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▽無題

赤井妹ネタ

fgoクロスオーバーで降谷妹が以蔵さんをなんやかんやで契約する話もいつか書きたい。




ミス赤井は不思議な女性だった。

「うわ、ゴミかと思った」

思いきり顔を歪ませてそう言った彼女は、邪魔。と追い討ちをかけるように僕に言って、その腕を伸ばした。
掌を上に向けて僕に向けられた手。
どういうことだろうと首を傾げれば、彼女もまた同じように首をかしげた。

「なに、腕折れてんの?めんどくさぁ…しょうがないから運んでってやる」
「い、いやっ、そういうわけじゃあ…」
「はあ?じゃあさっさと掴めよ。邪魔なんだって」

今まで誰にも伸ばされることのなかった助けの手。
あいつにかかわると自分も標的にされると存在すらもないものとされていた僕へと真っ直ぐに伸ばされているそれが、涙で歪んだ。

「…めんどくさぁ」

心底そう思っている口調で呟いてから、一気に縮まる僕と彼女の距離。

「動かないお前が悪いからな」

ふわりと簡単に抱き上げられた僕の姿は所謂お姫様抱っこというやつで、わけがわからず彼女を見上げれば、やはり心底めんどうそうな顔をされた。

「っていうか軽いなお前。食べてんの?それとも体質?」
「た、体質もあるけど、最近は食欲なくて…」
「ふーん。まぁ保健室連れてくから後は先生にでも相談すれば」
「む、無理だよ…!」
「なんで」
「誰も助けてくれない」

そう、誰もだ。
教師だって一部は気づいているくせに面倒ごとが嫌で見て見ぬ振り。
信用できる人なんているわけがない。

「めんどくさいなお前。このまま餓死したとか聞いても後味が悪いし、一度関わったなら尚更か。
原因を消してやるからさっさと言え」

至上最大の問題児。
完全なるヒール。
悪魔。
学内でそう噂されるミス赤井の本質はヒールではなくヒーローなんじゃないんだろうか。
日本には紙一重という言葉があるらしい。
きっとヒールも極めればヒーローにもなるのだろう。

「あ、ちゃんと報酬はもらうからな」

初めて見た笑顔はやっぱり悪役寄りのものだった。
それでも輝いて見えたのは、彼女が自分に正直に生きているからだろう。
真っ直ぐと自分のやりたいことだけをやるその姿は、やっぱりカッコよかった。

ーーーーーー
助けようとは思ってない。
よくよく考えたらイイカモだし、ストレス発散もできるし、なんだ、すっげーいいビジネスじゃん。
とか思ってるし、相手もわかってる。
でもたかったりしないし、この一回きりで終わる上に赤井妹はやったことも忘れているパターン。
でもこの子とは友人関係くらいにはなってるんじゃないかな。
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「やだー!絶対やだー!!」
「聞き分けのない子供かお前は」
「少年心は常に持ってるんですーお前みたいな冷徹野郎とはちがって純粋なんですー」
「純粋な少年は犯罪組織に手を貸すなんて思考はしていないがな」
「うるせー純粋な金への欲求がそうなったんだよ」

そもそも少年ですらないだろお前。
子供の癇癪のように喚いてクッションを投げてくる妹はただの餓鬼と大差ない。
そして最後に真純の名前を叫んだかと思えば、そのままソファーへとうつ伏せになる。
…やっと終わったか。

「…私も修学旅行行く」
「妹に引かれる覚悟があるのなら制服を着てティーンを満喫してくればいい」
「お前ほんと嫌い」

恨めしげにこちらを睨みあげてから再びクッションへと顔を埋めた妹は、ここ数日ずっとこんなことを繰り返していた。

「だってさぁ、修学旅行つったら泊まりじゃん。宿泊じゃん。一つの屋根の下じゃん。見知らぬ野郎が居るとこに真純も泊まるとかなにそれ羨ましい。つーか殺す」
「同じ部屋に泊まるわけじゃないだろ」

そもそもホテル暮らしの時点で似たようなものだろ。
それはいいのに修学旅行は駄目なのかお前。
初めて会ったその瞬間からシスターコンプレックスに陥り急速に拗らせた結果がこれだと思うと、胃が痛むのを感じた。
…俺はいつもこいつに振り回されて居る。

「あー!!!無理!!!もう無理!!考えただけで死にそう!!!私も同じホテル予約する。ホテルにハッキングして真純の泊まる部屋調べてその隣に予約する」
「犯罪行為はやめろ」
「愛する妹と共に居たいと思う姉のこの気持ちのどこが犯罪だって言うんだクソ野郎」
「その為の手段が犯罪だと言っているんだ馬鹿が」
「はーん、久々の暴言じゃねぇかこの野郎。こちとら十数年もお前に振り回され続けてストレス溜まってんだよボケ!!!」
「それはこっちの台詞だクソガキ」

