ギィ…

「……誰も、いない?」

ひょこり、と扉から顔を覗かせたそこは、所謂リビングキッチン的なとこ…ろ?
地下だから窓などはなく、陽が射し込む隙間はない。
電気のおかげで明るく支障はないが、息が詰まらないのかなと少し心配になる。

昨日はあれから、暁の外套やら服やらをいただき、一応軽く自己紹介をして、案内された部屋に戻った。
リーダーや小南さんはとってもいい人で、もう怖くはないのですが他の方たちが……うん。ちょっとだけまだ不安だったりしています。

「うまくやっていけるでしょうか…」

唯一、頼りになるリーダーと小南さんはお仕事だとかで昨日ここを出ていってしまいましたし…。………さっきの嘘です。やっぱりすごくふあ──

「おはようございます」

「にぎゃああああ!!」

ずっと顔を覗かせたまま考えていたら、いきなり背後から声が降ってきた。

「そんなに驚かなくても…」

「きっ鬼鮫さん!」

声の主はどうやら鬼鮫さんだったらしく、悲鳴をあげた私に苦笑いしながら隣を抜け部屋に踏みいった。

「ずいぶん早起きですね。ゆっくりしていていいんですよ?」

「あ、いや…その…居させていただいてる身なので、せめてなにかのお役にと思ったのですが…」

お邪魔でしたか? と聞くと、鬼鮫さんは少し驚いた様子だったが、すぐに穏やかな表情になり

「じゃあ、お手伝い頼めますか?」

と言ってくれた。





少女のまつげはルンと歌う
(いつぶりで笑えたのか)