※第1部の結末などのネタバレ、悲恋要素があるのでご注意ください。




その結末を知っていたから、彼には近づきたくなかった。
なるべく鉢合わせしないように避けて、見つめられれば目を逸らして、彼に近づかれるたびに身を固くしていたのに。


「ま、待って! キミ、みょうじなまえさんだよね? あのレポートを書いた! 少し話をさせてくれないかい?」

―― それでも、貴方はゆっくりと。



「和菓子だよね、コレ。キミの故郷のお菓子。……ありがとう、すごくおいしいよ」

―― 確実に私の心に巣食ってきて。



「当たり前じゃないか! キミが泣いてたら心配するに決まってる」

―― 私が引いた境界線なんか、あっさりと飛び越えて、



「好きな子の好きなモノを知りたいっておかしなことかな」

―― 気づけば、こんなに近くにいた。
心の距離を測るのが上手くて、この世界で閉ざしていた私の心にふれた人。
今では少しでもそばにいたいと思うし、目が合えばほっとするし、触れられるのも嫌ではない。たぶん慣らされているんだなあとは思う。

本当に、聡くて狡い人。




「ごめん、ごめんね。迷惑だって分かってるけど、自分でもどうしたらいいかわからないんだ」

私だって、どうしたらいいのか分からなかった。だって、なんでよりにもよって貴方を。

貴方をこんなに好きなってしまうなんて、思いもしなかった。



「好きだよ。なまえちゃん、キミが好きだ」

貴方からの愛の言葉は泣きたくなるぐらい悲しくて、泣きたくなるくらい嬉しかった。

「別れが来るとしても、ボクはキミとこうして――」

本当は貴方だって怖かったはずなのに、臆病な私の手を取って、前へ進んでいこうとしてくれた。
そっとふれた貴方の手が震えていても、その繋ぐ手さえあれば、何も怖くないと思った。

けれど、いつか必ずその手がはなれることを知っていた。


「ごめんね、なまえちゃん。勝手だと思われてもボクはずっと君を愛しているよ。それだけは忘れないでほしいな」

最後の夜。
貴方はそう言って、わたしに最後のキスを贈った。




「訣別の時きたれり ――」

分かっていたの。ずっと知っていたの。その時を、貴方との別れを。

だから言えなかった。涙と一緒にのみ込んだ願い。

どうか、どうか、いかないで。もう一度、その手で私にふれて。
ただ貴方と一緒にいたい。

たった一つの願いすら叶わないことを、私はずっと知っていた。


ロマニと転生トリップ主のネタ。
別れを知っているから最初から距離をおこうとしていた夢主と別れを予感していてもただそばにいたいと一人の男として恋をしたロマニの話。

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