朝起きてリビングに来たなまえは、そこで子供になった暁たちを発見した。
運動会化した皆をなんとか落ち着かせ、今は事情聴取中。
なぜかなまえだけ床に正座をさせられ、他のメンバーはソファーや椅子にちょこんと座っている。もちろん、態度は変わらず偉そうに、だ。
理由は簡単。小さくなった分、見下ろされるのが嫌だから。
「えっと…あの、ど、どうしてこうなっちゃったんですか…?」
おずおず、と手をあげ、目の前の椅子から見下ろしてくるサソリにまずは問いかけてみる。
「話す、が…」
ちらり。
自分に向けられていた視線が少し下にずれたことに、つられてなまえも視線を落とす。
その視線は、なまえの膝の上に乗っているゼツに向けられた。
「そこから降りろ、ゼツ」
「やだよ。はやく説明してよサソリ」
「てめぇが退いたらな」
「んー?」
バチバチ。火花を散らす二人に、なまえはよく分かっていないがこれは良くない、とわたわたと慌て始め、デイダラに目で助けを乞うた。
「はぁ…。要はな、これのせいなわけ。うん」
「? なんですか、これ」
不機嫌に舌打ちをするサソリと、視線をそらし相手にもしないゼツを横目に、デイダラは小さな瓶を取り出す。
中には管があり、どうやら霧吹きのように使えるようだ。
「これ旦那の薬でな、なんか吹っ掛けたらこうなるらしい。うん」
と。小さくなった自分を見、浅い溜め息を吐いた。
「な、なるほど…。そんなことがあり得るんですね」
揺れる小瓶の中身に、なまえは、むむ、と眉をしかめた。
「えっと、それ、で……。みなさんはどうなっちゃうんですか…?」
不機嫌オーラ丸出しのサソリにびくつきつつ聞いてみれば、サソリはデイダラの手元にある薬をみて
「丸々一瓶かぶったわけじゃねーからな。微量だし明日にはもどるだろ」
と。
「まったく…これじゃあ家のことをやるのも不便になってしまいますねぇ」
「うるさいやつがガキになってさらにうるさく感じる」
「はぁ!?それどーいうことだよ角都!」
「はわわわ!お二人ともっ喧嘩しないでください!」
「うっせー!てめーは飯つくれ!腹減ってんだよこっちは!」
薬品を撒き散らした張本人のくせに、ぎゃんぎゃんと文句を言う飛段。
時計の針は、朝ごはんの時間をとうにすぎていることを知らせた。
「じゃあ、いまからご飯作ります、ね…」
わたしだってお腹すいてるのに怒らないで… と、しくしくしながら乗っているゼツを降ろし、冷蔵庫に向かうなまえ。
それに鬼鮫が慌てて声をかけ、パタパタと小走りで向かってくる。
なまえは、 なんですかー? と答えながら、扉を開けた。
「………」
「………」
「……えっと?あの…鬼鮫さん、これって…」
「見ての通りです」
「えっ?や……からっ、ぽ?」
呆けるなまえの瞳に映ったのは、もはや意味をなさない冷気駄々漏れの冷蔵庫。冷やすものがないのに、ということは、要は、
「なにも作れないじゃないですかぁ!」
キャベツの芯さえない状況に、ぺたんと座り込むなまえ。
鬼鮫は、 朝一で買いにいく予定だったんですけどねぇ。 とわざとらしく飛段を見やった。
「どう、しましょ…」
「いまから私が買いに行ってきますよ」
「え…!?ややや、いまのそのお身体じゃ大変ですよ!」
座り込んでいる自分の背丈より少し高いくらいしかない鬼鮫に、なまえは勢いよく立ち上がり、 わたしが行きます! と言った。
「買い物できるとこ知っているのか?」
「? ……あ、」
そう言えば、と、買い物なんてデイダラに連れていってもらったところしか知らないなまえは、聞いてきたイタチから視線をそらせないでいた。
「それでは、私もついて行きますよ。それなら場所も分かりますし」
どうします? と聞けば、なまえはちょっと潤んだ瞳で、 お願いします…! と頭を下げた。
にこにこ、るんるん
(歩くのおせぇ)
(痛い!叩かないでくださいサソリさん!)
(あそこまで競争しようぜなまえ!)
(えっ、ちょ!よーいどんとかなしですか!?)
(結局みなさんついてくるんですね)