ーーーーーー
赤井兄がいつも折れてるイメージですが、お母さんとやり合っちゃうくらいなんだから殴り合いの喧嘩とかよくやってたと思うんだ。
まぁ妹が勝ったこと一度もないけどね!!!
先読みとかしちゃえば勝てるんだろうけど、突然勃発する喧嘩じゃ集中なんてできないし、そもそもブチギレてるからそんな発想もない赤井妹。
赤井家の長男長女の兄妹喧嘩は多分末っ子も青ざめるレベル。
若い頃はスラング合戦になってても面白いですね!
大人気ない赤井さんもいいと思うんだ。
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集中すると疲れる。
それは誰だって同じだ。
ただ、その集中の先で何が起きるのか。
何を見るのか。
考えるのか。
どこを使うのか。
それらで本人にかかる負担は変わる。

「ミス赤井?」
「その呼び方やめろっつったろ」

学生時代ゴミだと思ったらうちの生徒だったという出会いを果たした男は、気づけばたまに言葉を交わす仲になっていた。

「あまりにもつまらなそうな顔だったから。またハッキングバレたのかと思って」
「またってなんだまたって。まるで私の詰めが甘いみたいな言い方やめろ」
「実際甘いだろ君」

うるせぇ。
手近にあった空のペットボトルを投げつければ、軽い音を立ててやつの頭に直撃した。

「力の使い方っていうか、ペース配分?みたいなのができたら楽なのにって話だよ」
「十分できてると思うけど」
「できてたらスタミナ切れなんて起こすかよ」
「でも君は変わらず僕のヒーローだよ」

寒気のする台詞を吐くのは最早口癖だろうか。
何度もこの男から聞くヒーローの称号はどうにも性に合わない。

「史上最悪のヒールの間違いだろ」
「ははっ、違いない」
「しばくぞ」
「自分で言ったくせに…でもなんでも極めれば同じなんだよ。ヒールもヒーローもね」
「なにそれ」
「君はいつだって真っ直ぐだろう?自分にさ」

そりゃそうだ。

「だって私の人生だもん」
「だからだよ」

言ってる意味はよくわからなかったが、でもまぁ悪い気はしないしいいにしてやろう。

ーーーーーー
友人と言うほどの仲ではないけれど、それでも確かに信頼はあるみたいな関係。
こいつなら大丈夫だろみたいな。
没頭で出たオリキャラのいじめられっ子くんですが、多分ハッカーとしての腕は彼の方が上なので色々教えてもらったり、あんまり頭使うことはこっちに丸投げする降谷妹。
彼は赤井妹に助けられたことに恩を感じているので、全部笑いながら協力してくれるけど、タダはタダでいいけど、それより恐ろしいものはないって言うし、とりあえずこれでも受け取っとけ。って缶チューハイ投げつけられる。
彼にとって赤井妹はいつだって自分に真っ直ぐなヒーロー。
助けたいとかそんな気持ちは一切なく、本当にただ本人がやりたいからやった。精神なのがまた好感を持つ抱いている。
現在ではたまーに連絡するくらいの仲。
「いいんだよ、それでこそミス赤井なんだからね」

ーーーーーーーーーー


ぐらり。
脳みそが揺れる。
体が揺れる。
世界が揺れる。
聞こえる音が、声が、空気が、香りが、全てが強く感じる。
全ての神経が研ぎ澄まされた先。
そして目的を果たし終わった時、ただ一つに集中していたそれが散漫し、自分を取り巻く様々なものに反応する。
全ての力が抜けていくのに、感じる力だけは敏感なままで気持ちが悪い。

「良くやった」

嗅ぎ慣れたタバコの匂い。
包まれる体温。
溶け込む様に耳に入る声音は気持ち悪いほど優しく感じる。
だけど悪い気はしない。
漸く落ち着ける。
その体温と匂いだけに集中して目を閉じれば、ほら、あとは元に戻るまで寝るだけだ。

「…ほーしゅー、わすれんなよ」
「…相変わらずだな。犯人を連行したらすぐに振り込んでやるから安心して寝ろ」

当たり前だ。何のためにここまでやったと思ってやがる。
目が覚めたら通帳にゼロが増えていることを期待して意識を手放した。


ーーーーーーーーーー

ただ一点だけを見据える瞳。
元々の気性の荒さも相まって高まる戦闘本能というやつだろうか、まるで獲物を見つけた獣のように舌なめずりをして釣り上がる口角。
その横顔はまさしくヒールそのものだ。
学園の問題児。
史上最悪のヒール。
そんな風に呼ばれながら好き放題暴れまくっていた学生時代に何度胃を痛めたことか。
それでも今こうして役に立っているのだから胃を痛めた甲斐があったと言うべきか。
妹の最大の能力はハッキングではない。
異常なまでな集中力と瞬発力。
元々頑丈で喧嘩も強い方だったが、集中している時の妹は人間という次元を超えている。
全ての感覚をターゲットだけに注ぎ、動きを先読みすらしてみせる。
神業とも言えるそれこそが妹の能力だった。

