「ううっ、ひっぐ…ふええ…」
「はいはいよしよし。お前の気持ちはじゅーぶんわかった。だからもう泣くな」
ぽろりぽろり、という可愛く切ない表現が似合わないくらい、また俺の膝の上でぐしぐしと汚らしく泣くなまえ。
理由は本人に言われる前から大体予想はついていた。彼氏にフラれたらしい。理由は他に好きな奴が出来たとのこと。
コイツは毎回なんかあると俺のところに来て泣く。コイツ曰わく、俺の前以外では泣きたくないらしい。なんだよそれ。
なまえの彼氏(もう元彼か)は俺も見たことがあるが、はっきり言って俺のが断然いい男だと思う。結構女にルーズでチャラついてたしな。
まあそんなやつでも、コイツは本気で好きだったらしい。
俺から言わせれば、こうなることは端っから分かってたことで。
でも、“だから言っただろ”なんて、傷心してるコイツにズバッと言えるほど、俺は思い遣りのないやつでもない。
「オラ、いい加減泣きやめ。俺がいんだろ」
わしゃっ、と乱暴にならないようになまえの髪を撫でれば、それに涙腺が緩んだのかまた嗚咽。
キリねぇな、と思いつつも、好きなだけ泣けという意味を込めてなまえの顔を自分の肩へ埋めた。
じわり、と染みてくる水分に、小さな溜め息が漏れる。俺を好きになりゃ、こんな想いはさせねぇのによ。
今まで我慢してきたこの気持ち。伝えなくてもいいと思ってた。この距離も意外と気に入ってたからな。
それに、コイツが笑ってくれてりゃ相手が俺じゃなくても良かった。だが、こうも泣かれてしまってはそうは思えない。
今までコイツと付き合った、いろんな男を見てきた。だが、結果、コイツを泣かせる奴しかいなかった。
…もうそろそろ、いいだろ。ずっと仕舞い込んできたこの気持ち、コイツに伝えても。ここまで待っても、コイツを笑顔に出来る奴はいなかったんだからな。今度からは俺が笑わせてやるよ。
泣くところにプラスしとけ。笑うところも神崎一のところだってな。
次は幸せになりましょう
(ほら、ヨーグルッチやるから元気出せ)