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共依存


「コウ、いる?ガンダムのことなんだけど……」


「うわあっ!!」



ドアを開けると同時にコウが叫んだ。彼があまりにもオーバーリアクションをしたせいで彼の前にある机が揺れた。それが想像以上に大きな音で私も思わずびっくりしてしまった。



「び、びっくりしたぁ」

「びっくりしたのはこっちよ」



まだどきどきしている胸を押さえて、ドアを閉める。


ガンダムのことでコウに聞きたいことがあったのに、どこにもいなくて探し回ってようやくキースから自室にいるって聞いたから、走ってここまで来たらまるでお化けが出たみたいにびっくりさせられてさ。まったく、ちょっとあんまりじゃない?



「っていうか、一体何してたの」

「そ、それは、えーと……」



コウは口をもごもごさせて頬を掻いた。

なんだ、エロ本でも読んでたのか。

とか思っていたら、ふと机にある大量のニンジンが目に入った。食堂でいつも出されるバターで炒めたやつ。……が、さっきの振動のせいで机に散らばっていた。

コウは私の目線に気がついたのか、大慌てでそれを隠したけれど、皿から落としたニンジンの量が多すぎて全部隠しきれてない。



「このニンジン、どうしたの?」

「いやあ、いつまでもニンジンが食べられないのはあれかなーって思って……あはは」

「ふーん」



なるほどそういうことか。確かにそれなら隠したい気持ちもわかる。コウは特に男だし、カッコつかないだろう。



「それにしても、なんでニンジンが嫌いかねえ。甘くて美味しいじゃん」

「その甘いのが駄目なんだよ! 野菜なんだからちょっと苦いくらいで全然いいじゃないか!」

「じゃあコウはゴーヤとかピーマンは平気なんだ」

「まあね」


コウは頷いた。心なしかどや顔だ。なんかちょっとイラッとくるのは気のせいだろうか。



「……あ、そうだ」



彼は何か思い立ったようにぽんと手を叩いた。



「スイが手伝ってくれたら食べられるかも」

「手伝うって?」

「例えば『あーん』とかしてくれたり」



……。

…………こいつ。

にこにこしながらなんてこと言い出すんだ……。



「コウ、なんていうか、甘えるのだけ上手になって……」

「だけじゃないさ! ちゃんとガンダムの操縦だって……」

「はいはいガンダムはわかったから」



甘え上手は否定しないのね。そのくせ変に大人びようとするんだから、面倒臭いやつ。

あーあ、でもそんなコウを可愛いって思って恋人になってる私もおんなじか。ああやっておねだりとかされると、つい甘やかしちゃうんだよなあ。コウがいつまでたってもチェリーボーイなのは半分私のせいかもしれないな。



「ま、いいよ。ほらあーん」

「あー」


言われるがままに口を開けたコウに、つまんだニンジンを放り込んだ。

彼はそれをまるごと口の中に入れると、まるで小動物のようにもぐもぐとニンジンを噛みしめ、やがて音をたてて飲み込んだ。



「……………………うえ、やっぱり不味い」

「でしょうね」


舌を出して苦い顔をする彼に、私は思わず吹き出してしまった。




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