▽5周年記念リクエスト(みぃ様)※nrt連載設定
いつもと変わらない、今日もアジト内に叫び声が響く穏やかな日。
しかし、声の主はいつもの少女であるにも関わらず、どうも今日は様子が変そうで?
バァン!!
「はーい、おいでなまえ」
突如と開いた扉に向かい、ソファーに座っていたゼツは読んでいた雑誌を放り両手を広げる。
いつも叫び声が聞こえ、扉が開くと、そこから涙目の少女が駆け込んでくるからなのだが、ゼツの腕の中に入ったことは(強制を含めて)あまり多くない。
その行動に若干私情を挟み嫌悪感を示しているイタチは、いい加減止めさせるべきかと今回も嫌そうに成り行きを見ているが、ぴきっと両手を広げたままま固まったゼツと、いつもなら部屋に飛び込んでくるなまえが入ってこない。
(どうかしたのか?)
どちらもいつもと違う状況に、イタチは不思議がってゼツに声をかけるが、その視線は扉の向こうに向いたまま動かない。
「おい、一体どうし……」
なにかあるのかとわざわざゼツのもとへと近寄り視線の先を辿れば、それは言葉が切れるのも無理はない光景で。
「いたち…さん……っ」
そこには、その小さな手では隠しきれていない、本来あるはずのない、動物の耳を生やしたなまえが涙目で立っていた。
「なまえ…?そ、れは…」
「イタチさんっ助け─」
「おいなまえ」
「ひぃぃ!?」
「サソリさん…?」
「勝手に逃げんな。データとれねぇだろ」
生えている耳のせいとは言わないが、怯える小動物のようななまえは廊下から歩いてきたサソリの姿と声に肩を跳ねあがらせると、未だ両手を広げたまま固まっているゼツの腕の中へと勢いよくダイブした。
「!! はっ、ちょ、えまってなんか今耳生えたなまえいなかった!?」
「今腕ノ中ニ飛ビ込ンデ来タダロ」
「!? ちょっとなまえ!なんでそんなんなってるの!?」
衝撃からやっと我に返ったゼツは飛び込んできたなまえの肩を掴み状況を問いただすが、興奮と混乱でその勢いが強すぎる。
怯えてるだろうとイタチはゼツをぺしっと叩いた。
「ところで、なんですかその手の物は」
冷静になったゼツは、なまえを守るようにぎゅうっと抱き締め、また今回も張本人であるサソリを睨み付ける。
その手の中にあるのは、これがなまえの逃げた理由なのだろう。
どの場面でもこのアジトでは使うことはないであろう、入手理由を知りたくなる、チェーンのついた真っ赤な首輪がジャラリと音を立てた。
「ほんっとさぁ。サソリ死ねば?ねぇ?」
「はぁ…。いい加減あなたの趣味でなまえを傷つけるのやめてもらえますか?」
「お前ら好き勝手言うんじゃねぇよ。逃げるそいつがわりーだろ」
「ンナモン誰ダッテ逃ゲル」
「こちとら大事な実験中なんだよ」
用途なんてすぐさまわかったのだろう。
他人がしてるからこそだろうが、嫌悪感満載にサソリを睨む二人に、サソリはテーブルに首輪を置き溜め息混じりに椅子に座る。
本気か冗談かわからないものをわざわざ持ってくるサソリが悪い。
やっと手放したそれに、なまえも少し安心したのかゼツの腕から抜けようとするが、抜けるということは入っていたということで、こちらも冷静になったなまえはそこから飛び降りて床に土下座して抱きついたことを謝っていた。
「なまえ」
「ひっ!はい!」
「なんかおかしいとこあるか?」
「な、なななないです!!なんとも!あの!ごめんなさい!」
「……」
「…っ?」
「首輪は…冗談だ。だから普通にしろ」
「! は、…あの、はい。こちらも、すみません…でした。逃げてしまって、」
((なんだ今の間…))
なにをなまえが謝ることがあるのかわからないが、その言葉を聞いてサソリはスッと椅子から立ち上がると、なまえのもとへと歩み寄る。
言葉では理解したようだが、そんなすぐに気持ちも落ち着くとは思わないのか、サソリは優しく、ぽふりとその頭を撫でる。
一瞬身構えたなまえだったが、その触れる手はいつもと変わらないとわかったのか、照れ臭くも、撫でるサソリをへにゃりと笑って見上げた。
「はーい、仲直り劇とか見たくないから〜。サソリその手離してよ。あと早くなんでこうなったのか言って」
置いてきぼりを食らっているゼツは目の前の光景に痺れを切らし、床に座り込むなまえを持ち上げソファーへと座らせる。
サソリも不機嫌そうに元いた椅子へどかりと戻ると、ひとつ溜め息の後、口を開いた。
・
・
・
「──ってなわけだ」
「それさぁ、なんのための薬なの」
「なまえヲ実験台ニスンジャネェヨ」
「ナンセンスですね」
一通り説明し終えたサソリと、理解した二人。そしてそれを面目無さそうに聞いていたなまえ。
事は少し前。なまえがこうなったのは言わずもがなサソリの薬なわけだが、今回は誤飲でもなんでもなく実験台にされたということである。
薬の効果は、忍者の使ういわゆる変化の術を起こさせるためのものだったらしい。
チャクラのない人間でも術に近いことはできるのか。化けることは可能なのか。
