連載完結if



※注意※
連載はまだ完結してないので現段階でこれはifです。本編で付き合う付き合わないはまだ秘密ですが とりあえずは恋人になったという世界線です。ifです。連載がこういう結末になるってわけじゃないです。なるかもしれないけどならないかもしれないです。



 寝ぼけ眼でパジャマから着替え、洗面所に向かい、そこで恋人の姿をみとめてやっとはっきり目が覚めた。鏡に映るドラコの顔半分が泡で覆われている。その手にはお父さんや叔父さんが使っていた何の変哲もない(彼の持ってるやつのほうがちょっと高級そうな気もするけど)髭剃り。つまり、ドラコ・マルフォイが髭を剃っていた。髭、ひげ、ひげを……? え、ドラコが髭を?
「……は?! い、いたならなにか声をかけてくれ!」
 洗面所の入口に立ち尽くす私に気が付いたドラコは、ギョッと裏返った声を上げ、慌てて俯いた。近寄れば逃げるように背を向けて顔を隠そうとする。
「え、なんで隠れるの?」
「いや、別に……」
 別にと言いつつも、彼は泡が手につかないよう注意しながら口元を手で隠している。なぜだか分からないが、どうしても私に見られたくないらしい。ドラコ・マルフォイ髭ショックにも慣れ、なんだか楽しくなってきた。
「ドラコにも髭生えるんだね」
「当たり前だろ」
 見つめれば見つめるほど、彼の耳は赤くなっていき、とうとうおでこまで真っ赤になった。
「あまり見ないでくれないか……」
 途方に暮れたような小さな声に迷う。だって可愛い。というか髭の生えたドラコも見たい。正直全然想像つかないし、好きな人の新たな一面が知りたくないという人間はいないだろう。でもそれと同時に、嫌がることはしたくない。試しに「どうしてだめなの?」と尋ねてみた。「だって」少しの沈黙ののち、か細い声が返ってくる。
「か、かっこ悪いだろう」
「うん?」
「……お前にはなるべく、ちゃんとした僕だけを見てほしい、から」
 たどたどしく紡がれる言葉に目を見開く。さらに「ただでさえ情けない所しかみせてこれなかった」と小声で付け加えられ、しょうがないなという気持ちで頬を緩めた。どんなドラコだって、私は大好きなのに。

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