「…ばーか」

相変わらずの口の悪さで引かれた引き金。
響き渡る発砲音。
先を読んで撃ち込んだその先で、犯人が倒れこむ。
急所は外しながらも動きを封じるように的確に放たれた銃弾に、無線機からは同じようにそれを見ていた仲間の感嘆の声が聞こえてきた。
たまに現場へと連れ出されこうして能力を発揮する妹に反感を抱く奴も居るが、それらは全て実力でねじ伏せられる。

「良くやった」

ぐらりと揺れたその体を抱きとめれば、抵抗する力は無いらしく大人しく倒れこむ。
よくやったと頭を撫でてやってもいい程の働きぶりだったが、今の妹にそれをしたところで不快感を煽るだけだろう。
少しの音や触れる体温でも気持ちが悪いと過敏に反応する妹は、その感覚が抜けるまでは外部との接触を遮断する。

「…むり、しんどい。はやくおとせ」

肩口に顔を押しつけるようにしてそれだけを呟いた妹は、意識を手放すことを選んだらしい。
後で文句は言うなよ。と呟いてから気絶させるように手刀をくらわせれば完全に力の抜けた体。

「…0が増えそうだな」

どうせ妹のことだ、手伝ってやったのに手刀までくらったのだから報酬を増やせと理不尽に喚くのだろう。

ーーーーーーー
力を発揮する妹の話ってこんな感じでいいんだろうかって思ったんですが、妹すぐ気絶してるし見せ場少なかったですよね!!!ごめんなさい!!!
本当はもっとカッコいい妹が書きたかった…

ーーーーー


「ーーー大人しくしてろ」

それはいつもよりも緊迫したような、それでいて獲物を見つけた野獣のようにギラついた目だった。
犯人の正体に気付いて駆け出そうとした俺の首根っこを掴んだ赤井さんの妹は舌なめずりをしてただ一点を見つめていた。
それは犯人がいるであろう場所。
けれど走って行った犯人の姿は遠く、普通の人間では既に目視できない場所へと逃げて行ったはずなのに、彼女はギラついた目のまま信じられない言葉を紡いだ。

「見つけた」

高揚しているかのような声。
単なる呟きであるはずのその一言に含まれる純粋な敵意。
殺意にも似たそれは悪であるはずなのに、あまりに真っ直ぐな言葉だったからか、研ぎ澄まされたような綺麗さすら錯覚するそれはやはり獲物を捉えた野獣に近い。
吊り上がった口角。
開く瞳孔。
鋭い瞳で捉えた獲物は既にこの獣に喰われたも同然なのだろう。

「ーーー逃すかよ」

獰猛さすらを感じさせる姿とは裏腹に、銃を構える姿は無駄がなく静かで、撃ったことを気付かせることすらなく放たれた銃弾。

「びーんご」

遠くから悲鳴が聞こえるコンマ数秒前に耳に入ったのは、野獣とは程遠いゆるい声だった。

「…マジかよ」
「ばーか、誰がやったと思ってやがる。私がやってんだから当たり前だろ」

流石赤井さんの妹。
目視することすら困難なターゲットを、被害者を一人も出すことなくたった一発の銃弾で仕留めやがった。

「私はこれから用があるから後は頼んだぞ。平成のシャーロックホームズ?」

ひらりと手をふりながら人混みを抜けていく背中は、すぐに見えなくなった。

「わっかんねー」

自由が服を着て歩いているような奴なのに、仕事となると別人のように的確にターゲットを仕留める。
その腕は兄である赤井さんが唯一認める彼女の長所だ。
けれど普段は犯罪組織に手を貸そうとしては赤井さんに見つかり説教コースの彼女には正義も悪も関係ない。
それなのに人を助けるような事をしたかと思えば、したいからしただけだと答える。
彼女が自ら誰かを助ける時、見返りを求めることはない。
普段は完全に悪の側にいるのに、その本質はまるで善だ。

「…考えたってしゃーねぇか」

彼女を理解しようとする方がきっと間違っているんだろう。


ーーーーーー
コナンくんの前ではかっこつけて去って行ったけど、本当は感覚が鋭くなりすぎて吐きそうな赤井妹。
兄がいる時だけ安心して倒れこむといいなぁなんて。
口は悪いけど、こいつになら弱いとこ見せても別にいいや。みたいな。
次男に対しても同じ。
でも真純の前では常にかっこいいお姉ちゃんでいたいから我慢する。

2018/07/04(21:27)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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