放課後。朱い光が教室を照らす。この時間がとても好きだ。
「えーと……今日は、」
日記をつけることは明星千歳の日課だ。健忘症である彼女は長く記憶を保持することが出来ない。日常生活については忘れない、など例外はあるが基本的には忘れてしまう。記憶の無くなる頻度は疎らで、三日覚えていることもあれば、一日足らずで忘れてしまうこともある。だから日記をつけることは非常に大切だ。
「何書いてるんだ?」
「えーと、降谷くんだっけ……。日記だよ、日記」
「随分と細かく書かれてるな」
感心しながら日記を除く降谷零に明星千歳は「み、見ないでよ、恥ずかしい!」と言って日記を隠した。
「別にそれくらいいいだろ。でも何で日記を書いてるんだ?」
「だって忘れちゃうから。楽しい思い出も、悲しい思い出も、全部、なにもかも。だから記すの、明日の私のために」
「なんでそれを?」
「なんでだろうね。私は今日のこと忘れちゃうけど、君は覚えてるでしょ」
理不尽だ、と彼女は思う。自分は皆のことを忘れるのに、他の人には忘れられたくない。だなんて。都合のいい考えだ。
「……俺は忘れないよ」
「え?」
「俺はお前のことを忘れない、絶対に」
「そうだと、嬉しいなぁ」
えへへ、と彼女は笑った。
ささっとネタだけ置いていきますね