おいで、おいで、こっちへおいで。毎日毎日手招きされる。ぼくと(わたしと)いっしょになりましょう。わたしを産んで育んだまあるい星がわたしを呼ぶの。またいっしょになろうって、きみがすきだから、はやくはやく、はやくしんで、と。まるでわたしが個体として存在することが許せないみたいに。じぶん以外と存在してることが許せないみたいに。はやくおいで、って手招きしてくるの。わたしと溶け合いたいみたい。みずでもいい、ひのなかでもいい、ちだらけになっても、ばらばらになってきみだとわからなくなってもいい。だから、はやくきて。毎日毎日囁かれるの。それは小鳥のさえずりだったり、波や木々の囁きだったり、はたまた同胞だと思っていた人間という生き物の視線からだったり。ありとあらゆることをしてわたしを手に入れたいらしいわ。あいしてる、んだって。

「…そうか。なら、お前はどうしたい?」

「わたしを求めてるなら、一緒にいてあげたいかな」

わたしには(ぼくには)きみがひつよう、と46億年生きてきたこの星がそう呼ぶんだもの。生まれる前から、前世の私が死ぬ前から、ずっとずっとずうっと前から、この星はわたしを呼んでるの。なら、逝ってあげないと可哀想じゃない?

「そうだな。でも俺にもお前が必要だ、と言ったら、お前はどうする?」

「そうね。そうしたら、わたしは逝ってあげないわ。だってこんな星なんかより」

あなたの方がずっと大切だもの。





地球が今日も私を愛して止まない
(でもごめんなさい。わたしはあなたを愛してないの)