ねえねえお兄さんお兄さん。今日の私は綺麗かしら?
春だから淡いピンク色のワンピースなんか着てみちゃって、髪もゆるく巻いてみたの。似合うかしら?
あ、もちろんお化粧も頑張ってみたのよ?
あんまり濃いのは好きじゃないって言ってたから、“今時の子”には入らないようにナチュラルにしてみたし、少しでも可愛いって思ってもらえるように努力したわ。
あなたのまわりにはいつでも女の子がいて、でもコロコロ変わるのを私は知ってるから、飽きられないようにするにはどうしたらいいか、なんて考えるのはもう私の日課で。
あなたのことで思考回路を埋めることはとても幸せよ。楽しいもの。
力もお金も地位も名誉もあるあなたは、欲しいものはお金で手に入れるんでしょう?じゃあ私は?お金で落としてくれなかったじゃない?どうして?その価値もないの?
あなたにならお金なんてもらわなくとも一緒にいるのに。
…ねえ、こんなこと聞いて愛想尽かされちゃうのは嫌だけど、私のこと好き?私は好き。大好きなの。
あなたと手を繋ぎたい。苦しくなるぐらいぎゅって抱き締めてもらいたい。好きって言ってほしいし、キスだって、してほしい。愛してくれるなら、それはもう死んでもいいくらいよ。

「馬鹿言うな。死ぬなら愛せねえよ」

じゃあ死なない。約束するわ。
だからね、私にもっと、あなたを教えて?
大丈夫、あなたから離れるなんて、有り得ないから。





知りたがりなハイヒール
(金でじゃなく、本気で手に入れたかったなんて。大事さ故だなんて。我ながら笑っちまうな)



とても前に書いたものA