薬を飲んでなりたいものを思い浮かべるというシンプルなものだったが、実験は失敗。今のなまえは中途半端に耳と尻尾が生えただけ。
それは猫のもののようで、完璧な猫に変化することはできなかった。
もちろんサソリから猫になれと言われ訳ではなかったし、なまえ自身も猫を想像したわけではなかった。
たまたま、洗濯物を干しに外に出たとき猫と触れ合い、それが直近、記憶に残っていただけ。
変化するものを思い浮かべる前にこうなってしまっただけに、サソリも実験結果には溜め息をつくしかなかった。
「あれからおかしなとこはねぇみてぇだから、そのうちもとに戻るだろ」
「うぅ…私じゃお役に立てずすみません…」
「なまえが謝ることじゃないだろ?」
ソファーに座りながらしょんぼりとするなまえにイタチはそう言い頭を撫でると、ぴょこぴょこっと生えた耳が動き、二人の視線はゆらりと揺れる尻尾にいっている。
「なんかさ、本物の猫より可愛いよね。そりゃなまえは世界一可愛いんだけど耳と尻尾ってなんかほんとエ──」
「戻ルカラ良シトハスルガ、コレハ感覚アルノカ?」
「黒?なんで遮ったの?」
「確かに半端な変化というのはあまり見たことないな…。自分で動かしてるのか?」
なんだかんだサソリを非難してもゼツもイタチもその姿が気になるのか、まじまじと中途な変化をしたなまえに釘付けである。
「あ、揺れてるのは勝手に?ですかね?でも、自分でも動かせますし感覚もちゃんとありますよ!」
興味津々な二人を前に立ち上がって、くるりと回ってみせるなまえ。
ちゃんとした興味なのか下心なのか、触れてもいいかと聞いてくるに彼らに対し恥ずかしそうにしながらも、 どうぞ。 となまえは触りやすいように、ぺたんと座りこむ。
「わぁ、ほんとにふわふわなんだねー」
「本物と変わらないな」
二人の手を受けるなまえは、くすぐったくも心地いいのか、リラックスした表情でゆったりと尻尾も左右に揺れている。
「あ、ねぇ。尻尾もいい?」
「はいっ、どうぞです」
本人は勝手とは言っていたが、意思によっても動かせるのか、リクエストしたゼツの方へ尻尾の先をゆらりと向ける。
「ふふ、なんだかちょっとだけ、猫さんの気持ちがわかる気がします」
人のときとは違う、普段ないものへ触れられる感覚。
人…いや、猫によって違うのかもしれないが、今度遊びに来た猫にも今回の自分の感覚を活かして撫でてみよう、と内心考えていたなまえ。
心地よさから少し、目を閉じたとき、尻尾の付け根をゼツの手のひらが触れる。
ぴくんっ
「あ、りぇ、?」
「? なまえ?」
一瞬、なまえの呂律が回らなくなる。
ピリピリとした刺激が体を這い、途端に熱が体を満たす感覚に、なまえの視界は僅かにぼやけていく。
「どうした?大丈夫か?」
その変化に気づいたイタチが下を向き体を強張らせて震えるなまえに声をかけ、その変化を感じた離れて座っていたサソリもなまえに声をかけるがその声はどうも届いていないようで。
「なまえ?どうしたの?平気?」
明らかに先程と違うなまえを全員が心配すると、なまえはゆっくりと顔をあげる。
その頬は、婀娜っぽく紅潮していた。
「ぜつ、さ…っ。しっぽ、だめれす…っ。くすぐった…いの、つよくて、」
その声に、ぴきっと3人が固まる。
普段聞いたことのない高く掠れた声と、真っ赤な顔。
尻尾に触れているゼツとイタチの手にピクピクと反応し、その中でも荒れた息を必死に直そうとしている。
「は… ぁっ。なぁにっ、これ…っやらぁ」
誰に向けた言葉でもないものと、虚ろに定まらない瞳が落ちる3つの視線に沿う。
生唾を飲む音、欲望が膨らむ音が聞こえた(気がする)。
その中、硬直を解き一番先に動けたのはサソリ。
雄共の中へ割って入り、尻尾に落とされた手を払い除け火照るなまえの肩を抱いた。
「おい、お前ら。そろそろこいつの経過見るから部屋に連れ帰る。退け」
刺激から解放され力の抜けたなまえをサソリは両手に抱えると、遅れて我に返った二人もやはり頭の中では同じことしか考えていないようで。
「なーに言ってんの?やらしいこと考えてるのわかってるんだよ。傀儡の癖に無理でしょ?」
「分カッタラソノ手退ケロ、サソリ」
「二人とも下心丸見えですよ。危険すぎてなまえはあずけられません」
いつもと変わらない日。
今日も今日とて火花散る昼下がり、まるでどうにも下心だけの戦いが始まる音がする。
「消え失せろ雄共!ソォラァ!」
「雄デスラナイ奴ガ、」
「一番最初に退場でしょ〜?」
「なるほど、残るのは俺だけですね」
果たして今回、勝者は出るのか。
なんて。
彼らが仕事から帰宅した小南にこっぴどく怒られるのはもうすぐのこと。
可愛いから食べちゃいたい
(次はうさぎとかどうかな?僕がいないと寂しくて死んじゃうなまえとか最高でしょ?)
(? なまえは従順天真爛漫に犬だと思うが)
(誰がお前らにやるっつったよ)