目を覚ますと何だか目が重たくて、もしかしたら泣いてたのかな、なんて思った。でもなんだか身体がポカポカしていて、まだ寝れそうな気もした。…もう少し寝よう。起きたって楽しいことなんてない。

…と、目を閉じようとした時。私の身体に回っている何かに、少し抱き寄せられたことに気付く。え、私一人じゃ…

「…………………え、」
「…寝てなよ」
「っ!?」

耳元で囁くように聞こえるザラザラした声。寝起きの声だろう。身体に回る何かは目の前の人の腕で、私の目の先には彼の首筋。ポカポカしていたのは私の体温だけじゃなかったから。抱き締められていた、から…この人に、

「は………たけ、さん………、なに、して」
「………」
「……え?ちょ、ちょっと、起きてくださいよ、」
「…まだ、夜中だって…。」
「あ、そうかじゃあ寝なきゃ………ってなんない!!なれないから!!起きて!」
「………」
「えぇ……」

すぅすぅ、と寝息が聞こえる。いやいやいや嘘でしょこのタイミングで寝る!?いや、うん、私的にやっと夢小説的展開きて嬉しいけどいきなり過ぎて思考停止気味。いつから一緒に寝てたのとか、いや彼女居るんだしやめてよとか、どういう気持ちでここにいんのとか、色々思う所はあるのに、

「………ずるい」

漏れた言葉は、本心過ぎた。さっきまでパニックになってた私を宥めようと、ただそれだけなんだろうのに。それ以上の気持ちはきっとない。なのにどうして、こんなにも、こんなにも一喜一憂してしまうんだろう。

「……せんせ、」

好きです。

飲み込んだその文字は、きっと一生外の世界を見ることはない。

***

外から起こされたようで、目を覚ます。あのまま寝てしまっていたらしい。…自分の図太さにちょっと引いた。けれどあの温かさはなくて、もしかして夢だったのでは?なんて思いつつ身体を起こした。

「あ、起きた?」
「……はい。今、何時ですか」
「6時ちょっと過ぎ。」

いつも通り、鉄格子越しにある椅子に座っているはたけさんがいた。余計にアレは自分に都合のいい夢だったのでは…と思い出す。

「…あの、」
「あ、朝ご飯?7時過ぎたら来ると思うから、もーちょっと待っててね。」
「はい。…って違うそうじゃなくて!」
「ん?」
「………あ、そう!家!家…今日は帰ってないんですか?」

聞きにくかった質問を濁すように、出てきた言葉に助けられる。ちゃんとしておきたいってより、気になる。アレは、夢ですか。実際にあったことですか。

「あー…そういえば最近帰ってないかもなぁ」
「…え?じゃあ、どこで…」
「火影室の隣に仮眠室あるからさ、そことか」
「……どうして、帰らないんですか?」
「どうして…か。どうしてだろうね…」

質問の返事になってない返事がやってくるのはいつものことだが、今日のはなんだか違った。誤魔化されているのは分かったが、はたけさん自身もよく分かっていない、そんな感じに見えた。……でもそれ、一番ずるいと思うんだけど。

「でも今日は一番熟睡できたかな」
「え?」

にこ、と微笑まれてキョトンとした。…が、それって、それってまるでアレは夢じゃないよって言ってるように聞こえるんですが!

それってどういう、まで呟いたけど、顔でも洗ってくるよ、と遮られて終わらされた会話。……いやいやいや、

「……これも任務のうちなの?」