銀時は私のことをなんでも知りたいくせに自分のことを何も教えてくれない。一日の終わり、同じ布団に横たわって私を抱き枕がわりに夏でも冬でもお構いなしにぎゅうぎゅうと抱きついてくる銀時は、まるでお気に入りのぬいぐるみを誰にも取られたくない子どものように可愛くて、同時に自分がそうであればいいなと思えるので好きだ。
「なまえ、寝るか」
「うん」
布団を敷き終わった銀時が、ソファで歯を磨いていた私に声を掛ける。横で一緒に歯を磨いていた神楽ちゃんが眠そうな顔で「私のいるところでなまえに手を出したら銀ちゃんの玉片方取るアル」とはっきりとした口調で言ったので一瞬で銀時の顔が青ざめていた。
「神楽ちゃんがいれば私の貞操は安全だなあ」
「は?なーに生娘ぶってんだよ、昨日はあんなに善がってたくせに」
「うわ…それ神楽ちゃんの前で言ったらマジで玉取られるよ」
「…なんか今寒気したわ」
他愛のない話を寝る前にお互い笑いながら喋る。今日の依頼はペットの捜索だの、新八くんがまた好きなアイドルの新曲で騒いでいただの、神楽ちゃんが勝手に酢昆布を箱買いしていただの、そういう、どこにでもある、誰にでも喋っていそうな内容。夏だからかお互いの体温がやけに暑く、寝にくさに少し身体を離そうと動くと抱きしめる力が一層強くなった。
「銀時、暑いから」
「…そうだな」
すうっと力が抜かれ、熱を逃すために小さな空間を作る。そのままおやすみと一言声をかけて目を瞑った。
「…っ、は」
圧死されそうな息苦しさで目が覚める。ゆっくりとまぶたを開くと、尋常ではない汗をかきながらうなされる銀時が私をきつく抱きしめている。毎晩ではないけれど、たまに、いや、かなりの頻度で銀時は悪夢を見ている。顔に刻み付けるように眉間を寄せ、過呼吸になるのではないかと心配になるくらいの呼吸音。最初にうなされる銀時を見たときは叩き起こして水を飲ませ、理由を問いていたけど銀時は適当に誤魔化すだけで私には何も話してくれなかった。誤魔化すときの顔が、あまりにも優しくて、寂しかったので私もそれ以上は何も聞けなかった。だから知らないふりをする。
「銀時」
「っ、う…」
こんなに苦しそうなのに、銀時は全く泣かない。そういえば起きている間も泣いているとろを見たことないなとまだ眠気の残る脳でぼんやり思い出していた。銀時の背中に腕を回し、幼子をあやすように一定のリズムで叩いてあげる。あまり意味を成さないこの行為は100%私の自己満足だ。ただ、こうするとなんとなく息が正常に戻っていく気がする。
「銀時、いつか全部聞かせてね、なんて私からは口が裂けても言えないけど」
「はっ、……っ」
「私、何があっても銀時のそばにいたいよ…」
頬に流れる涙をそのままに、銀時の胸に顔を埋める。縋るように背中に這う手にぎゅうっと力を入れると、銀時の心音と呼吸が正常に戻っていく気がした。