離れる、






※失恋注意

一緒にいる年数が長くても、必ず優位に立てるというわけではない。


私が侑士と出会ったのは、入学初日の放課後だった。
東京に来たばかりの侑士は電車を間違え道にも迷い、入学式やその後のガイダンス諸々を受け損ねたらしい。
これから過ごす学園内をブラブラと歩いていた私に、侑士が職員室の場所を訪ねてきたのが最初だった。

まだ慣れていないながらも今日あった事を職員室に案内しながら話をしたり、逆に侑士がどうやってここまで辿り着いたか。そして辿り着いて早々あの入学式で盛大なスピーチをした跡部くんと対戦したという話を聞いた。


そんな出来事から、もう2年が経過している。
気がつけば最高学年になっていた。
中1の頃は一緒だったクラスも中2中3では別れてしまったが、どういう縁か廊下で会えば会話をし、休日に暇つぶしに出掛けたりする程の仲ではあった。


その仲の良さから、一瞬私と侑士が付き合っている。なんて噂も流れたけれど3日程度でその噂は侑士がきっぱりと否定したことで無くなった。
何時からか、侑士の事を好きにっていた私はその晩酷く落ち込んだのを覚えている。


これだけ長く一緒に居ても、色んなことを話していても、必ず叶う訳ではないのだ。
今年の春に、侑士のクラスに転校してきた女の子。
とても可愛い女の子。何があったのか、侑士と仲良くなるのはあっという間だった。



「なぁ露草、女子がもろたら嬉しい物って何や?」
「……彼女ちゃんにでしょ! 私彼女ちゃんとは違う系統なんだけどなぁ。でも、好きな人から貰えるならなんでも嬉しいかな」
「それが難しいねん」



一度だけ、一度だけ侑士に貰った栞を私は今でも持ち続けている。
読書は苦手なのに、その時侑士が読んでいた小説を買って、そこに挟んだまま、今日も通学鞄に入れている。


それでも、もう潮時だろう。



「ねえ侑士」
「何かあるん?」
「いや……。彼女ちゃん、大事にしてあげてね」
「当たり前やんか」




私は貴方から離れないとね。









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