宣戦布告
「フライングハッピーバースデー、セドリック!」
はいこれプレゼント、と大きな箱を渡せば、五歳年下の幼馴染は引き攣った顔をして箱を受け取った。ホグワーツを卒業して以降、夏にしか会えない彼は年々逞しく成長していっている。そんな彼が持つとこの箱もそんなに大きいようには見え……るな、普通に。赤いリボンを解き、箱の中身を覗き込んで、彼は「あのさぁ」と額に手を当てた。
「お祝いは嬉しいよ、ありがとう。でももしかして一生テディベアなの?」
「だって可愛いから」
「……テディベアが?」
「セドリックが」
ケロリと返せば、彼はガックリ肩を落とす。「僕もうすぐ十七の男なんだけど」とかボヤいているが、愛しさと可愛さに性別も年齢も関係ない。現にほら、落ち込んで大きなテディベアの後頭部に顔を埋める彼のなんと可愛いことか。パシャリと一枚ポラロイドに収め、すぐ現像された写真をほくほくと見つめる。これで今年もまたテディベアセドリックコレクションが潤った。
「いつになったら僕を男として見てくれるんだ?」
その言葉に顔を上げたが、殊の外近い距離に顔があって瞠目する。鼻が触れ合ってしまいそうだ。
「セドリック?」
返事はない。ただ、灰色に透ける瞳の奥でなにかがじりじりと燃えているのが分かって息を呑む。ゴツゴツした手が頬に触れ、その熱さに肩が跳ねた。無言で近付いてきた顔についギュッと目を瞑って身を固くする。ふわふわした毛が唇に触れたので驚いて目を開くと、つぶらな瞳のテディベアが至近距離で私を見つめていた。びっくりしていれば、大きなクマの影から現れた拗ねた顔のセドリックがクマを抱え直す。
「つまり、こういうことだから」
「な、なにが」
耳や額を赤くした彼は、焦れったそうに「だから」と言葉を重ねた。
「きみが好きだから、ちゃんと意識してくれってこと」
>>back
>>HOME