▽一周年記念企画
ぽかぽかとあたたかい日差しに包まれて、桜の木の下でゆったりお昼寝タイム。頬をすべる春風が、髪をつれてきてくすぐったい。
自然ともれた欠伸と涙に、視界が僅かに滲む。
ふわりと、花びらと一緒に連れ去られそうになった意識。だが、隣に落とされたなにかのせいで、それは簡単に引き戻された。
「襲われるぜ、こんな無防備だと」
「誰かに、じゃなく旦那にな」
ああ。せっかくの時間なのに、なぜこいつらはここにきたのだろう。
目の前でにやにやと笑う赤髪と、 髪食ってる。 と退けてくれた髷。
広かった世界が2色になった気分だ。
「なにか用でしょうか」
「お前に会いに来た」
「はぁ…」
「一緒に寝ようぜ、うん」
ごろん、と、元から寝ていたわたしを抱き枕のように扱うデイダラ。
心地好いあたたかさが、これじゃあちょっと暑く感じてしまう。
「おいデイダラ。テメーは1人で寝てな」
べったりくっついてるデイダラを足蹴りし、わたしからひっぺがすサソリ。
おとなしくしてろよ。 なんて、くちびるが触れるかどうかのギリギリの距離で言われた。
伏せ目がちに覗く赤と視線が交わる。
「やめろよ旦那。体温ないやつに抱かれたって嬉しくないと思うぞ、うん」
「うるせぇ。鬱陶しい髷よりマシだろ。なぁ?」
なんて。ぎゃんぎゃんとわたしの隣で争うのはやめてほしい。
「…ああもう。わかったから騒がないでよ」
こんな気持ちのよい日に喧嘩なんて似合わない。
騒ぐ彼らの間に割って入り、ふたりの手をきゅっと握る。
「これで解決しない?」
右手に感じる冷たさと、左手に感じる温かさ。
ほら、ちょうどいいじゃん。 なんて、黙ってしまった当人たちをよそに、わたしは再び寝っころがる。
瞳を閉じたあとに聞こえたのは、小さな溜め息と、ふたりも横になった気配。
春を抱えて眠る