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▽無題

ヒプマイ
独歩幼馴染
社畜が沼でした…




男は30後半から!と言っていた友人は一回り年上の男性と結婚した。
確かに、30代って魅力的だ。
まだ十代だった頃、30代といえば精神的にも金銭的にも落ち着いていてとても大人だと憧れていた。
けれど社会に出てから気づいたことがある。

「別に30だろうがなかろうが、精神的にガキなやつはガキだし結局は年齢じゃなくて性格だよね」
「…急にどうしたんだよ」

ばきばき。片手で飲み終わった缶チューハイを潰した私に引いた目で言ったのは、二つ年上の幼馴染。
私と同じく社畜の観音坂独歩くんである。
ねぇ、それ片手で缶潰したほうじゃないよね?発言の方だよね?
自分でもなんとも女らしくない姿だと思いながらもやってしまうのは気心の知れた相手だからこそだと思う。
…いや、気を抜いたらどこでもやるけど。

「独歩くんはかっこいいなぁってこと」
「はあ!?」

次はどれを飲もうか。冷蔵庫の中にはチンするかそのままでも食べれるようなつまみと酒のみである。
選ぶ楽しみって大事だよね。

「お前なぁ…」
「いいじゃん宅飲みなんだから!好きなだけ飲んで眠たくなってもすぐ寝れるのが宅飲みのいいところじゃん!しかも私の家だもん!家主の自由だもん!!」
「珍しく酔ってるな…疲れてるならもうやめとけよ」
「やだ!!!」

言うことを聞かずに本日6本目の缶チューハイを開けた。
因みに度数9パーセント以外は酒と認めません。
独歩くんはまだ二杯目である。
しかしながら私はピッチが早いので友人と飲むときもだいたいこれくらいの差は空く。
違うのは酔いが抜けないところだろうか。
まさしくほろ酔い状態のとても気持ちのいいところである。

「お前普段はザルだけど疲れてる時は人並みに回るんだからもうやめとけよ」
「やだー!外じゃ好き放題飲めないもん」
「まぁ分からなくもないが…」

言うことを聞かずにプルタブを引き上げれば、プシュリといい音が響く。

「へへ、この音を聞くために生きてるって感じてるんだよねぇ」
「酒飲みめ」
「ダイエットで禁酒してたけど、今日は飲む日って決めたからいいんです〜」

前回の体重測定から5キロ増えていたので健康診断センターのお姉さん方からは標準値内だけど大丈夫?何かあった?前回が痩せすぎだった?と心配されたのは記憶に新しい。
私だってアラサーだからそりゃあ気にした。とても気にした。
でも今日は飲んでいい日と決めたんだからとことん飲むに決まってる。

「べろんべろんに酔うまで飲みたい」
「そうなる前に腹いっぱいになるだろお前の場合」
「だから疲れてるときにたぁっくさん飲むんだよ」
「今だな」
「今だよ」

中央区の女じゃなければこんなものだ。
税金は低くてもセクハラパワハラは当たり前。
アラサーを迎えてから更に酷くなったのは気のせいではない。

相手が独歩くんで飲み場が我が家ときたらそりゃあ好き放題飲むに決まってる。

「いやになったらかえっていいよ。これ鍵ね。あ、合鍵いる?」
「…お前普段からそんな飲み方してないよな?」
「してないよー!独歩くんだから合鍵だしてるんじゃん」
「…絶対酔ってるだろお前」

えー?どーだろー?なんてふにゃっふにゃな顔で返しちゃう時点で独歩くんの言う通りかもしれない。
お腹減ってないけど口さみしいなぁ。と思うのは酔った時だけだ。
甘いものが食べたくなって何かあるかなとお菓子箱を漁れば、ポッキーを見つけた。
普段は甘いお菓子食べないのに酔うと食べたくなるの不思議だねと笑えば、独歩くんは俺はそうでもない。と素面で返してくる。
つれないなぁ。

「ふへへ、ブラックホールだ」
「太った原因絶対それだろ」
「女子に対してひどい!」
「いや、飲む前は絶対痩せるって言ってたのお前だろうが」
「だって口さみしいんだもん!」

ポッキーを勢いよく一本食べきって、ゴクリとお酒を煽ればなんと幸せなことか!
そんな私に呆れ顔の独歩くんが近づいて…近づいて?

「…ん…っ」

ぶちゅり。
ポッキーゲームなんてしてないのにその綺麗なお顔は目の前で、唇には少しカサつきながらもほんの少しお酒で潤った唇の感触。

「…へ?」

ペロリと唇を舐められてポカンと口を開けた私に独歩くんは一言。

「酒くさい」

ニヒルな笑みを称えてそう言った。

「ひっく」
「ほら、やっぱり酔ってるじゃないか」

しゃくりあげた私の頭を撫でて、これは没収。と取り上げられた缶チューハイ。

「口寂しくなったらいつでもしてやるよ」

酔ってるのはそっちのほうじゃないか。
独歩くんの目は据わっていた。



ーーーーーー
「あれ…俺昨日なにして…」
「…きのうはおたのしみでしたね…」
「はあ!?なんでおま…っ、ここお前の部屋、か…?」
「酒は飲んでも飲まれるかって知ってる?」
「ま、まさか俺は…どうせなら巨乳の美人が良かった…」
「おいこらふざけんな」

まぁ別になにもなかったんですけどね。
因みに付き合ってません。

2018/12/11(15:41)


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※この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません
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