に言われて仕舞えば大人しく頷くしかない。

「おやすみ、にいさん」
「おやすみ、哀」

抱きしめたい小さな体は暖かくて、涙が出そうなくらい安心してしまう。
あんなにも恐ろしかった夜が、寝る事が、初めて心地いいと感じた。

ーーーーーーーー
生きてる体温は安心する。
初めてお姉ちゃんが安心して寝れた夜。
ーーーー

2018/04/17(21:44)


←prev | next→

※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
top