「ほら、食え」
なんて言われてもらったケーキ。
昨日は新作チョコレートで、一昨日はプリンで、一昨々日はラスクで、その前は……なんだっけ。
「私を肥えさせて食べる気ですか」
「ばか言え。さっき食ってやったばか…」
「わー!わー!黙りましょうか姫川さん!」
もう。なんなんですかこの人は。いくら私たちしかいないとは言え、レディーの前で破廉恥なセリフは許しません!
「なんだよ。お前がヤったあと腹減ったっていうから今日もわざわざ買ってきてやったんだろ」
「やめてください。その言い方だと毎日姫川さんに抱かれてるみたいに聞こえます。それに買ってきてるのはあなたの部下さんたちでしょう」
「後者は否定しねーが抱いてるのはほぼ毎日だろ」
「違います昨日はしてません。てか一昨日もしてませんよ」
「それはお前が拒否るからだろ」
「そうですね。…って、そろそろこの話やめましょう」
生クリームが溶けます。 とケーキを一口食べれば、口の中いっぱいに甘い味が広がる。
大げさかもしれないが、糖分が身体に染み渡っていってる気もする。うん、おいしい。
「よくもまあそんな甘いもんパクパク食べれんな」
見てるだけで腹いっぱいだわ。 と珈琲を啜る姫川さんを前に、私はケーキをむしゃむしゃ。
お楽しみに残しておいた苺もぱくり。
ごちそーさま。 とフォークを置けば、姫川さんが近づいてきて、私の口元を指で撫でた。
「クリーム。つけてんなよ、ほんとガキな」
ぺろり。呆れた顔しながらも、自身の指についたクリームを舐める姫川さん。
知ってました?今のクリームはわざとではないですが、ガキガキ言う姫川さんがそんな私のところも好きでいてくれるの、私、ちゃーんと知ってるんですよ?
だから、甘いものがものが好きってのは本当ですが、そのうち何割かは策略で。
すきでガキやってんじゃないやい
(確信犯、とまではいきませんが、お互い幸せならそれで良くないですか?)